[イラク発] 米海兵隊のブライアン・デニス少佐(36)が一匹の犬と出会ったのは、イラクとシリアの国境沿いにある要塞の一つを武装勢力取り締まりのためパトロールしている時だった。
そこには野犬の群れがたむろしていたのだが、とりわけ彼の目を引いたのは、群れのリーダー格の犬だった。犬は、ジャーマン・シェパードとボーダー・コリーのミックスで、スリムで引き締まった体をしていたが、両耳がなかった。子犬の時、切り取られてしまったらしい。
デニス少佐は、そんな風貌をしたアルファドッグが気に入り、ナブズと名付けることにした。少佐は、パトロール中、ナブズを見かける度、手なずけようとしたが、ナブズの方は彼に全く関心を示さなかったそうである。
それでも、犬が大好きな少佐は忍耐強く努力を続け、数カ月後にはナブズは彼の手から直接餌を食べるまでになっていた。ある日、彼はいつものようにパトロールのため要塞を訪れたのだが、近づいてきたナブズの様子がおかしいのに気付いた。左の横腹に深い刺し傷を負っていたのだ。後でわかったことだが、誰かにスクリュードライバーで刺されたのだった。しかし、彼の手厚い看護のおかげで、ナブズの傷は癒えた。
そうこうするうちに、デニス少佐の所属する部隊は、要塞から70マイル(約113キロ)離れた別の駐屯地に移動することになった。それを知った彼は、犬を連れていこうとしたが、それは許されなかった。しかたなく、犬を残し部隊は軍用車で要塞から走り去ったのであるが、その時ナブズは全速力で車の後を追ったそうである。遠のいていくナブズの姿を顧みながら、少佐はもう二度と犬を見ることはあるまいと思ったという。
しかし、その2日後、ナブズは部隊の新しいキャンプにひょっこり姿を現したのである。この時の驚きを、デニス少佐は母親宛のメールで次のように語っている。「道中には野犬の群れや狼がいただろうし、他にも僕には見当もつかないような試練を乗り越えてきたのに違いないよ。ここにたどり着いた時、ナブズはまるで戦場をかいくぐって来たみたいに見えた。いや、違う。彼はまさに戦場をかいくぐって来たんだ」
軍規違反とは知りつつも、彼の部隊は全員一致でナブズをキャンプ内で飼うことに決めた。そのために犬小屋を作ったりもした。しかしながら、このことは憲兵たちの知るところとなり、犬をキャンプ内で飼うことはならぬと通告してきた。
この時、デニス少佐はナブズを米国に運ぶことを決意する。犬をキープするためには、それが唯一残された道だったからだ。「この犬は、これまでずっと生きるために戦い続け、戦争や虐待を耐え忍んできたんだ。僕たちの部隊を追って、過酷な砂漠を70マイルも駆けてきた。だから、これからは彼にいい生活をさせてやりたい」と、少佐は母へのメールにその心情を綴っている。
2月上旬、犬はイラクからヨルダンに運ばれ、現在そこで必要な予防接種を受けているという。間もなく、そこから米西海岸、サンディエゴにある海兵隊基地、キャンプ・ペンドルトンに空輸される予定だ。
一方、デニス少佐はイラクでの勤務は今回が2度目であるが、早ければ来月にも、同基地に帰還することになっている。彼は、帰還後、ナブズとビーチで遊ぶことを楽しみにしているそうだ。
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- 2008-02-20 07:12
- 動物物語
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