男なら池波正太郎を粋に読んで、粋に生きたい。厳選3冊。

人生で一番楽しい時期

人は、学生時代を過ごし、そして社会人となり、友人、知人、仕事仲間と、その人脈がどんどんふくらんでいきます。おそらく20代の若い方は、昔からの友達や、遊んだり飲んだりできる友人がたくさんでき、一緒に行動することで、生きている実感を得ている側面があるのだと思います。実際私もそうでした。

 

そして結婚して家族が出来て、子供が出来る頃が、まさに人生で一番楽しい時期かもしれませんね。特に子供の幼稚園時代は、その幸せのピークを迎えます。まだお子さんがいらっしゃらない方々に言っておくと、とにかく幼稚園時代の子供は可愛くて可愛くて、子供が合唱してるだけで、こっちはボロボロ泣いちゃいますよ、えぇ、ほんとなんですよ(笑)屈託のない一生懸命さにお父さんはカメラのファインダー越しに心うたれるのです。

 

そして仕事も順調に行っている方であれば、その役職も上がっていき、部下も増えていきます。

 

いつのまにか孤独と戦う

そしてある時「あれ?」「今週末・・・俺だけ予定ないや、フリーだ」という日が突然やってきます。まぁ突然ってこともないのですが、「なんか最近週末がヒマだな・・・」と。

 

今までは家族でディズニーランドへ行ったり、毎年名探偵コナンの映画を見に行くのが楽しみだったりしましたが、子どもたちも中学、高校ともなれば部活、部活、部活の人生が始まります。

 

この部活が始まりだすと、家内も子どもたちのお弁当、洗濯、そして夕ごはんに追われる生活へと変貌していきます。あの幼稚園の頃、無邪気だった子どもたちも、「今日のメシなに~?」「参考書代ちょうだい」「iPhoneほしー」と、本当に俺はこいつらの合唱で泣いたのか?と自問自答する日々になっていきます。

 

会社でも上になればなるほど、孤独になっていきます。なぜ上になると給与があがるのか・・・それは自分がより大きな決定権を持ち、その決定に対して自らが責任を持つためです。よって部下も、早く決めてくれ、決めてくれ、という目でみてきます。「この程度の案件なら、まず君たちが討議して、ある程度決めてから持ってこいよ」という思いとの葛藤も日々ありますが、最終的には私が方針を決めなければいけません。これこそ孤独なのです。

 

どう粋に生きていくか

人は最後にはプライベートでも仕事においても孤独、つまり誰もが「ぼっち」になっていきます。その時にどう生きるか、どう粋に(いきに)生きるか、私はそれが大切だと思ってます。

 

その時のテキストとして、私は池波正太郎氏のエッセイから「粋に生きる」ということを学びました。今でも読み直していますし、電子書籍としてほぼすべての著作が持ち歩ける時代になりましたので、真っ先にデジタルでもコレクションしています。

 

基本的に池波氏が語る本質は「男としての美学」です。やはり、この時代、今を生きる男たちには絶対読んでもらいたいと思い、厳選3冊ご紹介します。
 

男の作法

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てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べなきゃ……。勘定、人事、組織、ネクタイ、日記、贈り物、小遣い、家具、酒、月給袋など百般にわたって、豊富な人生経験をもつ著者が、時代を超えた“男の常識”を語り、さりげなく“男の生き方”を説く。本書を一読すれば、あなたはもう、どこに出ても恥ずかしくない!(Amazon 内容紹介)
 
この出版社が用意した内容紹介は、かなり盛ってますが、ようはかつての男の生き方を語った本であり、それを今の現代にどう活かしていくかを考えさせられる意味でも刺激的です。特に食に関するウンチク、天ぷらの食べ方、ビールの飲み方、刺身の食べ方などは読み物として面白いですし、マナーやお作法というのがなぜ必要なのか、そしてなぜ男をみがく必要があるのか、と言う考え方がわかってきます。
 
知ったかぶりや、通ぶるのはカッコ悪いし、約束は必ず守らなくてはいけない。そして、浮気は本気になっちゃダメだと・・・。

 

確かに上から目線かもしれないし、偉そうに感じてしまうと、文体自体が無理・・・という方もいらっしゃると思います。でもまぁ、お爺ちゃんってこんな感じですし、私は自然な語り口だと思ってます。やっぱり目上の人にはその時代、その時代をたくましく生きてきたからこその人生論、そして男としての常識論がありますから、私なんかの若輩には本当に心に響きます。

 

食卓の情景

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いちばん好きなものは? と問われたら、鮨と答える、にぎっている時の主の眼の輝きがすばらしい。少年時代、どんどん焼屋に弟子入りしようとして〔鳥の巣焼〕という珍品を発明する。松阪牛が丹精こめられた処女なら、伊賀牛はあぶらの乗りきった年増女、これをバター焼、ついですき焼と賞味する。おいしい食べ物に託して人生観を語る無類のエッセー。著者自筆のカット7点挿入。(Amazon 内容紹介)
 
池波氏、食エッセイの代表作です。ほんとうに分かりやすく、美しく、すばらしいエッセイ集だと思います。文章からその街、そのお店、そのお料理、そして人々の情景がうかんできます。日本語というのは素晴らしく、この本が読める日本人で良かったなーとつくづく思います。ほんと皆さんに読んでもらいたい。

 

決してオススメのお店紹介とかではなく、食から生まれる人と人とのの触れ合い、そして人生観、世界観。食を通じて男のダンディズムとは何かが少しづつ理解できてきます。
男って美味しい料理と美味い酒を求めて生きていくのです。年寄りくさいって簡単に言ってしまうのは悲しいです。
 

散歩のとき何か食べたくなって

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映画の試写を観終えて、銀座の〔資生堂パーラー〕に立ち寄り、はじめて洋食を口にした40年前を憶い出す。外神田界隈を歩いていて、ふと入った〔花ぶさ〕では、店の人の、長年変らぬ人情に感じ入る。時代小説の取材で三条木屋町を散策中、かねてきいていた〔松鮨〕に出くわす。洋食、鮨、蕎麦、どぜう鍋、馬刺から菓子にいたるまで、折々に見つけた店の味を書き留めた食味エッセイ。(Amazon 内容紹介)
 
上記2冊を読了すると、もっともっと池波正太郎氏のエッセイが読みたくなります。ただ「食卓の情景」の内容とかぶる箇所もあるんですが、男としての食のこだわりは何回読んでも面白いです。基本的には、食を通じて、人を語り、その街を語り、生き方を語ってます。

 

是非電子書籍で

池波正太郎氏の著作が、ついに電子書籍で読めるようになり、毎日全巻持ち歩けるっていうのが、なんかiPodが出てきたときみたく嬉しいのです。何回も何回も美しい日本語でグルメ系のエッセイを読み返せるのって、やっぱりいいなって思います。

最近は、個人的に、池波正太郎氏のエッセイ、そして男としての美学を再読し、以前できなかったことを、少しづつ実行してみることが、熱いのです。

  

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