アイコン インドネシア新幹線工事 建設許可発行

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インドネシア新幹線の申請書類が中国語だけで書かれ、審査しようがないとインドネシア運輸省から付き返されたと報じられ、1月に起工式を行ったものの5キロしか許可が出ないままになっていた新幹線工事の建設許可がようやく下りた。

運輸省は18日、ジャカルタ~バンドン間(142・3キロ)の高速鉄道の建設許可を発行したと発表した。
取得済みの用地は全体の約6割にとどまるが、基本設計の詳細が今月上旬に提出されたのを受け、確保した用地から順次建設を開始する方針。

ブディ・カルヤ・スマディ運輸相によると、7月27日に発表された第2次内閣改造直前の18日に、イグナシウス・ジョナン前運輸相が建設許可を発行していた。
これまで発行された建設許可は、西ジャワ州西バンドンのワリニ駅周辺5キロのみだった。ブディ運輸相は建設に関する細則などを今後策定していく方針。

中国とインドネシアの企業連合による合弁会社「高速鉄道インドネシア・中国(KCIC)」は、今月上旬に基本設計の詳細を運輸省に提出。運輸省の勧告で変更したレールの規格、橋の設計、耐震設計などに関する書類をそろえた。

 プラセティヨ・ブディチャフヨノ鉄道総局長は「まだ必要書類のすべてが提出されたわけではない」と強調。許認可に時間がかかる理由として、中国語の書類の翻訳などを挙げた。

 インドネシア新幹線は、始発駅のハリム駅(東ジャカルタ)、カラワン駅(西ジャワ)、ワリニ駅(西バンドン)、トゥガル・ルアル駅(バンドン)の4駅を結ぶ。

 KCICは、土地収用は駅周辺を中心に約60%が完了したとしているが、プラセティヨ鉄道総局長によると、高速鉄道が通過する地域の各自治体との調整が進まず、建設予定地の位置はまだ特定できていない。2017年末を土地収用完了の期限とし、今後、建設許可の改定で最終的に用地に関する詳細を盛り込む予定という。
 また、公共事業・国民住宅省と協議し、高速道路建設と同様に確保した用地から建設を始める方式を採用し、19年完工を目指すとしている。

 同事業では、今年1月に中国政府高官らを招いて起工式を開催。3月には運営権について定めた「コンセッション」契約に調印し、開業日は19年5月31日と明記した。19年初頭の完工を目指す。
コンセッション調印時点で着工は、今年4月初旬を目指すとしていた。
 建設許可発行を受け、近く事業費51億ドルの75%を占める中国の国家開発銀行からの融資契約を結ぶ予定。
以上、じゃかるた新聞参照。

こうしてみれば、起工式=着工という日本方式はインドネシアでは通用しない。ジョコウィ大統領は、すべて急ぐことを最優先させている。
路線用地も国有のプランテーション地が6割を占め、そのほかも道路上が多く計画され、一般住民からの買収は全体の2割前後とされている(日本が事前に計画したもの)。

日本のスピード感のなさは、日本の官僚が歴代総裁を務めるADB(アジア開発銀行)での決済でも中国によりその遅さを指摘され、今後はもっと急ぐと表明したように、官僚主義のなせる技でもある。しかし、それは世界には通用しない。また、東南アジアも求めていない。
あまりにもお上=官僚に依存した日本の国家体制が、こうした昔からの慣行でもある(自分の代の)事なかれ主義を蔓延させ、今になっても治らず、さらにその権力を拡大させている。

安倍首相がそれを打ち破ろうとしているが、現実は各種委員会・諮問委員会の大増発により、内閣府と官僚間をより複雑にし、力で押し切れる安倍政権時代は良しとしても次期首相には通用するものではないだろう。いくら迎合主義・事なかれ主義の官僚たちにしても、バランスが崩れた時の官僚の巻き返しが心配だ。

インドネシア新幹線の受注失敗は、いつものことであるが日本基準をインドネシアにも応用したところに問題があったものと見られる。それにインドネシアの政治の変化にも大きく対応が遅れたところにある。

2014年に政権も変わり、中国寄りで知られるメガワティ元大統領(スカルノ初代大統領の長女=権力欲の塊)が率いる闘争民主党から出馬したジョコウィ大統領(元ジャカルタ特別州知事、汚職撲滅・決裁のスピード化で高支持率)だが、メガワティ氏が要所要所に息のかかった人物を閣僚に就任させている。自らの長女やリニ国営事業相(元女性実業家、父親はスカルノ時代の閣僚、メガワティ政権時閣僚)もそうした人物。

こうした変化に対応しきれない日本、これまで長期にわたりインドネシア新幹線工事の計画立案をやってきた自負、日本では努力賞で受注できる仕事でも海外ではそうはいかないことを露にした。

相手国の政権交代で受注失敗したのはインドネシア新幹線だけではない。前政権のアボット時代はオーストラリアの潜水艦発注でも優位に立っていた日本であったが、現地建造にすったもんだした挙句煮えきれずいたが、結果、フランスに持って行かれ、まったく同じ現象が生じていた。

やはり、日本の政治が、アメリカ偏重で、世界にばら撒き続けるODA資金にかかわらず、各国での政治人脈が非常に乏しいところに問題があるようだ。相手国の変化に機敏に対応できない日本の弱点を双方とも示したものといえる。

インドネシア政府は、中国側に対して政府保証は一切ない新幹線工事だと日本側に伝えているが、受注の「高速鉄道インドネシア・中国(KCIC)」は、インドネシア国営企業4社と中国側5社から構成されている合弁会社。国営企業はリニ国営事業相管轄であるものの、当然、当事業の最終責任はインドネシア政府となる。

そもそも中国に対して、日本政府が川崎重工に新幹線と制御技術などすべての技術を輸出させたことにすべての問題が起因している。
中国は日本側から取得した技術で新幹線を造りまくり、中国国内を新幹線だらけにしたが、日本側は、現地企業とコンソーシアムを組み技術供与した当初だけ金が入り、その後は一円も入っていない。

<目先の利益に眩んだ川崎重工>
(そうりゅう型潜水艦製造など日本の防衛企業で売国奴の川崎重工は2004年、青島四方機車車輛股份有限公司に新幹線CRH2型やリニアモーター方式の地下鉄車両の技術供与を行っている。また、C151A型の技術も川崎重工が技術供与して監修した車両は2011年からシンガポール地下鉄に納品されたが、故障続きで210両のうち156両に(バッテリー爆発などの)問題が発生、2013年まで順次改修のため中国・青島に送り返される)
 川崎重工の言い訳: 日本が受注しなかった場合、フランスやドイツが受注していたと開き直っていた。

<過去も同じことが・・・>
佐藤栄作首相(フィクサー岸信介)が、韓国が設立した浦項製鉄(現ポスコ、新日鉄も株主)へ製造プラントを日韓賠償協定に基づき、日本の製鉄最新技術(当時)を輸出させ、その後、ブーメラン現象が生じたこととまったく同じ。新日鉄はおまけに極秘の方向性電磁鋼板製造技術をポスコに盗まれるという節操もない恩知らず企業が韓国ポスコ。日本も含め世界中に輸出し、日本の製鉄会社の最大のライバル企業となっている。

[ 2016年8月22日 ]
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