朝ステーキから75日間熟成肉まで、アメリカ人はやっぱり牛肉が好き

写真のテキサスのステーキハウス「ザ・ビッグ・テキサン」。72オンス(2キロ)のステーキを1時間以内で食べるとお代がタダになる。写真=Brian Finke
「残酷だ」「健康によくない」「地球環境を破壊する」といった牛肉をめぐる主張は正しいのか。特集「肉を食べるジレンマ」はこちら

 アメリカのセレブなどが、ベジタリアンから1歩進んで卵や乳製品も一切食べないビーガン・ダイエットを標榜して話題になったりするが、一般的にやっぱりアメリカ人は肉が大好き。なかでも牛肉好きとそのこだわりには驚かされる。

 アメリカ中西部のウィスコンシン州ミルウォーキーに地産地消の食取材に出かけた時のこと。朝ごはんに地元の人々で賑わうブレックファストとブランチ専門という「エンジンカンパニーNo.3」を訪れた。

 スクランブルエッグなどの卵料理にハムやベーコン、ハッシュブラウンといった朝食メニューが数多く並ぶなか、お薦めを聞くと人気の「アルゼンチン風ステーキ&エッグ」をぜひ試してという。

「朝からステーキ?」 まず、朝食専門店のメニューにステーキが載っていること自体が驚きだが、ちゃんと焼き具合も聞かれる。待つこと30分ほど、マッシュポテトの上にのって、ステーキが出て来た。ポーチドエッグが添えられているのが朝食らしい。柔らかだが脂身のない赤身の肉を使って、意外に朝でもたべやすい一品だった。

 朝からステーキというとちょっと驚くが、アメリカでは朝食のメニューに、ステーキはなくてもかなりボリュームのある牛肉のパテが入ったハンバーガーがあるレストランは多い。それもタマネギやパン粉といったつなぎがなく、牛肉のひき肉がそのままぎゅっと固めてある。焼き具合を尋ねるレストランも多く、ステーキとあまり変わらない。

 ステーキは、ブランチ向けとなると牛肉の厚みもさらに増す。テネシー州のメンフィス、日曜日に住民は教会での礼拝に集い、ゴスペルを歌って礼拝を終えた後は、ブランチを楽しむのがお決まりだ。ベスト・ブランチ・レストランに毎年のように選出されている「ザ・マジェスティク・グリル」のメニューには、やはりステーキがある。

 このリブ・アイ(あばら肉)のステーキは、厚みも2cm近く、どんと皿にのってくる。ここは、ブランチらしく目玉焼き(それも2つ玉)までついてくる。ボリュームもあるが、周りはみんな軽く平らげていた。

 ステーキを朝から食べたいほど牛肉好きなアメリカ人。よりおいしく食べるための工夫はかなりのもの。日本ではまだ馴染みがそれほどないが、アメリカの有名ステーキハウスの看板メニューによくのぼるのがエイジングビーフと呼ばれる、わざと日数を置いて熟成させる牛肉のステーキだ。