アイコン 総務省が改善指導を勧告/アスベストの建物解体工事 環境省と厚労省に対し

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本来、国交省が勧告しなければならない解体工事のアスベスト問題。
解体工事業者の経営者は、解体物件がアスベストがあるとわかっていても、受注競争激しく、アスベストの存在を無視した金額で受注し、従業員や下請け、作業の人夫たち・それに加え周辺住民にも健康被害をもたらしている。
いくら勧告しても解体業者はアスベストがあるからといって、義務事項であり、適切な工事を行わなかったとしても罰則規定がないことから、こうしたことがまかり通っている。
国交省は、アスベスト問題で、建設をスムーズに行わせるため、業者に対して思いやりの罰則規定なしとしている。

総務省は13日、発がん性がある「アスベスト」を使用した建物の解体工事が老朽化に伴って今後増える見通しのなか、「アスベスト」の使用を見落としたまま解体されるなど改善が必要なケースがあるとして、適切な指導を行うよう環境省と厚生労働省に勧告した。

アスベストは、建物の吹きつけ材や断熱材に多く使われてきたが、解体工事の際に飛散して人が吸い込むなどした場合は、がんなどを発症するおそれがあることから、平成18年までに製造や使用が全面的に禁止された。
しかし、国交省によると「アスベスト」が使われている可能性がある民間の建物は、全国で約280万棟と推計されているうえ、今後老朽化に伴い解体工事が増える見通しだという。

こうしたなか、総務省の行政評価局が、これまでの解体工事について抽出調査したところ、アスベストが含まれていることを見落としたまま飛散防止の措置をとらずに工事が行われたり、法律で定められた行政への届け出をしないまま工事が行われたりしたケースがあったという。

このため、総務省はアスベストによる健康被害を防ぐには、こうした状況を改善する必要があるとして、環境省と厚労省に対し、適切な指導を行うよう勧告した。

<健康リスク>2014年は中皮腫死者1300人
アスベストは、鉱物繊維でできているため熱に強いなど耐久性が高く、建物の吹きつけ材や断熱材などとして高度経済成長期に建築された建物に多く使われた。しかし、中皮腫や肺がんなどの深刻な健康被害を引き起こすことが分かっていて、アスベストを吸ってから15年から50年後に発症するなど、潜伏期間が長いのが特徴。
アスベストが原因の代表的な病気とされる中皮腫の場合、発症から2年後の生存率が3割程度とする研究もあるという。
厚労省のまとめによると、中皮腫による死者は、近年、増加する傾向にあり、一昨年は、約1300人と20年前の倍以上となっている。
アスベストによる健康被害を巡っては、一昨年度までに、約1万3000人が労災の認定を受けたほか、労災の対象にならない人への国の救済制度の下では、約8400人が認定を受けている。
アスベストの製造や使用は、平成18年までに全面的に禁止されたが、国交省によるとアスベストを使った可能性がある民間の建物は、全国で推計280万棟に上る。こうした建物は老朽化などで、平成40年ごろに解体がピークになるとみられていて、作業が適切に行われないとアスベストが周囲に飛散する危険が指摘されている。

このため建物を解体する際には、解体業者に、アスベストが使われているか調査する義務が課せられているほか、調査によってアスベストが使われていると分かった場合には、作業の発注者に、都道府県へ事前の届け出を行うことが義務づけられている。

しかし、こうした調査や届け出が正しく行われているとは限らず、国がアスベストの使用状況を把握しているのは大規模な建物に限られていることもあり、専門家や患者団体からは対策の強化を求める声が上がっている。
さらに今回の熊本地震のように災害で建物が倒壊した場合にも、アスベストが周囲に飛散する危険が指摘され、対策が求められている。

[ 2016年5月13日 ]
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