NASAの系外惑星探査衛星ケプラーは、太陽系外に八つの惑星を新たに発見した。そのうちの二つは、天文学史上最も地球に似ているとされる。これでケプラーが確認した惑星の数は、全部で1004個となった。
ケプラーが今回新たに確認した八つの惑星はどれも比較的小規模で、太陽よりも小さく温度の低い恒星の周りを公転している。少なくともそのうちの三つ、あるいは八つすべてが母星のハビタブル(生命居住可能)ゾーン内にあるとみられる。ハビタブルゾーンとは、惑星の表面に水が液体として存在するのに適した温度の領域。また八つの惑星のうち、少なくともケプラー 438-bとケプラー 442-bの二つは、地球と同じような岩石惑星だとみられる。
SETI協会およびNASAエイムズ研究センターのダグ・コールドウェル氏は「今回の発見は、宇宙に生命が存在するかどうかを知るのに大いに役立つだろう」と語った。
地球にそっくりな惑星
ケプラーにより確認された惑星のリストには、同時に発表された554個の惑星候補も新たに追加され、系外惑星候補は全部で4175個となった。554個のうち八つは地球の2倍未満と小規模で、恒星のハビタブルゾーン内に位置している(この八つは今回発見されたものとは別)。しかもこれら候補のうち、六つは太陽に似た恒星の周囲を公転している。これらはケプラーもまだよく観測できていない、本物の地球型惑星だ。
「天にも昇る気持ちだ」と、NASAエイムズ研究センターのナタリー・バタラ氏は述べる。「太陽に似た恒星の周囲にあるハビタブルゾーンには小さな惑星候補が数多く存在することがわかった。ケプラー探査ミッションにとっても地球外生命の探索にとっても、素晴らしいニュースだ」
ケプラーミッションは、銀河系の中に地球型惑星がどのくらい存在するかを探求している。天文学者らは、太陽に似た恒星の約20%がハビタブルゾーンに地球型惑星をもつと推測している。
ケプラー惑星探査衛星
2009年に打ち上げられたケプラー衛星は、4年間にわたり15万個の恒星が見える北の空の一角を観測してきた。軌道を公転する惑星が主星の手前を通り、一時的に光を遮ることによる周期的な明るさの変動を検出している。
ケプラー衛星の観測視野からは次々と惑星が検出されている。最初に確認されたのは大規模な惑星だったが、その後は小規模な惑星も見つかるようになった。地球と同規模の惑星や、より小さな惑星も検出されている。
2013年、ケプラー衛星は機械の故障により、望遠鏡の視野を恒星に固定するのに必要な四つのリアクションホイールのうち、二つを失った。しかし、K2ミッションと名付けられた新しいミッションが立ち上げられ、再び観測が続けられることとなった。
現在、ケプラーは三つ目のリアクションホイールとして太陽光パネルに当たる太陽光圧を使い、自由に姿勢を変えて観測を行えるようになっている。昨年12月にはHIP 116454bを新たに発見した。
今月5日に開かれたアメリカ天文学会で、ハーバード大学スミソニアン宇宙物理センターのアンドリュー・バンダーバーグ氏は、探査ミッションで発見された惑星系候補の一つは、それぞれ10日、24日、44日の公転周期をもつ三つのスーパーアース(巨大地球型惑星)規模の惑星から成ると報告した。
「もしこれらが実際に惑星なら、近くにある比較的低温の恒星の周りを公転していることになる。特筆すべきは、これらの惑星が明るい恒星の周囲を公転している可能性があることだ。さらに詳しい観察が可能になるかもしれない」と同氏は語った。
一つの望遠鏡でわずか4年の間にこれほど多くの惑星を確認できたことは、何十年もの間、主系列星の周りに系外惑星がないか探し続けて来た天文学者らにとって大いに励みとなる。巨大ガス惑星であるホットジュピターのペガスス座51番星bが発見されたのは、20年前の1994年10月だった。
「ペガスス座51番星bが発見されるまで、天文学者たちはとても不安だった。それまで、いくら系外惑星を探しても見つけられなかったからだ。もしかしたら、宇宙はスタートレックで描かれているようなものではないのかもしれない。太陽系以外に惑星は存在しないか、存在してもまれなのかもしれないと考えざるを得ない状況だった」と、イエール大学のベテラン惑星研究者、デブラ・フィッシャー氏は語る。
ケプラー衛星をはじめとする様々な観測により、これまでに約1800個の系外惑星が確認されている。系外惑星は存在するかどうかという問いに決着がついた今、科学者らは次の課題に取り組むことができる。「宇宙には惑星が無数にあることが明らかになった。次のステップは、地球外生命が存在するかどうかを追求することだ」(フィッシャー氏)