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マチ★アソビ vol.11「幾原監督作品上映会」

Category : 幾原邦彦作品


10月12日の22時半から、ufotable CINEMAのシアター2にて、生コメンタリーの上映会が開催されました。
座席は30~40席+立ち見と、小規模な劇場でした。そのため監督や藤津さんまでの距離が近く、どこかアットホームな雰囲気でした。

※個人の記憶によるものなので間違いがあるかと思います。記事内容の転載はやめてください。

整理券は水際公園にて8時半から配布されていましたが、場所が少し分かりづらかった。フライヤーを見落としていたら、このイベント自体に気付けなかったかもしれないです。
 
藤津さんが司会され、監督とお二人でコメンタリーされました。上映されたのは少女革命ウテナ1・2話、輪るピングドラム1・2話。熊は垂れ幕にはありましたが、ユリくまの上映はありませんでした。
 

■少女革命ウテナ 第1話「薔薇の花嫁」

・OPに最終回までの展開を入れている。また、ウテナとアンシーの二人の物語であることをOPで明示している。鎧はまあ本編では着なかったんだけど。

・”1話というものは、SDとしてスタッフに「これが基本路線」と示す必要がある”と東映時代にすりこまれていた。やめたはずなのに、どうしても踏襲してしまう。しかし、1話から訳分からないことをやると、スタッフや視聴者が、何が何なのかわからなくなって、作品に入りこむことができない。昼に言ったことと矛盾するけど、1話はパロディにしないと分かってもらえないし企画も通らないし、でも完全なパロディでもだめという状態でとても難しい。
 
・長濱くんと小林さんの美術ボード・美術設定がウテナの世界をより良いものにしていた。互いの良いところが乗算されていた。
 
・少女漫画のように西園寺やウテナがキャーキャー言われてるのはあまりやりたくないが、しかし分かりやすくするために入れている。2話冒頭で女の子たちがウテナに頬を染めるのも、1話のおさらい。
 
・ウテナという作品は運が良くて、16ミリフィルムをリールで残していた。この当時、ビデオで納品する作品が多くなっていたが、東映はビデオというものを信用していなかった。後に残るのはフィルムだ!と刷り込まれていたので、ウテナもフィルムで納品していた。DVD・BDでリマスターできたのは、原版がフィルムで残っていたから。ビデオしか残っていない作品が多くあり、そういったものはリマスターするのは非常に難しい。画質が良くないから。ウテナも所々状態がよくないものがあったが、なんとか修正できるレベルだったのでリマスターすることができた。ただ、アイキャッチは当時のCGのためぼやけてしまっていたので作り直した。
 
・ぷっと笑ってしまうようなものをつくることで、見てる人に突っ込んでもらう。突っ込むということは、人の心にひっかかるものになっているということ。キャラの初登場シーンや回想とかで薔薇のフレームがくるくる回ってるけど、笑っちゃうでしょ?(笑)
 
・スタイリッシュには作りたくない。ダサいくらいがいい。何これダサッて笑えるから。

・時折ネットでエゴサーチするんだけど、○○(お洒落な作品)のアニメを幾原に作ってほしいという書き込みを見かけたことがあった。この人は何か僕を勘違いしている。僕はダサいものが好きだから、お洒落なものは作れない(笑)
 
・チュチュも東映的なものの一つ。マスコットキャラとしてチュチュのテーマも作ったのに、1話しか使われなかった。これ以降は画面の隅でなんか変なことをしているようになっていく。

・1話ではそんなことはないけど、男性陣がどんどん脱いでいくことになる。でもこれは脚本段階でもコンテ段階でも脱いでなくて、作画がひたすら遊んでいた(笑)
 

■少女革命ウテナ 第2話「誰がために薔薇は微笑む」

・西園寺がかっこいいのは2話まで(笑) かっこいい男性というのは描くのが難しい。色んな男性像は、さいとうちほさんの世界からもらっている。

・若葉が読んでた本のタイトルはさいとうちほさんの漫画から。アンシーの肌の色も、妹という設定もさいとうちほさんの作品に出ているキャラを見て、「いいな」と思ったから。
 
 ・各キャラの髪をカラフルにしたりしたのは、当時の周りはリアルな路線を行っていたため。基本的に周りと同じことはしたくない。ピンドラはウテナとは逆でリアル寄りにしている。
 
・アンシーは普通に可愛い女の子にすることもできたが、なんだか底知れないキャラになっている。割烹着だったりマジックで表札書いたり、いちいち可笑しいよね。
 
・決闘の最後に薔薇が回転して大事なところが隠されているシーン、「何で隠すの?!」と聞いたら金子くんに「あなたが笑えるものにしろって言ったんでしょ?!」と言われてしまった(笑)

・2話まで作るのに1年かかった。この時が本当に大変だった。お金はみるみる無くなっていくし、2話を見るといまでも胸がキューってなる(笑)

・(3話予告を見て)こういう少漫画の日常のような話をもっとやりたかった気持ちがある。

 
■輪るピングドラム 1st station「運命のベルが鳴る」

・僕がウテナ以降制作から離れている間にデジタル制作が主流になっていった。また、デジタルの中でも改変があって、SD制作からHD制作に移行していた。僕はウテナの頃はセル画だったのに、SD制作を通り越してHDで制作することになった(笑)
といっても裏方でアニメにずっと携わってはいたので、ノウハウは分かっていた。

・冒頭の星は漫画的。

・冠葉にはどうしても昴くん(※木村昴さん)を起用したかった。お兄ちゃんといったらジャイアンだろう、と。しかし中々ジャイアンが抜けなくって困った(笑) まさかずっとジャイアンしかやってないなんて思ってなかったから。

・良平くん(※木村良平さん)しかまともにできている人がいなくて、何だこれは学芸会か?とも思った。だからずっと、良平くん以外のメンバーで練習していた。

・良平くんみたいに上手い人は、本番一発目が一番良いんだよね。事前に研究してきて、一発目で「こうでしょ?」とやってくれるから。でも昴くんにずっとNGを出してやり直して、昴くんは調子が上がってくるのに、良平くんは逆で、合わせるのが大変だった(笑) 今だと良平くんはすごく売れているから、こんなに何度もやり直しできなかったと思う。この時はまだ東のエデンくらいで、今ほど有名ではなかったから。そこのタイミングが良かった。

・男性で売れている声優は30名くらいいて、ローテーションで回しているんだよね。だから別録りが多い。否定するわけじゃないけど僕はそういうのは嫌で、同じ時間で一緒に録りたいと思った。

・陽毬はまだこの頃は棒だね。他にももっと上手で、「妹」というイメージの声優さんはいたけど、それは女性スタッフから猛反対された。荒川さんはお姉さん的な声で母性があるが、たどたどしい。このたどたどしさは今の荒川さんにしか出せないと思った。

・小泉くんは練習会に当初から参加していたが、まだキャラを明かしていなくて、「あの、僕の役は…」と聞かれたことがあった。

・中村章子さん、中村千恵子さん、秋山さんの美術が、生活感があり、可愛らしくて良いものだった。
 
・1話はとにかくこれでもか!と詰め込んだ。最後の冠葉と陽毬のキスも含めて。普通は家にペンギンがやってきました、次回はどうなる?という所で終わりかなと思うけど、一回死んで生き返るからね。
 

■輪るピングドラム 2nd station「危険な生存戦略」

・トイレから星が出ているけど、これは絶対匂うよね…(笑)

・このシーンはギャグなのか?シリアスなのか?とスタッフに聞かれることが多かった。下着屋に入る時はギャグで描いているけど、ラストのストーカーシーンはシリアスと思っていた。

・苹果のストーカー具合も可愛いと思って描いたんだけど、引いた人が多いみたいで、あれ?何か世間ずれしてる?と思った。

・ダバダ~♪の音楽はまさにオーダー通りの曲が来た。オーダー直球すぎてびっくりした。
 
・ストーリーが良かったとか、演出がどうで、とか言っている人もいるけど、なんだかんだでみんなキャラクターが好きなはず。だからキャラクターを印象付けることに重点を置いている。アーティスティックにやりすぎると、キャラクターが薄くなってしまうから、ダサいくらいが良いと思っている。

・陽毬は本編でアイドルになってはいけないと思う。それが陽毬の代償だから。でも、それだけが幸せじゃないよね?と考えている。

・この子(ガングロちゃん)、可愛いよね。好きだ(笑)



最後に来場者への感謝の意を述べられ、よかったら明日のサイン会に来てね。と締めくくられました。

個人的にピンドラをスクリーンで見るのが最終回オールナイト以来で感激しました。やはり1話はすごい良いです。最高。
既出の話が多かったですが、一緒に映像見ながら生でコメンタリーというのも、新鮮で面白かったです。監督はずっと笑いながらコメントされていました。

昼のイベントでも感じましたが、藤津さんの司会が細かいところにまで気を配られていて、また監督のことを熟知されていて、困るような質問であればすぐに切り替えていたのが印象深いです。とても聞きやすい進行でした。

今度は熊のイベントがあったらいいなあ…

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