19:1 :2019/02/22(金) 09:04:47.928 :qCXaB8Ci0.net
白髪少女「私はお前に会いたくて来た」
男「……は?」
白髪少女「話には聞いていた。小さい頃のだが、写真も見た」
白髪少女「会いたいと思っていた」
男「……写真?」
白髪少女「そうだ。見せて貰った」
男「誰に」
白髪少女「capo (組長) ――ああいや、お前の父親にだ」
男「……親父? 親父の知り合いか?」
白髪少女「お前の父親には良くして貰った。小さい頃に助けて貰った」
男「え? 小さい頃に助けて貰ったって……」
男(親父とは長い事会ってないけど、何やってんだよ……)
白髪少女「……しかし、子供の頃の写真とは違い過ぎる」グイッ
男「顔近いんでガスけど」
白髪少女「……だが、今の方が良いな」
白髪少女「父親に少し似ている。面影がある」
男「実は親父の顔があんまり良く思いだせないが……そりゃ親子だ、少しは似るだろう」
白髪少女「喜べ、男前だ」
男「……そうかい。ありがとさん」
白髪少女「ふふっ、素直な男は良い男の条件だよ」
男「……ところで君、日本語が上手いけど、訛りがあるね。……少なくとも産まれは日本じゃないな?」
白髪少女「そうだ。日本語は勉強した」
男「……」
白髪少女「お前と話をする為にな。……日本語の方が得意だろう?」
男「そりゃ通算だとぶっちぎりで日本歴が長いもので。ってか、俺と話する為って……」
白髪少女「お前に興味があったんだ。それは駄目なのか?」
男「駄目では無いけど、興味って何でまた……」
白髪少女「それは理由が無ければ駄目なのか?」
白髪少女「私はお前に会いたくて来た」
男「……は?」
白髪少女「話には聞いていた。小さい頃のだが、写真も見た」
白髪少女「会いたいと思っていた」
男「……写真?」
白髪少女「そうだ。見せて貰った」
男「誰に」
白髪少女「capo (組長) ――ああいや、お前の父親にだ」
男「……親父? 親父の知り合いか?」
白髪少女「お前の父親には良くして貰った。小さい頃に助けて貰った」
男「え? 小さい頃に助けて貰ったって……」
男(親父とは長い事会ってないけど、何やってんだよ……)
白髪少女「……しかし、子供の頃の写真とは違い過ぎる」グイッ
男「顔近いんでガスけど」
白髪少女「……だが、今の方が良いな」
白髪少女「父親に少し似ている。面影がある」
男「実は親父の顔があんまり良く思いだせないが……そりゃ親子だ、少しは似るだろう」
白髪少女「喜べ、男前だ」
男「……そうかい。ありがとさん」
白髪少女「ふふっ、素直な男は良い男の条件だよ」
男「……ところで君、日本語が上手いけど、訛りがあるね。……少なくとも産まれは日本じゃないな?」
白髪少女「そうだ。日本語は勉強した」
男「……」
白髪少女「お前と話をする為にな。……日本語の方が得意だろう?」
男「そりゃ通算だとぶっちぎりで日本歴が長いもので。ってか、俺と話する為って……」
白髪少女「お前に興味があったんだ。それは駄目なのか?」
男「駄目では無いけど、興味って何でまた……」
白髪少女「それは理由が無ければ駄目なのか?」
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113:1 :2019/02/22(金) 21:08:44.617 :qCXaB8Ci0.net
白髪少女「駄目では無いのなら、別に良いじゃないか」
男「……興味本位だけで会いに来るなんて、ちょっと信じられない」
男「そもそも、俺の部屋の場所をどうやって探し当てた?」
男「親父と別れたのは小さい頃だぞ。親父が分かるわけがない」
白髪少女「調べた」
男「どうやって」
白髪少女「秘密だ」
男「秘密って何だよ……」
白髪少女「……私に興味が湧いたか? 私が何なのか知りたくなったか?」
男「そりゃまあ、湧くだろ。いったい何なんだと知りたくはなる」
白髪少女「同じだ。私もお前の事を知りたくなった」
白髪少女「ずっと、ずっと前からだ」
男「……要するに何だ」
男「親父に小さい頃助けられて、その親父から俺の話を聞いて」
男「俺の事が知りたくなって、やり方は言えないけど住所を手に入れて」
男「会いに来たと……こういうことか?」
白髪少女「そうだ。物分りが良い男は素敵だ」フフッ
白髪少女「駄目では無いのなら、別に良いじゃないか」
男「……興味本位だけで会いに来るなんて、ちょっと信じられない」
男「そもそも、俺の部屋の場所をどうやって探し当てた?」
男「親父と別れたのは小さい頃だぞ。親父が分かるわけがない」
白髪少女「調べた」
男「どうやって」
白髪少女「秘密だ」
男「秘密って何だよ……」
白髪少女「……私に興味が湧いたか? 私が何なのか知りたくなったか?」
男「そりゃまあ、湧くだろ。いったい何なんだと知りたくはなる」
白髪少女「同じだ。私もお前の事を知りたくなった」
白髪少女「ずっと、ずっと前からだ」
男「……要するに何だ」
男「親父に小さい頃助けられて、その親父から俺の話を聞いて」
男「俺の事が知りたくなって、やり方は言えないけど住所を手に入れて」
男「会いに来たと……こういうことか?」
白髪少女「そうだ。物分りが良い男は素敵だ」フフッ
120:1 :2019/02/22(金) 21:48:49.919 :qCXaB8Ci0.net
白髪少女は目尻を下げて、
屈託なく笑った。
どうやら本当に、
自分に興味があって来日しているだけで、
他に理由は無さそうに見える。
住所の特定方法だけは、
やはり少し気になるものの、
問うた所できっと答えは返ってこないだろう。
秘密だ、と押し切られそうだ。
ならば、と男はその話をひとまず置いておく事にした。
いずれ本人が話してくれるのを待つべきだ、と。
もちろん今回限りの邂逅の可能性もあるし、
話してくれる前に今生の別れになるかも知れないだろう。
でも、それならそれでも良いじゃないかと男には思えた。
無職だからだろうか?
男は小さなことがあまり気にならなくなってきていた。
男「……ところで、親父は元気か?」
白髪少女「元気だ。いま日本に来ているぞ」
男「そうか」
白髪少女「反応が薄いな。会いたくないのか?」
男「……さぁな。色々と気になるけど、俺から会おうとは思わないな」
白髪少女「そうなのか」
男「向こうが会いたいと言うなら、会うけどな」
男「君が俺の場所を知ってるなら、親父だって俺の居場所は知ってるだろう」
白髪少女「知っているな」
白髪少女「しかし、それは少し厳しいと思うな」
白髪少女「恐らく直接は会いには来ないだろう」
男「……そうか」
白髪少女「本人は会いたがって居たが、迷ってもいるようだった」
男「迷う程のことか?」
白髪少女「色々と迷惑が掛かるかも知れない、と言っていた」
男「別に気にしないけどな」
白髪少女「なら、それを直接言ってやれば良い。電話するか?」スマホッ
男「別にいい」
白髪少女は目尻を下げて、
屈託なく笑った。
どうやら本当に、
自分に興味があって来日しているだけで、
他に理由は無さそうに見える。
住所の特定方法だけは、
やはり少し気になるものの、
問うた所できっと答えは返ってこないだろう。
秘密だ、と押し切られそうだ。
ならば、と男はその話をひとまず置いておく事にした。
いずれ本人が話してくれるのを待つべきだ、と。
もちろん今回限りの邂逅の可能性もあるし、
話してくれる前に今生の別れになるかも知れないだろう。
でも、それならそれでも良いじゃないかと男には思えた。
無職だからだろうか?
男は小さなことがあまり気にならなくなってきていた。
男「……ところで、親父は元気か?」
白髪少女「元気だ。いま日本に来ているぞ」
男「そうか」
白髪少女「反応が薄いな。会いたくないのか?」
男「……さぁな。色々と気になるけど、俺から会おうとは思わないな」
白髪少女「そうなのか」
男「向こうが会いたいと言うなら、会うけどな」
男「君が俺の場所を知ってるなら、親父だって俺の居場所は知ってるだろう」
白髪少女「知っているな」
白髪少女「しかし、それは少し厳しいと思うな」
白髪少女「恐らく直接は会いには来ないだろう」
男「……そうか」
白髪少女「本人は会いたがって居たが、迷ってもいるようだった」
男「迷う程のことか?」
白髪少女「色々と迷惑が掛かるかも知れない、と言っていた」
男「別に気にしないけどな」
白髪少女「なら、それを直接言ってやれば良い。電話するか?」スマホッ
男「別にいい」
124:1 :2019/02/22(金) 22:30:16.282 :qCXaB8Ci0.net
白髪少女「そうか」
男「そうだ」
白髪少女「それより部屋の中に入れてくれ」
白髪少女「少し寒い」ブルッ
男「まだ冬だからな。今日は少し寒い」
白髪少女「早くしてくれ」息ハァァー
男「分かった」ガチャガチャ
そうして男は、
白髪少女を部屋の中に招き入れる事にしたのだが……
……この時、男は気づけなかった。
はじめに自分が物陰に隠れて様子を伺っていたのと同じように。
途中から、こちらの様子を観察する人物が居た事に。
美少女「……誰だろう、あの女の人」
白髪少女「そうか」
男「そうだ」
白髪少女「それより部屋の中に入れてくれ」
白髪少女「少し寒い」ブルッ
男「まだ冬だからな。今日は少し寒い」
白髪少女「早くしてくれ」息ハァァー
男「分かった」ガチャガチャ
そうして男は、
白髪少女を部屋の中に招き入れる事にしたのだが……
……この時、男は気づけなかった。
はじめに自分が物陰に隠れて様子を伺っていたのと同じように。
途中から、こちらの様子を観察する人物が居た事に。
美少女「……誰だろう、あの女の人」
127:1 :2019/02/22(金) 23:05:21.578 :qCXaB8Ci0.net
……
…
既に日が暮れている。
時間は既に午後の十時を回っていた。
しかし――だと言うのに、
白髪少女には帰る気配が微塵にも感じられなかった。
部屋に入れたばかりの時、
どういう食べ物が好きか、
どういう趣味があるのか、
そんな質問が矢継ぎ早に来たので、
男は律儀にそれに返答していた。
理由は単純で、
答えていれば満足して、
そのうち帰るだろうと思ったからである。
しかし、質問する事、聞くことがほとんど無くなってきたと言うのに、
会話が少なくなってきたと言うのに、
白髪少女はまるで我が家のように寛いでいる。
これは少々、男にも予想外であった。
男「帰らないの?」
白髪少女「泊まる所が無い。今日からここに住む」
男「……は?」
……
…
既に日が暮れている。
時間は既に午後の十時を回っていた。
しかし――だと言うのに、
白髪少女には帰る気配が微塵にも感じられなかった。
部屋に入れたばかりの時、
どういう食べ物が好きか、
どういう趣味があるのか、
そんな質問が矢継ぎ早に来たので、
男は律儀にそれに返答していた。
理由は単純で、
答えていれば満足して、
そのうち帰るだろうと思ったからである。
しかし、質問する事、聞くことがほとんど無くなってきたと言うのに、
会話が少なくなってきたと言うのに、
白髪少女はまるで我が家のように寛いでいる。
これは少々、男にも予想外であった。
男「帰らないの?」
白髪少女「泊まる所が無い。今日からここに住む」
男「……は?」
129:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/22(金) 23:28:35.987 :m2Oruvuhd.net
ヌポーン
139:1 :2019/02/23(土) 00:36:22.243 :FgqS9XXe0.net
白髪少女「だから泊まる所が無いのだ」
男「どこかに部屋借りてたり」
男「旅行か用事のあるついでに日本に来てるなら」
男「ホテル予約とかしてないの?」
白髪少女「してない。はじめから、お前の家に住もうと思ってた」
男「……本気で言ってるの?」
白髪少女「本気だ。了承も得た」
男「了承? まさか親父か?」
白髪少女「そうだ」
男「……何を勝手な事を」
白髪少女「私に好きにしろと言った」
白髪少女「決めるのは息子だが、とも言っていたが」
男「……まて、どういうこった?」
白髪少女「だから、私は私の好きにして良いと言われた。だからここに来た」
白髪少女「そして、自分の意思で来た私をどうするか、それを決めるのはお前だ」ジィッ
男「……あぁ、そういう意味か」
男「君がここに来る事は親父は止めなかった。それは好きにして良いと言った」
男「でも、それに対して俺がどうするべきかについてまでは言及してないって事か」
男「来た君をどう扱うか、それは俺が決めろ、と」
白髪少女「多分、そうだ」
男(……親父もこれまた随分と勝手なことを)
男(……まあでも、俺を祖父母の家に放り込んでどっか行くような人だったからな)
男(ある意味親父らしいと言えば親父らしいけんどね)
白髪少女「それで、どうなんだ? ここに住んで良いのか?」
男「住むってもねぇ、俺は今無職だしな。二人分の生活費は出せない」
白髪少女「働けば良いでは無いか」
男「えっと……」
白髪少女「だから泊まる所が無いのだ」
男「どこかに部屋借りてたり」
男「旅行か用事のあるついでに日本に来てるなら」
男「ホテル予約とかしてないの?」
白髪少女「してない。はじめから、お前の家に住もうと思ってた」
男「……本気で言ってるの?」
白髪少女「本気だ。了承も得た」
男「了承? まさか親父か?」
白髪少女「そうだ」
男「……何を勝手な事を」
白髪少女「私に好きにしろと言った」
白髪少女「決めるのは息子だが、とも言っていたが」
男「……まて、どういうこった?」
白髪少女「だから、私は私の好きにして良いと言われた。だからここに来た」
白髪少女「そして、自分の意思で来た私をどうするか、それを決めるのはお前だ」ジィッ
男「……あぁ、そういう意味か」
男「君がここに来る事は親父は止めなかった。それは好きにして良いと言った」
男「でも、それに対して俺がどうするべきかについてまでは言及してないって事か」
男「来た君をどう扱うか、それは俺が決めろ、と」
白髪少女「多分、そうだ」
男(……親父もこれまた随分と勝手なことを)
男(……まあでも、俺を祖父母の家に放り込んでどっか行くような人だったからな)
男(ある意味親父らしいと言えば親父らしいけんどね)
白髪少女「それで、どうなんだ? ここに住んで良いのか?」
男「住むってもねぇ、俺は今無職だしな。二人分の生活費は出せない」
白髪少女「働けば良いでは無いか」
男「えっと……」
144:1 :2019/02/23(土) 01:15:55.585 :FgqS9XXe0.net
白髪少女「だから、無職で、生活費が払えないのだろう?」
男「色々と事情があるんだよ」
男「その……アレだよ、色々なんだよ」
白髪少女「――な、なんだ? 病気か?」グイッ
白髪少女「腕の良い闇医者が居る。症状の進行どうなのだ? 末期か?」
白髪少女「飛行機に乗らなければならないが、間に合うか?」スマホッ
男「――ま、待て、健康だ」
男「体に悪い所なんて何ひとつ無い」
白髪少女「ではなぜ……?」
男「……なぜだろうな。俺にも分からない」
白髪少女「働きたくないのか?」
男「そういうワケでも無い」
白髪少女「謎が深まるな。あるいは……人の下につくのが嫌なのか?」
男「……まあ、人の下で働くなら、理不尽なこともあるよな」
白髪少女「そうか……。では、自ら新しい組織を作ることを薦めよう」
白髪少女「協力しよう」
男「何を突然。元手が無いんだけども」
白髪少女「建物と持参金がある」スッ
男「……これ、不動産の登記簿とキャッシュカード?」
白髪少女「そうだ。一緒に暮らすなら女側が持参するものが必要なのだと学んだ」
白髪少女「それについて聞いたら、これを貰った」
男「……貰ったって。お、親父か?」
白髪少女「そうだ。『何だその気があったのか。なら準備してやろう』、と」
男「……金持ってんなあ、親父」ボソッ
男「というか、一緒に暮らす時に持参って、どんな時だっけ……」
男「丁稚奉公? 奉公先にお願いします的な? いや違うか」
白髪少女「私も詳しくは知らない。ただ、そういう風習があると言う事だけ知った」
白髪少女「ともかく、拠点が出来たワケだ。ここから勢力を拡大しよう」
男「せ、勢力って……言い方が何かおかしいだろ」
白髪少女「だから、無職で、生活費が払えないのだろう?」
男「色々と事情があるんだよ」
男「その……アレだよ、色々なんだよ」
白髪少女「――な、なんだ? 病気か?」グイッ
白髪少女「腕の良い闇医者が居る。症状の進行どうなのだ? 末期か?」
白髪少女「飛行機に乗らなければならないが、間に合うか?」スマホッ
男「――ま、待て、健康だ」
男「体に悪い所なんて何ひとつ無い」
白髪少女「ではなぜ……?」
男「……なぜだろうな。俺にも分からない」
白髪少女「働きたくないのか?」
男「そういうワケでも無い」
白髪少女「謎が深まるな。あるいは……人の下につくのが嫌なのか?」
男「……まあ、人の下で働くなら、理不尽なこともあるよな」
白髪少女「そうか……。では、自ら新しい組織を作ることを薦めよう」
白髪少女「協力しよう」
男「何を突然。元手が無いんだけども」
白髪少女「建物と持参金がある」スッ
男「……これ、不動産の登記簿とキャッシュカード?」
白髪少女「そうだ。一緒に暮らすなら女側が持参するものが必要なのだと学んだ」
白髪少女「それについて聞いたら、これを貰った」
男「……貰ったって。お、親父か?」
白髪少女「そうだ。『何だその気があったのか。なら準備してやろう』、と」
男「……金持ってんなあ、親父」ボソッ
男「というか、一緒に暮らす時に持参って、どんな時だっけ……」
男「丁稚奉公? 奉公先にお願いします的な? いや違うか」
白髪少女「私も詳しくは知らない。ただ、そういう風習があると言う事だけ知った」
白髪少女「ともかく、拠点が出来たワケだ。ここから勢力を拡大しよう」
男「せ、勢力って……言い方が何かおかしいだろ」
148:1 :2019/02/23(土) 01:54:25.464 :FgqS9XXe0.net
白髪少女「何がおかしいのだ?」
男「いや俺も何がおかしいかって言われれば」
男「なんとなくってしか言えないけど」
白髪少女「では何も問題は無いでは無いか」
男「……ってか、そもそも新しい組織って何を始める気だ」
白髪少女「パン屋だ」
男「……ん?」
男「何? なんつった?」
白髪少女「私はパンを作るのが得意なんだ」
白髪少女「他には格闘技も得意と言えば得意だが」
白髪少女「現状すぐに金を得る行動に結びついて、協力出来そうなのはパン作りくらいだ」
男「……」
白髪少女「正直私はそこまで頭が良くないからな」
白髪少女「あんまり頭を使うことでは協力が出来ない」
男「……アッ、ソウ」
白髪少女「良いか? パン屋を開き、ゆくゆくはチェーン展化して、一大勢力となるのだ」グッ
男「……ナルホド、ソウイウ意味ダッタノ、勢力ッテ」
白髪少女「……それに、子どもの頃からの夢だったんだ」ボソッ
男「……ん?」
白髪少女「何がおかしいのだ?」
男「いや俺も何がおかしいかって言われれば」
男「なんとなくってしか言えないけど」
白髪少女「では何も問題は無いでは無いか」
男「……ってか、そもそも新しい組織って何を始める気だ」
白髪少女「パン屋だ」
男「……ん?」
男「何? なんつった?」
白髪少女「私はパンを作るのが得意なんだ」
白髪少女「他には格闘技も得意と言えば得意だが」
白髪少女「現状すぐに金を得る行動に結びついて、協力出来そうなのはパン作りくらいだ」
男「……」
白髪少女「正直私はそこまで頭が良くないからな」
白髪少女「あんまり頭を使うことでは協力が出来ない」
男「……アッ、ソウ」
白髪少女「良いか? パン屋を開き、ゆくゆくはチェーン展化して、一大勢力となるのだ」グッ
男「……ナルホド、ソウイウ意味ダッタノ、勢力ッテ」
白髪少女「……それに、子どもの頃からの夢だったんだ」ボソッ
男「……ん?」
154:1 :2019/02/23(土) 02:17:59.805 :FgqS9XXe0.net
白髪少女「……子どもの頃に私が居た町は、武装した人間たちが我が物顔で昼間から街中に居た」
男「……」
白髪少女「毎日怯えて暮らしていた」
白髪少女「……朝が来るのが怖かった。昼を迎えるのが怖かった。夜が訪れるのが怖かった」
白髪少女「物心がついた頃には母親も父親もいなかったから、なお更だった」
白髪少女「……だが、それでも生きる為に、私は路地裏で毎日ゴミを漁って生きていた」
白髪少女「短気を起こした武装勢力の発砲に恐怖しながら」
白髪少女「そして、運よく食べれそうなゴミを見つけた時には」
白髪少女「穴あきだらけの服の中に、大事にしまってマンホールの中にすぐに避難していた」
男「……」
白髪少女「正直辛い事だらけだったよ」
白髪少女「……でもな、そんな私にも楽しみにしている事が一つあった」
男「……なんだ?」
白髪少女「半月に一度、タダでパンをくれるババアが居たんだ」
白髪少女「パン屋のババア」
白髪少女「武装勢力が街を歩いているとしても、営業する店もあってな」
白髪少女「パン屋はそういう店の一つだった」
白髪少女「……貰ったパンは美味しかった。齧っただけで涙が溢れて止まらない」
白髪少女「生きていて良かったって、そう思える」
白髪少女「……それは私にとって唯一の生きている楽しみで」
白髪少女「次第にパン屋への憧れを持った」
白髪少女「食べるだけで、こんなに嬉しい気持ちになれる」
白髪少女「お腹はいっぱいになるし、誰かを笑顔に出来る素晴らしい仕事なんだ、と」
白髪少女「……子どもの頃に私が居た町は、武装した人間たちが我が物顔で昼間から街中に居た」
男「……」
白髪少女「毎日怯えて暮らしていた」
白髪少女「……朝が来るのが怖かった。昼を迎えるのが怖かった。夜が訪れるのが怖かった」
白髪少女「物心がついた頃には母親も父親もいなかったから、なお更だった」
白髪少女「……だが、それでも生きる為に、私は路地裏で毎日ゴミを漁って生きていた」
白髪少女「短気を起こした武装勢力の発砲に恐怖しながら」
白髪少女「そして、運よく食べれそうなゴミを見つけた時には」
白髪少女「穴あきだらけの服の中に、大事にしまってマンホールの中にすぐに避難していた」
男「……」
白髪少女「正直辛い事だらけだったよ」
白髪少女「……でもな、そんな私にも楽しみにしている事が一つあった」
男「……なんだ?」
白髪少女「半月に一度、タダでパンをくれるババアが居たんだ」
白髪少女「パン屋のババア」
白髪少女「武装勢力が街を歩いているとしても、営業する店もあってな」
白髪少女「パン屋はそういう店の一つだった」
白髪少女「……貰ったパンは美味しかった。齧っただけで涙が溢れて止まらない」
白髪少女「生きていて良かったって、そう思える」
白髪少女「……それは私にとって唯一の生きている楽しみで」
白髪少女「次第にパン屋への憧れを持った」
白髪少女「食べるだけで、こんなに嬉しい気持ちになれる」
白髪少女「お腹はいっぱいになるし、誰かを笑顔に出来る素晴らしい仕事なんだ、と」
65:1 :2019/02/23(土) 20:02:12.734 :FgqS9XXe0.net
白髪少女「……だから私は、ある時パン屋のババアに聞いてみる事にした」
白髪少女「どうしたらなれるのかと」
白髪少女「そうしたら、美味いしいパンを作れるようになったらだよ、と言われて」
白髪少女「そんなに興味があるなら、作り方を教えてあげる、とも」
白髪少女「……私はすぐに飛びついた。そうして、パン作りを教わった」
男「なるほど。そんな事があったわけか……」
白髪少女「そうだ」
男「……ところで、そのパン屋の婆さんとやら、元気なのか?」
白髪少女「……殺された。ずっと前にな」
白髪少女「私の……せいでな」
男「どういう事だよ、良い話で終わりそうだったべ」
白髪少女「……だから私は、ある時パン屋のババアに聞いてみる事にした」
白髪少女「どうしたらなれるのかと」
白髪少女「そうしたら、美味いしいパンを作れるようになったらだよ、と言われて」
白髪少女「そんなに興味があるなら、作り方を教えてあげる、とも」
白髪少女「……私はすぐに飛びついた。そうして、パン作りを教わった」
男「なるほど。そんな事があったわけか……」
白髪少女「そうだ」
男「……ところで、そのパン屋の婆さんとやら、元気なのか?」
白髪少女「……殺された。ずっと前にな」
白髪少女「私の……せいでな」
男「どういう事だよ、良い話で終わりそうだったべ」
72:1 :2019/02/23(土) 20:38:27.106 :FgqS9XXe0.net
白髪少女「……私の髪は白いだろう?」
男「あぁ、白いな」
白髪少女「これは生まれつきなんだ。金ではなく白」
白髪少女「この色は少し珍しい。……だから、武装勢力に見つかった時に捕まりそうになった」
白髪少女「良く見ると白い髪だ。処女のこれは、好きもののペドフィリアの金持ちに売れる、と」
男「……」
白髪少女「だが、その時にパン屋のババアが間に入ってくれてな」
白髪少女「何をするのと、私の可愛い天使に、何をするのと」
白髪少女「そして撃たれた。あっという間だった。ババアの脳漿が飛び散った」
白髪少女「……」
男「……何というか。言葉が出てこないな」
男「……しかしまあその、そんな目にあって良く今まで無事だったなお前」
白髪少女「その後、売りとばされる前に助けられたんだ」
白髪少女「それは他の誰でもない。お前の父親だ」
男「ほ、本当かよ」
男(親父……いったい何やってるんだ。いや良い事なんだろうけど)
男(……ってか、そういや親父って、何の仕事してたんだ……?)
男(本人は何も言わなかったし、nonno――(爺さん)も決して喋らなかった)
男(金が稼げる仕事なのは間違いなさそうだが)
白髪少女「……私の髪は白いだろう?」
男「あぁ、白いな」
白髪少女「これは生まれつきなんだ。金ではなく白」
白髪少女「この色は少し珍しい。……だから、武装勢力に見つかった時に捕まりそうになった」
白髪少女「良く見ると白い髪だ。処女のこれは、好きもののペドフィリアの金持ちに売れる、と」
男「……」
白髪少女「だが、その時にパン屋のババアが間に入ってくれてな」
白髪少女「何をするのと、私の可愛い天使に、何をするのと」
白髪少女「そして撃たれた。あっという間だった。ババアの脳漿が飛び散った」
白髪少女「……」
男「……何というか。言葉が出てこないな」
男「……しかしまあその、そんな目にあって良く今まで無事だったなお前」
白髪少女「その後、売りとばされる前に助けられたんだ」
白髪少女「それは他の誰でもない。お前の父親だ」
男「ほ、本当かよ」
男(親父……いったい何やってるんだ。いや良い事なんだろうけど)
男(……ってか、そういや親父って、何の仕事してたんだ……?)
男(本人は何も言わなかったし、nonno――(爺さん)も決して喋らなかった)
男(金が稼げる仕事なのは間違いなさそうだが)
77:1 :2019/02/23(土) 21:24:34.463 :FgqS9XXe0.net
白髪少女「本当だ。その後はお前の父親とその仲間たちに随分と良くして貰った」
白髪少女「実の子のように扱ってくれた」
白髪少女「……それで、そうしている中で、お前の話もされた」
白髪少女「自分には君と同じか、少し上くらいの歳の子どもが居るのだ、とな」
男「……なるほど」
男「なんとなーく、お前の事が色々とわかってきた感がある」
男「しかし……いくら興味があると言ったって、俺はさっきまで初対面だった相手だ」
男「そんな身の上話して良かったのか」
白髪少女「お前は無職だが、私に金を求めなかった」
白髪少女「登記簿を見せても、キャッシュカードを見せても」
白髪少女「特に目の色を変えたわけでもない」
男「そいつはどういう経緯があろうが、お前が持ってた金だ」
男「俺がどうこうして良いもんじゃない」
白髪少女「……そこだ。金に誠実な人間は、信頼に値すると私は取る」
男「いや、別に誠実でもないけどな……」
白髪少女「何? そうなのか?」
男「いやそう言われるとな。うーん……誠実な面もあるだろうな」
白髪少女「そうだろう。なら良い」
男「はい」
白髪少女「……さて、ともかく、というわけでパン屋をやりたいのだが」
白髪少女「本当だ。その後はお前の父親とその仲間たちに随分と良くして貰った」
白髪少女「実の子のように扱ってくれた」
白髪少女「……それで、そうしている中で、お前の話もされた」
白髪少女「自分には君と同じか、少し上くらいの歳の子どもが居るのだ、とな」
男「……なるほど」
男「なんとなーく、お前の事が色々とわかってきた感がある」
男「しかし……いくら興味があると言ったって、俺はさっきまで初対面だった相手だ」
男「そんな身の上話して良かったのか」
白髪少女「お前は無職だが、私に金を求めなかった」
白髪少女「登記簿を見せても、キャッシュカードを見せても」
白髪少女「特に目の色を変えたわけでもない」
男「そいつはどういう経緯があろうが、お前が持ってた金だ」
男「俺がどうこうして良いもんじゃない」
白髪少女「……そこだ。金に誠実な人間は、信頼に値すると私は取る」
男「いや、別に誠実でもないけどな……」
白髪少女「何? そうなのか?」
男「いやそう言われるとな。うーん……誠実な面もあるだろうな」
白髪少女「そうだろう。なら良い」
男「はい」
白髪少女「……さて、ともかく、というわけでパン屋をやりたいのだが」
87:1 :2019/02/23(土) 22:42:48.573 :FgqS9XXe0.net
そう言って白髪少女は男を見据えた。
パン屋をやりたい。
それは当初の理由があくまで協力という目的からの提案だったせいか、
彼女は最終的な判断は男に委ねるつもりのようだ。
だが、その瞳には強い力が篭っているように見える。
望まれている言葉を待っているかのようにも見える。
男は僅かの間、黙ったままだったが、やがて、
男「……やりたいなら、やれば良いさ」
そう言った。
正直なところを言うと、
男はその言葉が出た理由が、
自分でも分からなかった。
それは同情の類なのか、
あるいは白髪少女が自分に興味を持ったのと同じく、
男自身も彼女に興味を持ってしまったのか。
白髪少女「そうか、ならば明日から準備だ。色々と忙しくなりそうだ」
白髪少女は眼を細めて笑った。
優しげな笑顔に穢れなき純白は良く映える。
パン屋の老女は彼女の事を天使と比喩したそうだが、
なるほど、なかなかどうして――確かに天使見たいだなと、
ほんの一瞬だけ、男はそう思った。
……
…
時計の針は、既に十二時を指している。
明日も大学はあるし、勉強だってしなければいけない。
しかしけれども、美少女はそのどちらにも手がつかず、
ただただ部屋の壁に耳を当てていた。
隣の部屋の男の様子を探っていたのだ。
美少女「なんで私、こんな事してんだろ……」ピタッ
美少女「でも何か気になるし……」
そう言って白髪少女は男を見据えた。
パン屋をやりたい。
それは当初の理由があくまで協力という目的からの提案だったせいか、
彼女は最終的な判断は男に委ねるつもりのようだ。
だが、その瞳には強い力が篭っているように見える。
望まれている言葉を待っているかのようにも見える。
男は僅かの間、黙ったままだったが、やがて、
男「……やりたいなら、やれば良いさ」
そう言った。
正直なところを言うと、
男はその言葉が出た理由が、
自分でも分からなかった。
それは同情の類なのか、
あるいは白髪少女が自分に興味を持ったのと同じく、
男自身も彼女に興味を持ってしまったのか。
白髪少女「そうか、ならば明日から準備だ。色々と忙しくなりそうだ」
白髪少女は眼を細めて笑った。
優しげな笑顔に穢れなき純白は良く映える。
パン屋の老女は彼女の事を天使と比喩したそうだが、
なるほど、なかなかどうして――確かに天使見たいだなと、
ほんの一瞬だけ、男はそう思った。
……
…
時計の針は、既に十二時を指している。
明日も大学はあるし、勉強だってしなければいけない。
しかしけれども、美少女はそのどちらにも手がつかず、
ただただ部屋の壁に耳を当てていた。
隣の部屋の男の様子を探っていたのだ。
美少女「なんで私、こんな事してんだろ……」ピタッ
美少女「でも何か気になるし……」
106:1 :2019/02/23(土) 23:57:35.111 :FgqS9XXe0.net
美少女「それにしても、ちょっと綺麗な人だったよね」
美少女「兄妹って雰囲気でも無かったし」
美少女「……もう帰ったりしたかな?」
――もう寝よう。
――そうだな。
――ちょっと待て、何で俺の布団に入ってくる?
――何を言っている? 一つしか無いのだ。一緒に寝るしかないだろう。
――俺は床で良い。
――風邪を引く。良いから、一緒に寝るぞ。
――お、おい――やべぇ華奢な癖に意外と力強ぇ。
――ほら。
――くっつくな。色々当たってんだよ!
――ふふっ、どうだ? 結構私も胸が大きいだろ?
ドタバタ ドタバタ
モゾモゾ……ゴソゴソッ
美少女「……」イラッ……
……ガンガンッ!!
美少女「あ、あれ、私……つい壁殴っちゃった」
美少女「手、痛い……」ジィイン
――なんだ! 敵兵か!?
――何が敵兵だよ。うるさくしたからだろ。壁そんな厚くもないし、結構聞こえるんだよ。
――物音とかさ。
――な、なんだそうなのか。じゃあ大人しく一緒に寝るとするか。
――うるさいのは駄目なのだろう?
美少女「…・…」イラッ……ガンッ!
美少女「あれ、ま、また手が勝手に……」ジィィィン
美少女「それにしても、ちょっと綺麗な人だったよね」
美少女「兄妹って雰囲気でも無かったし」
美少女「……もう帰ったりしたかな?」
――もう寝よう。
――そうだな。
――ちょっと待て、何で俺の布団に入ってくる?
――何を言っている? 一つしか無いのだ。一緒に寝るしかないだろう。
――俺は床で良い。
――風邪を引く。良いから、一緒に寝るぞ。
――お、おい――やべぇ華奢な癖に意外と力強ぇ。
――ほら。
――くっつくな。色々当たってんだよ!
――ふふっ、どうだ? 結構私も胸が大きいだろ?
ドタバタ ドタバタ
モゾモゾ……ゴソゴソッ
美少女「……」イラッ……
……ガンガンッ!!
美少女「あ、あれ、私……つい壁殴っちゃった」
美少女「手、痛い……」ジィイン
――なんだ! 敵兵か!?
――何が敵兵だよ。うるさくしたからだろ。壁そんな厚くもないし、結構聞こえるんだよ。
――物音とかさ。
――な、なんだそうなのか。じゃあ大人しく一緒に寝るとするか。
――うるさいのは駄目なのだろう?
美少女「…・…」イラッ……ガンッ!
美少女「あれ、ま、また手が勝手に……」ジィィィン
111:1 :2019/02/24(日) 01:21:19.554 :+vt2eSor0.net
美少女「来月、お酒教えてくれるって約束したじゃん……」ジワッ
美少女「なんで……あれ? なんで私、ちょっと泣いて……」
美少女「おかしくない? だってただのお隣さんじゃん」
美少女「私、変になっちゃったのかな? ……そうだ、絶対そうだ」
美少女「だって、こんなに苦しいなんておかしいもん……」ウゥッ
……
…
夜の街の午前三時は、
だいぶ人気が薄くなる時間だった。
午前0~2時頃にかけて
夜の街を楽しむ人々が帰っていくからである。
さて、まばらながらにその日の営業を終わらせる店も出てくる、
そんな今の頃だった。
――キャバ嬢の職場で少し変わった客が来ていた。
キャバ嬢「ねぇ、あのクソ大学生なんなのー」
店長「さぁ?」
キャバ嬢「もう店終わりでしょー」
店長「でも金もってそうなんだよ、あのガキ」
美少女「来月、お酒教えてくれるって約束したじゃん……」ジワッ
美少女「なんで……あれ? なんで私、ちょっと泣いて……」
美少女「おかしくない? だってただのお隣さんじゃん」
美少女「私、変になっちゃったのかな? ……そうだ、絶対そうだ」
美少女「だって、こんなに苦しいなんておかしいもん……」ウゥッ
……
…
夜の街の午前三時は、
だいぶ人気が薄くなる時間だった。
午前0~2時頃にかけて
夜の街を楽しむ人々が帰っていくからである。
さて、まばらながらにその日の営業を終わらせる店も出てくる、
そんな今の頃だった。
――キャバ嬢の職場で少し変わった客が来ていた。
キャバ嬢「ねぇ、あのクソ大学生なんなのー」
店長「さぁ?」
キャバ嬢「もう店終わりでしょー」
店長「でも金もってそうなんだよ、あのガキ」
116:1 :2019/02/24(日) 02:27:58.729 :+vt2eSor0.net
フツメン ――もっとドンペリ開けるか フゥ
中国人 ――すごいネ! お酒たくさんこんなの見た事無いネ!
キャスト ――きゃーすごーい!
キャバ嬢「……まあ羽振りは良さそうだけど」
店長「正直俺だって店閉めたいっての。一時過ぎての営業は駄目なんだよ、本来」
キャバ嬢「じゃあ閉めようよ。太客になるかも知んないけど、毎回こうだと嫌なんだけど」
キャバ嬢「ってかそもそも、大学生こんな金持ってるって怪しいじゃん」
キャバ嬢「親の金って感じでも無さそうだし」
店長「……マッ、怪しいよな。何か怪しげな中国人も連れて来てるし」
店長「何だか変な所と関わってそうな金な気がするよ」
キャバ嬢「関わらない方が良くなーい?」ハァ
店長「まあでも、金は金だし、あんなポンポン頼むヤツ最近は中々いないからなぁ」
店長「あとちょっと、あとちょっとだけ……」
フツメン ――もっとドンペリ開けるか フゥ
中国人 ――すごいネ! お酒たくさんこんなの見た事無いネ!
キャスト ――きゃーすごーい!
キャバ嬢「……まあ羽振りは良さそうだけど」
店長「正直俺だって店閉めたいっての。一時過ぎての営業は駄目なんだよ、本来」
キャバ嬢「じゃあ閉めようよ。太客になるかも知んないけど、毎回こうだと嫌なんだけど」
キャバ嬢「ってかそもそも、大学生こんな金持ってるって怪しいじゃん」
キャバ嬢「親の金って感じでも無さそうだし」
店長「……マッ、怪しいよな。何か怪しげな中国人も連れて来てるし」
店長「何だか変な所と関わってそうな金な気がするよ」
キャバ嬢「関わらない方が良くなーい?」ハァ
店長「まあでも、金は金だし、あんなポンポン頼むヤツ最近は中々いないからなぁ」
店長「あとちょっと、あとちょっとだけ……」
124:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2019/02/24(日) 03:21:02.809 :+vt2eSor0.net
キャバ嬢「……まぁ決めるのは店長だけどさ」
店長「もう少しで多分帰るだろうから……」
フツメン ――見ててよ、×さん。必ず俺はやって見せるよ。
中国人 ――期待してるヨ、と言いたい所アルけど……大丈夫アルか?
中国人 ――日本黑道。
フツメン ――大丈夫だよ。
フツメン ――俺が必ず、皆がこの国で暴れられるように下準備するから。
フツメン ――不安の種のヤクザはそれから一気に潰せば良いんだ。
フツメン ――利用するだけ利用して、最後にボンだ。
フツメン ――この国の裏社会を牛耳るのは、偉大なる中国だ。
中国人 ―― ……謝謝、勇敢なる同志よ。
フツメン ―― 同志よ。
キャバ嬢「……まぁ決めるのは店長だけどさ」
店長「もう少しで多分帰るだろうから……」
フツメン ――見ててよ、×さん。必ず俺はやって見せるよ。
中国人 ――期待してるヨ、と言いたい所アルけど……大丈夫アルか?
中国人 ――日本黑道。
フツメン ――大丈夫だよ。
フツメン ――俺が必ず、皆がこの国で暴れられるように下準備するから。
フツメン ――不安の種のヤクザはそれから一気に潰せば良いんだ。
フツメン ――利用するだけ利用して、最後にボンだ。
フツメン ――この国の裏社会を牛耳るのは、偉大なる中国だ。
中国人 ―― ……謝謝、勇敢なる同志よ。
フツメン ―― 同志よ。
126:1 :2019/02/24(日) 04:01:14.322 :+vt2eSor0.net
中国人とフツメンの二人は、
互いの心を通わせるように握手しあい、抱擁しあった。
それは旧知と郷里の繋がりと、忠誠心を
確かめあう行為でもあった。
ここは東京。
京と言う名に恥じぬ、人も物も全てが華やかな。
ここは花の都。
花のつぼみで溢れる夢の京。
だがしかし――我々はいつも見ないようにしてしまう。
忘れてしまおうとしてしまう。
美しき花の横には、
いつだって徒花が存在していたのだ、と言う事を。
……
…
チュンチュン チュチューン
男「……結局一緒に寝てしまったな」チラッ
白髪少女 ウニャウニャ zzzz
男「うーん……取り合えず、起きるまでスマホでもいじって待ってるか」スマホ
男「……ん? キャバ嬢からラインが来てる。何だ? 見てみよう」スッスッ
キャバ嬢――ねぇねぇ聞いて聞いて。
キャバ嬢――今日ね、嫌な客来たの。
キャバ嬢――大学生っぽいんだけど、店の終わりの時間になっても帰らないし。
キャバ嬢――金持ってそうだからって店長も帰さないしぃ。
キャバ嬢――まあ別に暴れたとかってワケじゃないんだけど、ムカつくってゆーか。
キャバ嬢――最悪!
キャバ嬢――(ポ○テピピッ○のスタンプ)
男「……暴れてないなら、別に良くね?」
男「まあ、営業時間過ぎても居残られたのは、迷惑だっただろうけど」
中国人とフツメンの二人は、
互いの心を通わせるように握手しあい、抱擁しあった。
それは旧知と郷里の繋がりと、忠誠心を
確かめあう行為でもあった。
ここは東京。
京と言う名に恥じぬ、人も物も全てが華やかな。
ここは花の都。
花のつぼみで溢れる夢の京。
だがしかし――我々はいつも見ないようにしてしまう。
忘れてしまおうとしてしまう。
美しき花の横には、
いつだって徒花が存在していたのだ、と言う事を。
……
…
チュンチュン チュチューン
男「……結局一緒に寝てしまったな」チラッ
白髪少女 ウニャウニャ zzzz
男「うーん……取り合えず、起きるまでスマホでもいじって待ってるか」スマホ
男「……ん? キャバ嬢からラインが来てる。何だ? 見てみよう」スッスッ
キャバ嬢――ねぇねぇ聞いて聞いて。
キャバ嬢――今日ね、嫌な客来たの。
キャバ嬢――大学生っぽいんだけど、店の終わりの時間になっても帰らないし。
キャバ嬢――金持ってそうだからって店長も帰さないしぃ。
キャバ嬢――まあ別に暴れたとかってワケじゃないんだけど、ムカつくってゆーか。
キャバ嬢――最悪!
キャバ嬢――(ポ○テピピッ○のスタンプ)
男「……暴れてないなら、別に良くね?」
男「まあ、営業時間過ぎても居残られたのは、迷惑だっただろうけど」
132:1 :2019/02/24(日) 05:02:44.307 :+vt2eSor0.net
男「金払ってないっては言ってないから、払ったんだろうし……」
男「沸点が良くわからないな」
男「まあ良い。取り合えず返信しとくか」
男「そうか、っと」スッスッ
ピコリーン ルルッ
キャバ嬢――そーだよ!
キャバ嬢――いらいらしてしょうがないから、デートしてよ!
男「理屈が理解不能」
男「……色々あって無理、っと」スッスッ
ピコリーン ルルッ
キャバ嬢――むー。
キャバ嬢――色々って何よ。
男「色々は色々でガスよ、っと」スッスッ
男(……うーん)ピタッ
男(これこのままだとラインが終わらないな。区切りれそうな言葉も追加しとくか)
男「大丈夫そうな時に連絡するから、それまで待って、と」スッスッ
キャバ嬢――分かった。ごめんね。
キャバ嬢――ちょっと私も急過ぎたかも。いきなり言われても予定あるよね、やっぱ。
男「これで時間稼げる。……こんな感じのやり取り繰り返してればそのうち飽きるだろ」
男「居候が増えたし、正直構ってる時間が無いんだよな」
ピコリーン ルルッ
男「ん……? なんだなんだ、今度は正社員女からか」
正社員女――おはよう。元気?
男「金払ってないっては言ってないから、払ったんだろうし……」
男「沸点が良くわからないな」
男「まあ良い。取り合えず返信しとくか」
男「そうか、っと」スッスッ
ピコリーン ルルッ
キャバ嬢――そーだよ!
キャバ嬢――いらいらしてしょうがないから、デートしてよ!
男「理屈が理解不能」
男「……色々あって無理、っと」スッスッ
ピコリーン ルルッ
キャバ嬢――むー。
キャバ嬢――色々って何よ。
男「色々は色々でガスよ、っと」スッスッ
男(……うーん)ピタッ
男(これこのままだとラインが終わらないな。区切りれそうな言葉も追加しとくか)
男「大丈夫そうな時に連絡するから、それまで待って、と」スッスッ
キャバ嬢――分かった。ごめんね。
キャバ嬢――ちょっと私も急過ぎたかも。いきなり言われても予定あるよね、やっぱ。
男「これで時間稼げる。……こんな感じのやり取り繰り返してればそのうち飽きるだろ」
男「居候が増えたし、正直構ってる時間が無いんだよな」
ピコリーン ルルッ
男「ん……? なんだなんだ、今度は正社員女からか」
正社員女――おはよう。元気?
135:1 :2019/02/24(日) 05:21:47.280 :+vt2eSor0.net
男「……取り合えず元気だよ、と」スッスッ
正社員女――良かった。
正社員女――次の職とかまだだろうから、ちょっと心配だったの。
男「そっか。結構心配してくれてたもんな」
男「ありがとう、と」スッスッ
ルルッ
正社員女――ううん。全然大丈夫だよ。
正社員女――それより、本当に大変になったら言ってね。
正社員女――貯蓄もいっぱいあるワケじゃないけど
正社員女――少しくらいなら援助出来るから。(笑顔の絵文字)
男「援助って……別にそんな事しなくて良いっての」
男「えーと……。大丈夫だから、気にしなくて良いよ。それより自分の為に使いなよ、と」スッスッ
ルルッ
正社員女――ありがと。
正社員女――でも、今の提案は私がそうしたくて言ってるだけだから。
正社員女――これもある意味自分の為!
男「……女って生き物は何考えてるか良く分からないな」
男「取り合えず当たり障りのない文章を返しておこう」
男「そうだな……。気持ちは凄く嬉しいよ。本当に大変になったら、悪いけど頼るね。でも今はまだ大丈夫」スッスッ
男「それじゃあ、お仕事いってらっしゃい、と」スッ
ピコリンコッ ルルッ
正社員女――うん♪
正社員女――行ってきます!
正社員女――(可愛い動物のスタンプ)
男「……取り合えず元気だよ、と」スッスッ
正社員女――良かった。
正社員女――次の職とかまだだろうから、ちょっと心配だったの。
男「そっか。結構心配してくれてたもんな」
男「ありがとう、と」スッスッ
ルルッ
正社員女――ううん。全然大丈夫だよ。
正社員女――それより、本当に大変になったら言ってね。
正社員女――貯蓄もいっぱいあるワケじゃないけど
正社員女――少しくらいなら援助出来るから。(笑顔の絵文字)
男「援助って……別にそんな事しなくて良いっての」
男「えーと……。大丈夫だから、気にしなくて良いよ。それより自分の為に使いなよ、と」スッスッ
ルルッ
正社員女――ありがと。
正社員女――でも、今の提案は私がそうしたくて言ってるだけだから。
正社員女――これもある意味自分の為!
男「……女って生き物は何考えてるか良く分からないな」
男「取り合えず当たり障りのない文章を返しておこう」
男「そうだな……。気持ちは凄く嬉しいよ。本当に大変になったら、悪いけど頼るね。でも今はまだ大丈夫」スッスッ
男「それじゃあ、お仕事いってらっしゃい、と」スッ
ピコリンコッ ルルッ
正社員女――うん♪
正社員女――行ってきます!
正社員女――(可愛い動物のスタンプ)
181:1 :2019/02/24(日) 20:15:05.562 :+vt2eSor0.net
男「よし……後は返事しなくて良いな」
白髪少女「う……うぅん」ゴソゴソ
男「おっ、ようやく起きたか。
随分と良く眠ってたな」
白髪少女「……何だか良い匂いが布団からして、ついな」瞼ゴシゴシ
男「……良い匂いって」
白髪少女「何だか安心する匂いだった」フアアァ……
男「……まあ臭いって言われるのも嫌だけど、
良い匂いって言われるのも、
それはそれで、微妙に複雑な気持ちになるな」
白髪少女「……そうか? 私は好きな匂いだが」
男「……俺の事を恥ずかしい気持ちにさせたいだけじゃないだろうな?」
白髪少女「そういう意図は無いが……」
男「そうか」
白髪少女「そうだ。それより、今日は早速建物を見に行く」
男「……登記簿のやつか」
白髪少女「……どんな状態かも分からないのでな。
元々がパン屋だった、見たいな所なら、
色々と手間が省けるのだが……」
男「さすがにそれは無いだろ。
宝くじに当たるより確率低いべ」
白髪少女「……ならば、色々と設備も準備しないとな。
一から揃えてやって行くのも、嫌いでは無い。
一緒に考えよう」
男「パン屋に何が必要かなんて、
俺には分からないんだがね……」
白髪少女「調理器具はそうだろうが、
インテリアや家具なら大丈夫だろう?」
男「まあそれなら。でも別に全部自分の好きにやっても良いぞ。
お前がやりたくてやる事だからな。
好きにすれば良い」
白髪少女「……何を言う。
一緒にやっていく以上、
私だけが何でも決めていくのは良くないだろう」
男「そうか」
白髪少女「そうだ」
男「よし……後は返事しなくて良いな」
白髪少女「う……うぅん」ゴソゴソ
男「おっ、ようやく起きたか。
随分と良く眠ってたな」
白髪少女「……何だか良い匂いが布団からして、ついな」瞼ゴシゴシ
男「……良い匂いって」
白髪少女「何だか安心する匂いだった」フアアァ……
男「……まあ臭いって言われるのも嫌だけど、
良い匂いって言われるのも、
それはそれで、微妙に複雑な気持ちになるな」
白髪少女「……そうか? 私は好きな匂いだが」
男「……俺の事を恥ずかしい気持ちにさせたいだけじゃないだろうな?」
白髪少女「そういう意図は無いが……」
男「そうか」
白髪少女「そうだ。それより、今日は早速建物を見に行く」
男「……登記簿のやつか」
白髪少女「……どんな状態かも分からないのでな。
元々がパン屋だった、見たいな所なら、
色々と手間が省けるのだが……」
男「さすがにそれは無いだろ。
宝くじに当たるより確率低いべ」
白髪少女「……ならば、色々と設備も準備しないとな。
一から揃えてやって行くのも、嫌いでは無い。
一緒に考えよう」
男「パン屋に何が必要かなんて、
俺には分からないんだがね……」
白髪少女「調理器具はそうだろうが、
インテリアや家具なら大丈夫だろう?」
男「まあそれなら。でも別に全部自分の好きにやっても良いぞ。
お前がやりたくてやる事だからな。
好きにすれば良い」
白髪少女「……何を言う。
一緒にやっていく以上、
私だけが何でも決めていくのは良くないだろう」
男「そうか」
白髪少女「そうだ」
184:1 :2019/02/24(日) 20:50:11.929 :+vt2eSor0.net
男「……まあとにかく。
取りあえず現地に行ってみるか」
白髪少女「そうだな。
ところで、私は日本の地名や地理に詳しくない。
この場所はどこなのだ?」ペラッ
男「ここ……大学が密集してるエリアだな。
なるほど。パン屋やるには丁度良いかもな」
白髪少女「そうか……それは良かった」ホッ
男「なんだ安心したような顔して」
白髪少女「店をやっても客が来なければ
さすがに私も滅入る」
男「なるほど」
男「まあともかく、外出の準備しよう。
って言っても俺は着替えてヒゲ剃るだけだから、
すぐ終わるが」
白髪少女「髪型に少し時間が掛かってしまうが、
他は私もそこまで時間は掛からない。
もとより薄化粧だしな」髪ノ毛 ゴソゴソ
白髪少女「……よし、と。どうだ?」髪型セット完了ー
男「……何か複雑そう」
白髪少女「シニョンアレンジだ。可愛いだろう?」
男「ソーダネ」
白髪少女「ならば良し。行こうではないか」
……
…
男「……まあとにかく。
取りあえず現地に行ってみるか」
白髪少女「そうだな。
ところで、私は日本の地名や地理に詳しくない。
この場所はどこなのだ?」ペラッ
男「ここ……大学が密集してるエリアだな。
なるほど。パン屋やるには丁度良いかもな」
白髪少女「そうか……それは良かった」ホッ
男「なんだ安心したような顔して」
白髪少女「店をやっても客が来なければ
さすがに私も滅入る」
男「なるほど」
男「まあともかく、外出の準備しよう。
って言っても俺は着替えてヒゲ剃るだけだから、
すぐ終わるが」
白髪少女「髪型に少し時間が掛かってしまうが、
他は私もそこまで時間は掛からない。
もとより薄化粧だしな」髪ノ毛 ゴソゴソ
白髪少女「……よし、と。どうだ?」髪型セット完了ー
男「……何か複雑そう」
白髪少女「シニョンアレンジだ。可愛いだろう?」
男「ソーダネ」
白髪少女「ならば良し。行こうではないか」
……
…
186:1 :2019/02/24(日) 21:26:48.149 :+vt2eSor0.net
電車
カタタンッ カタタンッ
タタンッ……
白髪少女「不便だな……」
男「何がだ」
白髪少女「いや何、パン屋を始めた後の事を考えていた」
白髪少女「電車は普通の移動手段とだけ考えたら便利だが、」
白髪少女「何かしら物を運ぶと考えたら不便だな、と」
男「そりゃまあ、そうだろうな」
白髪少女「車でも買うか……」
男「買うのは良いが、免許持ってるのかよ」
白髪少女「国際免許を持ってるぞ。車だけじゃなくてヘリコプターのも持っている」
男「何でヘリの免許なんて持ってるんだよ……」
白髪少女「使わなければならない時もあったからな」
男「……ソーデスカ」
白髪少女「男は免許持っているのか?」
男「……車と二輪なら持ってるが」
白髪少女「そうか。では車の運転は大丈夫だな。購入を検討しよう」
電車
カタタンッ カタタンッ
タタンッ……
白髪少女「不便だな……」
男「何がだ」
白髪少女「いや何、パン屋を始めた後の事を考えていた」
白髪少女「電車は普通の移動手段とだけ考えたら便利だが、」
白髪少女「何かしら物を運ぶと考えたら不便だな、と」
男「そりゃまあ、そうだろうな」
白髪少女「車でも買うか……」
男「買うのは良いが、免許持ってるのかよ」
白髪少女「国際免許を持ってるぞ。車だけじゃなくてヘリコプターのも持っている」
男「何でヘリの免許なんて持ってるんだよ……」
白髪少女「使わなければならない時もあったからな」
男「……ソーデスカ」
白髪少女「男は免許持っているのか?」
男「……車と二輪なら持ってるが」
白髪少女「そうか。では車の運転は大丈夫だな。購入を検討しよう」
194:1 :2019/02/24(日) 22:48:51.356 :+vt2eSor0.net
男「……あったら便利だけど、維持費がな」
白髪少女「そうだな。だから決定ではなくて、検討なんだ」
男「なるほど……」
カタタンッ タタンッ
プシュゥウウ
アナウンス ……×番線 ドアガ閉マリマス ゴ注意クダサイ……
テクテクテク
テクテク
テク……
男「……さて、住所的にはここだが。
三階建ての狭小ビルか。
……えーと。
一階が店舗跡地で
二階と三階が貸事務所って感じの間取りのようだが……この階のどれかって事か?
どれどれ詳しく……」ペラリ
白髪少女「……狭いのは特に気にならないが、階は気になるな。
店舗跡地の一階だと良いんだが……」
男「……」
白髪少女「どうした? どの階なんだ?」
男「建物と土地含めて全部だな」
白髪少女「そうか。良かった」
男「……まともに買ったら土地だけでウン千万するだろうなぁ。
下手したら億超えるかもな、これ。
東京の地価的に……。
路地裏だけど、この辺りのエリアは大学多くて悪くはないだろうし」見上ゲルッ
男「どっから出たんだよ親父、その金」ブツブツ
白髪少女「何をぶつぶつ言っている?
とにかく中に入って状態を確かめるぞ。
特に一階だ」
男「ソーダネ」
男「……あったら便利だけど、維持費がな」
白髪少女「そうだな。だから決定ではなくて、検討なんだ」
男「なるほど……」
カタタンッ タタンッ
プシュゥウウ
アナウンス ……×番線 ドアガ閉マリマス ゴ注意クダサイ……
テクテクテク
テクテク
テク……
男「……さて、住所的にはここだが。
三階建ての狭小ビルか。
……えーと。
一階が店舗跡地で
二階と三階が貸事務所って感じの間取りのようだが……この階のどれかって事か?
どれどれ詳しく……」ペラリ
白髪少女「……狭いのは特に気にならないが、階は気になるな。
店舗跡地の一階だと良いんだが……」
男「……」
白髪少女「どうした? どの階なんだ?」
男「建物と土地含めて全部だな」
白髪少女「そうか。良かった」
男「……まともに買ったら土地だけでウン千万するだろうなぁ。
下手したら億超えるかもな、これ。
東京の地価的に……。
路地裏だけど、この辺りのエリアは大学多くて悪くはないだろうし」見上ゲルッ
男「どっから出たんだよ親父、その金」ブツブツ
白髪少女「何をぶつぶつ言っている?
とにかく中に入って状態を確かめるぞ。
特に一階だ」
男「ソーダネ」
202:1 :2019/02/24(日) 23:34:24.580 :+vt2eSor0.net
男「ソウシヨウ」
白髪少女「……」クルッ
白髪少女「ところで……さっきからちょくちょく入るその気のない返事は何だ?」
白髪少女「そういう反応をされると、少し寂しくなるんだが……」
白髪少女「私が一人でから回りしてる馬鹿みたいじゃないか」グスッ
男 !?
男「――そ、そんな事はない」
男「俺だって、それなりに楽しんでる」
男「うそじゃない」
白髪少女「……本当か?」
男「本当だ、本当」
白髪少女「なら良い。入ろう」ケロット
男 ホッ
男(こんな事で寂しいとか言い出すタイプに見えないから、ビックリした……)
…
キィッ…
キィ ギィィィ……
白髪少女「……扉を開く音に、歴史を感じるな」
男「意外と立派に見えたんだが……中入って見ると案外ボロ臭いな」
白髪少女「何を贅沢を言うのだ。趣があると、こう表現すべきだ」
男「ソウシヨウ」
白髪少女「……」クルッ
白髪少女「ところで……さっきからちょくちょく入るその気のない返事は何だ?」
白髪少女「そういう反応をされると、少し寂しくなるんだが……」
白髪少女「私が一人でから回りしてる馬鹿みたいじゃないか」グスッ
男 !?
男「――そ、そんな事はない」
男「俺だって、それなりに楽しんでる」
男「うそじゃない」
白髪少女「……本当か?」
男「本当だ、本当」
白髪少女「なら良い。入ろう」ケロット
男 ホッ
男(こんな事で寂しいとか言い出すタイプに見えないから、ビックリした……)
…
キィッ…
キィ ギィィィ……
白髪少女「……扉を開く音に、歴史を感じるな」
男「意外と立派に見えたんだが……中入って見ると案外ボロ臭いな」
白髪少女「何を贅沢を言うのだ。趣があると、こう表現すべきだ」
205:1 :2019/02/25(月) 00:37:03.436 :l9idSyAy0.net
男「そうだな。
でも結構ほこりとか溜まってるし、
これは大掃除必要そうだな」ツツッー
白髪少女「そうだな。掃除が大変そうだ」
男「二人でやればすぐだろ」
白髪少女「二人? ……そうだな。ありがとう」
男「……何だ突然」
白髪少女「いや……なんとなく道中であんまり乗り気じゃ無さそうに見えたからな」
白髪少女「だから掃除は一人でやろうかと思ったんだが、まさか手伝ってくれるとは」
男「”一緒”にやるって言ったのはお前だろ」
男「俺は悩みはしたが、嫌だって言わなかった」
男「それが答えだ」
白髪少女「……そうか」
男「それに俺は今無職だからな。
せっかく仕事が出来そうなんだ。
態度とは別に、本音を言えば断る理由は無い。
今さっき言っただろ、それなりに楽しんでるって」
男「そうだな。
でも結構ほこりとか溜まってるし、
これは大掃除必要そうだな」ツツッー
白髪少女「そうだな。掃除が大変そうだ」
男「二人でやればすぐだろ」
白髪少女「二人? ……そうだな。ありがとう」
男「……何だ突然」
白髪少女「いや……なんとなく道中であんまり乗り気じゃ無さそうに見えたからな」
白髪少女「だから掃除は一人でやろうかと思ったんだが、まさか手伝ってくれるとは」
男「”一緒”にやるって言ったのはお前だろ」
男「俺は悩みはしたが、嫌だって言わなかった」
男「それが答えだ」
白髪少女「……そうか」
男「それに俺は今無職だからな。
せっかく仕事が出来そうなんだ。
態度とは別に、本音を言えば断る理由は無い。
今さっき言っただろ、それなりに楽しんでるって」
210:1 :2019/02/25(月) 01:18:05.270 :l9idSyAy0.net
白髪少女 フフッ
男「何だよ、俺何か変な事言ったか?」
白髪少女「いやなに、やはり聞いてた通りだなと。
多少捻くれてはいるが、信じて良い性格をしている。
人としては駄目になるかも知れないが、
男としてはきっと良く成長しているだろうと、
そういう風にも聞いていたのだ」
男「……親父も好き勝手言ってくれたもんだ。
そんなに長いこと一緒に居たわけでもないのに、
知った風な口を聞くねぇ」
白髪少女「あながち間違いでも無いだろう。無職だったのだしな」
男「……ずっとじゃないぞ。最近まで働いてたぞ」
白髪少女「過去ではなくて、今現在の話だ。無職だろう?」
男「……はい、そうです」
白髪少女「……素直で宜しい。
まあ無職云々はともかく、
私はお前に興味を持って良かったと思えてるよ」
男「仕事にありつけそうだし、俺もお前に会えて良かったと思うよ。
……あっ、そうだ。
悪いんだが、一階掃除する前に、
ちょっと二階と三階見てきても良いか?」
白髪少女「ああ、好きにしろ」
男「じゃー行ってくる」
白髪少女「いってらっしゃい」
……
…
男(さて、二階と三階はどんな感じかな)
テクテク
テク……
タンタン
タン……
男(……天井や隅がくもの巣だらけだな)
男(一階だけじゃなくて、建物全体の掃除も必要だな)
男(……掃除、一週間ぐらいは掛かるか? まあそんなに大きい建物でもないから)タンタン
男(案外早く終わるかも知れないが――っと、到着っと)ターンッ
白髪少女 フフッ
男「何だよ、俺何か変な事言ったか?」
白髪少女「いやなに、やはり聞いてた通りだなと。
多少捻くれてはいるが、信じて良い性格をしている。
人としては駄目になるかも知れないが、
男としてはきっと良く成長しているだろうと、
そういう風にも聞いていたのだ」
男「……親父も好き勝手言ってくれたもんだ。
そんなに長いこと一緒に居たわけでもないのに、
知った風な口を聞くねぇ」
白髪少女「あながち間違いでも無いだろう。無職だったのだしな」
男「……ずっとじゃないぞ。最近まで働いてたぞ」
白髪少女「過去ではなくて、今現在の話だ。無職だろう?」
男「……はい、そうです」
白髪少女「……素直で宜しい。
まあ無職云々はともかく、
私はお前に興味を持って良かったと思えてるよ」
男「仕事にありつけそうだし、俺もお前に会えて良かったと思うよ。
……あっ、そうだ。
悪いんだが、一階掃除する前に、
ちょっと二階と三階見てきても良いか?」
白髪少女「ああ、好きにしろ」
男「じゃー行ってくる」
白髪少女「いってらっしゃい」
……
…
男(さて、二階と三階はどんな感じかな)
テクテク
テク……
タンタン
タン……
男(……天井や隅がくもの巣だらけだな)
男(一階だけじゃなくて、建物全体の掃除も必要だな)
男(……掃除、一週間ぐらいは掛かるか? まあそんなに大きい建物でもないから)タンタン
男(案外早く終わるかも知れないが――っと、到着っと)ターンッ
215:1 :2019/02/25(月) 02:14:44.153 :l9idSyAy0.net
男が暢気に二階に辿り着くと、
右手側すぐの所にドアが見えた。
ドアには、
――○×探偵事務所 入り口――
と言う文字が書いてある。
男「……探偵事務所? まあ良い、入って見るか」
ガチッ ガチガチッ
男「げっ、鍵かかってんべ。
このビルにはテナントなんてもう入ってないハズだが……。
白髪少女も鍵云々なんて話はしてなかったぞ。
考えられるとすれば、
親父が買った時に貰った鍵の存在忘れてたか、
無くしたかのどっちかだな」
ガチガチガチッ
男「くっそ……力づくで開けるか。――んんっ」
ググッ ガンガンッ ガガンッ
ドンガラガラッシャアアアアン……プラーン、プラーン
男「まあしょうがないな」フゥ
男「……さて、中入るか」
スタスタ
カサァ……
男が元探偵事務所の中に入ると、
書類が床一面に散らばっていた。
机や本や応接に使うであろうソファも、
そっくりそのまま残されていて、
散らばった書類と相まって、
まるで夜逃げでもした後のようだ。
男「どんな状況でこんな状態で退去になるんだよ……」スッ
男は何気なしに、
足元に落ちている書類を拾った。
それは調査書の一つであった。
【身辺調査書。ご依頼頂いた、婚約者の中国からの不法入国の疑いについて】
男「何だこれ……って、平成初期? これ二十年以上前のだべや」
男「随分と前にここの探偵事務所は廃業してんだな」
男が暢気に二階に辿り着くと、
右手側すぐの所にドアが見えた。
ドアには、
――○×探偵事務所 入り口――
と言う文字が書いてある。
男「……探偵事務所? まあ良い、入って見るか」
ガチッ ガチガチッ
男「げっ、鍵かかってんべ。
このビルにはテナントなんてもう入ってないハズだが……。
白髪少女も鍵云々なんて話はしてなかったぞ。
考えられるとすれば、
親父が買った時に貰った鍵の存在忘れてたか、
無くしたかのどっちかだな」
ガチガチガチッ
男「くっそ……力づくで開けるか。――んんっ」
ググッ ガンガンッ ガガンッ
ドンガラガラッシャアアアアン……プラーン、プラーン
男「まあしょうがないな」フゥ
男「……さて、中入るか」
スタスタ
カサァ……
男が元探偵事務所の中に入ると、
書類が床一面に散らばっていた。
机や本や応接に使うであろうソファも、
そっくりそのまま残されていて、
散らばった書類と相まって、
まるで夜逃げでもした後のようだ。
男「どんな状況でこんな状態で退去になるんだよ……」スッ
男は何気なしに、
足元に落ちている書類を拾った。
それは調査書の一つであった。
【身辺調査書。ご依頼頂いた、婚約者の中国からの不法入国の疑いについて】
男「何だこれ……って、平成初期? これ二十年以上前のだべや」
男「随分と前にここの探偵事務所は廃業してんだな」
216:1 :2019/02/25(月) 02:42:26.599 :l9idSyAy0.net
書類の日付に時代を感じつつも、
同時に男は何か面白そうだなと言う思いも抱き、
書類の内容に目を通す事にした。
【×月○日 午前00:12】
――調査対象者が、○○通りで立っているのを確認。
――誰かを待っていると思われる。
(歩道脇で立っている男の写真が添付されている)
【同日 午前00:27】
――待ち人と思われる人物が車で到着。
――調査対象者と話をしているのを確認。
――通行人の振りをして接近し、会話の盗聴を試みるものの、
――中国語での会話をしている為、内容は分からず。
――ただし、当事務所の独自調査網によると、
――相手方の中国人は密輸ブローカーである疑いが濃厚。
(二人の男の会話中の写真が添付されている)
【同日 午前00:42】
――会話が一通り終わる? と、
――調査対象者は中国人の車に乗り込んだ。
――調査員も車を使用して後を追った。
(走り出した車の写真が添付されている)
【同日 午前01:29】
――調査対象者を乗せた車が、
――港にある廃倉庫に到着。
――廃倉庫からは明かりが漏れている。
――二人以外にも相当数の人間が居ると見られる。
(明かりが漏れる廃倉庫の写真が添付されている)
書類の日付に時代を感じつつも、
同時に男は何か面白そうだなと言う思いも抱き、
書類の内容に目を通す事にした。
【×月○日 午前00:12】
――調査対象者が、○○通りで立っているのを確認。
――誰かを待っていると思われる。
(歩道脇で立っている男の写真が添付されている)
【同日 午前00:27】
――待ち人と思われる人物が車で到着。
――調査対象者と話をしているのを確認。
――通行人の振りをして接近し、会話の盗聴を試みるものの、
――中国語での会話をしている為、内容は分からず。
――ただし、当事務所の独自調査網によると、
――相手方の中国人は密輸ブローカーである疑いが濃厚。
(二人の男の会話中の写真が添付されている)
【同日 午前00:42】
――会話が一通り終わる? と、
――調査対象者は中国人の車に乗り込んだ。
――調査員も車を使用して後を追った。
(走り出した車の写真が添付されている)
【同日 午前01:29】
――調査対象者を乗せた車が、
――港にある廃倉庫に到着。
――廃倉庫からは明かりが漏れている。
――二人以外にも相当数の人間が居ると見られる。
(明かりが漏れる廃倉庫の写真が添付されている)
218:1 :2019/02/25(月) 02:57:55.102 :l9idSyAy0.net
【同日 午前02:01】
――廃倉庫から調査対象者が出てくる。
――ボストンバッグのようなものを持っている。
――入る前には持っていなかった事から、
――倉庫内で受け取ったと思われる。
――調査対象者は、今度は来た時とは別の車に乗った。
(ボストンバッグを大事そうに抱える男の写真が添付されている)
【同日 午前02:15】
――車の行き先は横浜方面。
――調査員も再び後を追った。
(車内から撮った前方を走る車の写真が添付されている)
【同日 午前02:41】
――車が止まる。
――すると、調査対象者のみが降り、車は行ってしまった。
――調査対象者は依然としてボストンバッグを大事そうに抱えたまま、
――近くにあった建物の中に入った。
――調査対象者が入ったこの建物は、××会系の暴力団事務所である。
――事務所にはまだ人が居るようで、明かりが漏れている。
(暴力団事務所と、そこに入る瞬間の男の写真が添付されている)
【同日 午前04:01】
――調査対象者が暴力団事務所から出てくる。
――抱えていたボストンバッグは持っていない。
――どうやらこの暴力団事務所に置いた? 渡した? 様子である。
――男は周囲の様子を伺いながら、タクシーを捕まえて移動した。
――調査員も後を追う。
(手ぶらで事務所から出てくる写真、タクシーに乗り込む写真が添付されている)
【午前04:55】
――調査対象者が自宅に到着。
――自宅の中に入ると、少しの間、電気を点けて何かをしていたようだが、
――まもなく消灯。
(真っ暗になったアパートの外観の写真が添付されている)
以上が尾行調査の成果である。
続けて、聞き込みによる成果に移る。
【同日 午前02:01】
――廃倉庫から調査対象者が出てくる。
――ボストンバッグのようなものを持っている。
――入る前には持っていなかった事から、
――倉庫内で受け取ったと思われる。
――調査対象者は、今度は来た時とは別の車に乗った。
(ボストンバッグを大事そうに抱える男の写真が添付されている)
【同日 午前02:15】
――車の行き先は横浜方面。
――調査員も再び後を追った。
(車内から撮った前方を走る車の写真が添付されている)
【同日 午前02:41】
――車が止まる。
――すると、調査対象者のみが降り、車は行ってしまった。
――調査対象者は依然としてボストンバッグを大事そうに抱えたまま、
――近くにあった建物の中に入った。
――調査対象者が入ったこの建物は、××会系の暴力団事務所である。
――事務所にはまだ人が居るようで、明かりが漏れている。
(暴力団事務所と、そこに入る瞬間の男の写真が添付されている)
【同日 午前04:01】
――調査対象者が暴力団事務所から出てくる。
――抱えていたボストンバッグは持っていない。
――どうやらこの暴力団事務所に置いた? 渡した? 様子である。
――男は周囲の様子を伺いながら、タクシーを捕まえて移動した。
――調査員も後を追う。
(手ぶらで事務所から出てくる写真、タクシーに乗り込む写真が添付されている)
【午前04:55】
――調査対象者が自宅に到着。
――自宅の中に入ると、少しの間、電気を点けて何かをしていたようだが、
――まもなく消灯。
(真っ暗になったアパートの外観の写真が添付されている)
以上が尾行調査の成果である。
続けて、聞き込みによる成果に移る。
220:1 :2019/02/25(月) 03:16:20.794 :l9idSyAy0.net
【近隣住民からの評判】
調査対象者の住むアパートの住人による評判。
①下の階に住む20代男性
――中国人だって言うのは知ってるけど、
――何しに日本に来たのかは分からない。
――あまり会話もしないから。
――真夜中とか朝方に帰ってきたりするのは頻繁に見るけど、
――ちょっと不気味って感じはある。
②同じ階に住む30代主婦
――○○さん?
――あんまり関心無いから、分からないわ。
――ただ、夜中に何かしてる事があるようで、
――物音がする事があるの。
――子ども起きちゃうから、止めて欲しいのよね。
――注意はしたんだけど、
――『私日本語、難しいの、分からない』
――って避けられて……。
――困ってるわ。
③角部屋に住む40代男性
――さぁ、良く分からないね。
――でも前に一度、
――入れ墨の入ったヤクザ見たいな人から、
――お金の入った封筒貰ってるの見た事あるよ。
――最初は何だ?って思ってたけど、
――その場で封筒の中からお金を出して数えてたから、
――間違いないよ。
――ああいうの、関わりたくないね。
【職場からの評判】
※、職場が判明しなかった為、調査無し。
定職にはついていない可能性が高いと思われる。
【近隣住民からの評判】
調査対象者の住むアパートの住人による評判。
①下の階に住む20代男性
――中国人だって言うのは知ってるけど、
――何しに日本に来たのかは分からない。
――あまり会話もしないから。
――真夜中とか朝方に帰ってきたりするのは頻繁に見るけど、
――ちょっと不気味って感じはある。
②同じ階に住む30代主婦
――○○さん?
――あんまり関心無いから、分からないわ。
――ただ、夜中に何かしてる事があるようで、
――物音がする事があるの。
――子ども起きちゃうから、止めて欲しいのよね。
――注意はしたんだけど、
――『私日本語、難しいの、分からない』
――って避けられて……。
――困ってるわ。
③角部屋に住む40代男性
――さぁ、良く分からないね。
――でも前に一度、
――入れ墨の入ったヤクザ見たいな人から、
――お金の入った封筒貰ってるの見た事あるよ。
――最初は何だ?って思ってたけど、
――その場で封筒の中からお金を出して数えてたから、
――間違いないよ。
――ああいうの、関わりたくないね。
【職場からの評判】
※、職場が判明しなかった為、調査無し。
定職にはついていない可能性が高いと思われる。
222:1 :2019/02/25(月) 03:33:56.431 :l9idSyAy0.net
以上が聞き込み調査の成果である。
……
…
【所見】
今回の調査では、
調査対象者が不法入国者か否かは判明しなかった。
しかし、反社会勢力、裏社会勢力との関わりが判明した。
近隣住民などの聞き込みからも、
調査対象者の生活面、人格面などで良好な点は見受けられない。
仮に調査対象者が正規入国であったとしても、
何らかの犯罪に関わっている可能性が高いと推察される。
……以上がご依頼頂いた調査の全ての成果となります。
調査範囲は料金によって範囲や精度が異なります。
より詳しくお知りになりたい場合は、
追加料金を頂く事となります。
以上が聞き込み調査の成果である。
……
…
【所見】
今回の調査では、
調査対象者が不法入国者か否かは判明しなかった。
しかし、反社会勢力、裏社会勢力との関わりが判明した。
近隣住民などの聞き込みからも、
調査対象者の生活面、人格面などで良好な点は見受けられない。
仮に調査対象者が正規入国であったとしても、
何らかの犯罪に関わっている可能性が高いと推察される。
……以上がご依頼頂いた調査の全ての成果となります。
調査範囲は料金によって範囲や精度が異なります。
より詳しくお知りになりたい場合は、
追加料金を頂く事となります。
223:1 :2019/02/25(月) 03:51:58.780 :l9idSyAy0.net
男「……何だか凄い事調査してるな」バサッ
男「こんなん絶対に婚約破棄するよな」ハハッ
男「しっかし……依頼主のその後が地味に気になるな。
まあ気にしてもしょうがないんだけどさ」
男「……さてと、他には何か面白そうなものは無いかな?」
ゴソゴソ ゴソゴソーリ
ゴッソン……
男「……中々無いな」
男「二階はこんなもんかな?」
男「ちょっとガッカリだが……まあでも落胆ばかりでも無い」
男「俺が壊したドアさえ直せば、この部屋は事務所として普通に使えそうだしな。
机とか棚とかは埃さえ取ればまだ綺麗そうだし」
男「……んじゃあこんな所で、次は三階行くか」
テクテク
テク……
タンタン
タン……
男が三階に辿り着くと、
今度は左手側にドアが見えた。
狭小ビルらしいと言えばらしいのだが、
どうやら部屋は各階に一つずつらしい。
男「……さてと、
こっちは下の探偵事務所とは違って何も書いてないけど、
何があるのかな――」
ボロンッ…
男「ド、ドアノブが取れた……」エェ?
男「良く見れば錆びてるし、このドアノブ」
男「まあ鍵掛かってなくて良かったと言えば良かったけど」ギィ
男「……何だか凄い事調査してるな」バサッ
男「こんなん絶対に婚約破棄するよな」ハハッ
男「しっかし……依頼主のその後が地味に気になるな。
まあ気にしてもしょうがないんだけどさ」
男「……さてと、他には何か面白そうなものは無いかな?」
ゴソゴソ ゴソゴソーリ
ゴッソン……
男「……中々無いな」
男「二階はこんなもんかな?」
男「ちょっとガッカリだが……まあでも落胆ばかりでも無い」
男「俺が壊したドアさえ直せば、この部屋は事務所として普通に使えそうだしな。
机とか棚とかは埃さえ取ればまだ綺麗そうだし」
男「……んじゃあこんな所で、次は三階行くか」
テクテク
テク……
タンタン
タン……
男が三階に辿り着くと、
今度は左手側にドアが見えた。
狭小ビルらしいと言えばらしいのだが、
どうやら部屋は各階に一つずつらしい。
男「……さてと、
こっちは下の探偵事務所とは違って何も書いてないけど、
何があるのかな――」
ボロンッ…
男「ド、ドアノブが取れた……」エェ?
男「良く見れば錆びてるし、このドアノブ」
男「まあ鍵掛かってなくて良かったと言えば良かったけど」ギィ
234:1 :2019/02/25(月) 06:43:15.341 :l9idSyAy0.net
男が部屋の中に入ると、
そこは居住空間の様だった。
間取りはバス・トイレ別の2DK。
ここは、下の探偵事務所のように、
置き忘れのような荷物の類は無く、
すっきりとしていた。
とは言え下の階と同様に、
長年誰も使用していないのか、
埃が積もってはいるのだが……。
男「まあでも、荷物の類が無いんだとしたら掃除は楽だな。
部屋の埃取って入り口のドアを新しくするだけだ」
男「……と言うか、どうしようかな。
ここ、今住んでる所よりは広い。
ここに引っ越すか……?
一人の時はワンルームで十分だったけど、
今は二人になってしまったからな……。
これぐらいの広さの方が良いかも知れない。
それにここに住めば、
やる予定の店のすぐ近くだ。
そもそも同じ建物内だしな。
それに、バス・トイレ別も魅力だ」
男「……相談してから決めるか」
男はそう独り言ちると、
ゆっくりと今来た道を戻って行った。
……
…
白髪少女「――なるほど。一番上の階は住めるようになっているんだな?」
男「そうだ。
それで相談なんだが、ここでパン屋をやるならそこに住むのはどうだろうか?
今いるマンションに住みながらここ使うってなると、
毎日毎日店開ける為に、
電車使うかあるいは検討するっつってた車を買うかになる。
でも、電車は電車で何かあってダイヤが乱れて、
開店時間に間に合わなかったりしたら大変だし、
車は二箇所に駐車場借りなきゃいけなくなるし。
金いくらか持ってるのは聞いたけど、
無駄遣いはしないようにするべ」
白髪少女「……」フム
男が部屋の中に入ると、
そこは居住空間の様だった。
間取りはバス・トイレ別の2DK。
ここは、下の探偵事務所のように、
置き忘れのような荷物の類は無く、
すっきりとしていた。
とは言え下の階と同様に、
長年誰も使用していないのか、
埃が積もってはいるのだが……。
男「まあでも、荷物の類が無いんだとしたら掃除は楽だな。
部屋の埃取って入り口のドアを新しくするだけだ」
男「……と言うか、どうしようかな。
ここ、今住んでる所よりは広い。
ここに引っ越すか……?
一人の時はワンルームで十分だったけど、
今は二人になってしまったからな……。
これぐらいの広さの方が良いかも知れない。
それにここに住めば、
やる予定の店のすぐ近くだ。
そもそも同じ建物内だしな。
それに、バス・トイレ別も魅力だ」
男「……相談してから決めるか」
男はそう独り言ちると、
ゆっくりと今来た道を戻って行った。
……
…
白髪少女「――なるほど。一番上の階は住めるようになっているんだな?」
男「そうだ。
それで相談なんだが、ここでパン屋をやるならそこに住むのはどうだろうか?
今いるマンションに住みながらここ使うってなると、
毎日毎日店開ける為に、
電車使うかあるいは検討するっつってた車を買うかになる。
でも、電車は電車で何かあってダイヤが乱れて、
開店時間に間に合わなかったりしたら大変だし、
車は二箇所に駐車場借りなきゃいけなくなるし。
金いくらか持ってるのは聞いたけど、
無駄遣いはしないようにするべ」
白髪少女「……」フム
268:1 :2019/02/25(月) 19:52:17.517 :l9idSyAy0.net
男「それに、今の所に住み続ければ家賃が無駄に掛かる」
白髪少女「……それは確かに、そうだな。ではここに住む事とするか」
男「それが良い」
白髪少女「ではそうと決まったら、掃除や手入れを手早く終わらせよう」
男「そうだな。……ところで、一階はどうだった? パン屋出来そうか?」
白髪少女「それなら大丈夫そうだ。
狭いことは狭いが、
一階は昔に何かの食堂だったようで、
フリーザーやオーブンを置くスペースは確保出来る」
男「食堂か……。学生が多い地域だし、昔は儲かったんだろうな」
白髪少女「昔はとは何だ、昔はとは。
まるで今は商売にならない、見たいに聞こえるのだが」
男「そういうつもりじゃない。
ただ、昔の方が今より学生が多かっただろうからって意味だ。
少子高齢化だか何だかで、若い人の数が減ってるしな。
まあでも依然として学生が多い地域な事には変わりは無い」
白髪少女「そういう事か。……しかし、子どもが減っているのか?」
男「少子高齢化ってヤツだな。
金が無いとか相手がいないとか、
まあ理由は色々あるようだが……
そう言えば、子どもが嫌いだから作らないってのも何かで見たな」
白髪少女「子ども嫌いゆえにか……。そのケースは、私にはあまり理解が出来ないな」
男「何だ、子ども好きなのか?」
白髪少女「苦手ではあるが、嫌いでは無いぞ。将来的には三人くらい子どもが欲しいなと思っている」ウンウン
男「そ、そうか」
白髪少女「男の子が二人、女の子が一人くらいが一番良いな。いや、二人ずつの四人もアリかも知れない」
男「……ソ、ソーナンダ」
……
…
男「それに、今の所に住み続ければ家賃が無駄に掛かる」
白髪少女「……それは確かに、そうだな。ではここに住む事とするか」
男「それが良い」
白髪少女「ではそうと決まったら、掃除や手入れを手早く終わらせよう」
男「そうだな。……ところで、一階はどうだった? パン屋出来そうか?」
白髪少女「それなら大丈夫そうだ。
狭いことは狭いが、
一階は昔に何かの食堂だったようで、
フリーザーやオーブンを置くスペースは確保出来る」
男「食堂か……。学生が多い地域だし、昔は儲かったんだろうな」
白髪少女「昔はとは何だ、昔はとは。
まるで今は商売にならない、見たいに聞こえるのだが」
男「そういうつもりじゃない。
ただ、昔の方が今より学生が多かっただろうからって意味だ。
少子高齢化だか何だかで、若い人の数が減ってるしな。
まあでも依然として学生が多い地域な事には変わりは無い」
白髪少女「そういう事か。……しかし、子どもが減っているのか?」
男「少子高齢化ってヤツだな。
金が無いとか相手がいないとか、
まあ理由は色々あるようだが……
そう言えば、子どもが嫌いだから作らないってのも何かで見たな」
白髪少女「子ども嫌いゆえにか……。そのケースは、私にはあまり理解が出来ないな」
男「何だ、子ども好きなのか?」
白髪少女「苦手ではあるが、嫌いでは無いぞ。将来的には三人くらい子どもが欲しいなと思っている」ウンウン
男「そ、そうか」
白髪少女「男の子が二人、女の子が一人くらいが一番良いな。いや、二人ずつの四人もアリかも知れない」
男「……ソ、ソーナンダ」
……
…
279:1 :2019/02/25(月) 21:40:01.100 :l9idSyAy0.net
…
……
一週間後。
半ば泊りがけになりつつも狭小ビルの掃除が終わり、
壊れたドアも修繕を施した。
設備の購入や搬入、営業許可等はまだであるものの、
住居スペースで暮らす分には問題は無い段階までは来ている事もあって、
男は引越し業者を使い、
住んでいたワンルームマンションを退去することにした。
今現在、男の部屋には引越し業者が入室し、
荷纏めをして、トラックに詰め込んでいる所だった。
美少女「引越し業者……? 男さん、引っ越すの……?」
あくせくと働く引越し業者が男の部屋から荷物を運び出していくのを見て、
美少女は驚いて眼ぱちくりとさせる。
だが、それも無理も無い。
男は隣近所への退去の挨拶をするのを忘れていたのだった。
美少女「……どういう、こと?」
美少女「最近帰ってこないなって、会わないなって思ってたら」
美少女「いきなり引越しだなんて……」唖然
美少女は、自身の体から力が抜けていくのを感じていた。
どうしようもない虚無感に襲われ、
体中の熱が奪われていくようだった。
しかし、冷えていく体とは裏腹に、
美少女の心の中には僅かな熱が点りはじめる。
美少女「……あの女のせいかな。あの白髪の」
美少女「……男さん優しそうだもん。きっとその優しさにつけこんだんだ」
美少女「だって約束したんだもん。誕生日にお酒教えてくれるって」
美少女「それを忘れていきなり引越しって、きっとあの女と何かあったんだ」
美少女「男さんの部屋に泊まってた時、何か騒がしかったけど……男さんきっと本当は嫌がってると思う」
美少女「優しいから相手してただけだよ、多分」
美少女「無理やり体の関係でも迫って、責任取れとでも言ったのかな……?」
…
……
一週間後。
半ば泊りがけになりつつも狭小ビルの掃除が終わり、
壊れたドアも修繕を施した。
設備の購入や搬入、営業許可等はまだであるものの、
住居スペースで暮らす分には問題は無い段階までは来ている事もあって、
男は引越し業者を使い、
住んでいたワンルームマンションを退去することにした。
今現在、男の部屋には引越し業者が入室し、
荷纏めをして、トラックに詰め込んでいる所だった。
美少女「引越し業者……? 男さん、引っ越すの……?」
あくせくと働く引越し業者が男の部屋から荷物を運び出していくのを見て、
美少女は驚いて眼ぱちくりとさせる。
だが、それも無理も無い。
男は隣近所への退去の挨拶をするのを忘れていたのだった。
美少女「……どういう、こと?」
美少女「最近帰ってこないなって、会わないなって思ってたら」
美少女「いきなり引越しだなんて……」唖然
美少女は、自身の体から力が抜けていくのを感じていた。
どうしようもない虚無感に襲われ、
体中の熱が奪われていくようだった。
しかし、冷えていく体とは裏腹に、
美少女の心の中には僅かな熱が点りはじめる。
美少女「……あの女のせいかな。あの白髪の」
美少女「……男さん優しそうだもん。きっとその優しさにつけこんだんだ」
美少女「だって約束したんだもん。誕生日にお酒教えてくれるって」
美少女「それを忘れていきなり引越しって、きっとあの女と何かあったんだ」
美少女「男さんの部屋に泊まってた時、何か騒がしかったけど……男さんきっと本当は嫌がってると思う」
美少女「優しいから相手してただけだよ、多分」
美少女「無理やり体の関係でも迫って、責任取れとでも言ったのかな……?」
280:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/25(月) 21:46:08.875 :hOkC8OpMd.net
闇堕ちしててワロタ
284:1 :2019/02/25(月) 22:19:14.317 :l9idSyAy0.net
美少女「……そうだよ。そうに決まってる。
だって私が負けるわけないし。
――自慢じゃないけど、可愛いって言われるもん。
そりゃあの女も綺麗だけど、でも性格とかキツそう……。
男さん、騙されてるんだよ。
それ見抜けてない。
だから、私がなんとかしてあげないと……」
ルルッ ピッコピッコリーン
美少女「ライン……?」
友少女1――この前言ってたヤツ、日にち決まったから教えるね。
友少女1――○○日の×曜日だから、忘れずに来てね!
美少女「だるいな、行くの。でも行くった言っちゃったしな……。この日はさくっと顔だけ出してさっさと帰ろ」ハァ
美少女「とりあえず……分かったよーとだけ、ラインしておこう」スッスッ
美少女(……でも、ライン、か。そういえば私、男さんのライン知らないや)
美少女(お隣だからいつでも会えると思って、聞き逃しちゃった)
美少女(どうやったら分かるかな、男さんの連絡先)
引越し業者――ヨシ、コレデ最後ダナ!
引越し業者2――ンジャ、マンションノ管理人ニ挨拶シテクカ。
美少女「……そっか。管理人さんなら、分かるかも」
美少女「……そうだよ。そうに決まってる。
だって私が負けるわけないし。
――自慢じゃないけど、可愛いって言われるもん。
そりゃあの女も綺麗だけど、でも性格とかキツそう……。
男さん、騙されてるんだよ。
それ見抜けてない。
だから、私がなんとかしてあげないと……」
ルルッ ピッコピッコリーン
美少女「ライン……?」
友少女1――この前言ってたヤツ、日にち決まったから教えるね。
友少女1――○○日の×曜日だから、忘れずに来てね!
美少女「だるいな、行くの。でも行くった言っちゃったしな……。この日はさくっと顔だけ出してさっさと帰ろ」ハァ
美少女「とりあえず……分かったよーとだけ、ラインしておこう」スッスッ
美少女(……でも、ライン、か。そういえば私、男さんのライン知らないや)
美少女(お隣だからいつでも会えると思って、聞き逃しちゃった)
美少女(どうやったら分かるかな、男さんの連絡先)
引越し業者――ヨシ、コレデ最後ダナ!
引越し業者2――ンジャ、マンションノ管理人ニ挨拶シテクカ。
美少女「……そっか。管理人さんなら、分かるかも」
290:1 :2019/02/25(月) 23:42:54.563 :l9idSyAy0.net
美少女「善は急げ……だよね」スッ
テク
テクテク
タンタン
タンタンタタンッ
タタンッ
テクテク……
美少女「……」ジィッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)――エェ、ワカリマシタァ↑
引越し業者――ンジャマ、俺ラハコレデ
引越し業者――ペコリーノ
美少女「……」
テクテクテク
テク……
――管理人室――
美少女「……よし」
ノック コンコン
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「はいはい」ヌッヌッ
美少女「すみません、ちょっとお伺いしたい事があるのですが」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「これはこれは、○○号室の美少女さんじゃないですか。
お伺いとはいったい何の御用?」
美少女「隣に住んでた男さんなんですけど。引っ越しするんですか?」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「うんうん、引っ越すんだってね」
美少女「連絡先教えて欲しいんですけど」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「い、いきなり何を……だ、駄目だよお。個人情報だから、そう簡単には教えられないよお」
美少女「善は急げ……だよね」スッ
テク
テクテク
タンタン
タンタンタタンッ
タタンッ
テクテク……
美少女「……」ジィッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)――エェ、ワカリマシタァ↑
引越し業者――ンジャマ、俺ラハコレデ
引越し業者――ペコリーノ
美少女「……」
テクテクテク
テク……
――管理人室――
美少女「……よし」
ノック コンコン
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「はいはい」ヌッヌッ
美少女「すみません、ちょっとお伺いしたい事があるのですが」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「これはこれは、○○号室の美少女さんじゃないですか。
お伺いとはいったい何の御用?」
美少女「隣に住んでた男さんなんですけど。引っ越しするんですか?」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「うんうん、引っ越すんだってね」
美少女「連絡先教えて欲しいんですけど」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「い、いきなり何を……だ、駄目だよお。個人情報だから、そう簡単には教えられないよお」
295:1 :2019/02/26(火) 00:23:52.381 :myjdNVpu0.net
美少女「……どうしても知りたいんです」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「うーん。何か理由でも……?」
美少女「……色々あるんです。駄目ですか……?」ウルウルッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「う、うっ……お、おじさん可愛い子には弱いんだから、やめてそういうの」
美少女「……おじさん、教えてくれたら、良い事出来るかも」ツンツン
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「い、良い事……」ゴクリンコッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「ど、どんな事……?」ハァハァ
美少女「教えてくれたら、教えても良いけどぉ……」ウーンッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「教える、教えるよっ、だから良い事って何か教えてよぉ! おじさん、今のでもう下半身が大変な事になってるんだよぉ?」ムハァハァ
美少女「……どうしても知りたいんです」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「うーん。何か理由でも……?」
美少女「……色々あるんです。駄目ですか……?」ウルウルッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「う、うっ……お、おじさん可愛い子には弱いんだから、やめてそういうの」
美少女「……おじさん、教えてくれたら、良い事出来るかも」ツンツン
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「い、良い事……」ゴクリンコッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「ど、どんな事……?」ハァハァ
美少女「教えてくれたら、教えても良いけどぉ……」ウーンッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「教える、教えるよっ、だから良い事って何か教えてよぉ! おじさん、今のでもう下半身が大変な事になってるんだよぉ?」ムハァハァ
297:1 :2019/02/26(火) 00:54:01.079 :myjdNVpu0.net
美少女「……じゃあ、早く教えてください」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「待ってて! ……あぁ、あったこれだこれ」ゴソゴソ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……えーと、×××-○○○○ー▽▽▽▽だね。
住所はごめんよ……分からない」シュン
美少女「……いえ、電話番号だけ分かればあとは大丈夫なので。ありがとうざいました」ペコリ クルッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「ちょ、ちょっと待って――」
美少女「……なんですか?」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「良い事は……?」
美少女「かも、とは言ったけど絶対って言ってない。
それにお礼言ったし、それが良い事って事で」クルッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「――ちょ、待てよ!」ガシッ
美少女「いたっ……何するんですか? 警察呼びますよ?」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「何だよ、それ……期待持たせるだけ持たせて、おっさんの事あんまり馬鹿にすんなよ……っ」グイッ
美少女「――放してっ!」ジタバタッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「――何で? 約束は守って貰うよ。
世の中ね、約束は大事なんだ。
破っちゃ駄目なんだよ?
お父さんとお母さんから教わらなかったかい?」
美少女「……じゃあ、早く教えてください」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「待ってて! ……あぁ、あったこれだこれ」ゴソゴソ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……えーと、×××-○○○○ー▽▽▽▽だね。
住所はごめんよ……分からない」シュン
美少女「……いえ、電話番号だけ分かればあとは大丈夫なので。ありがとうざいました」ペコリ クルッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「ちょ、ちょっと待って――」
美少女「……なんですか?」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「良い事は……?」
美少女「かも、とは言ったけど絶対って言ってない。
それにお礼言ったし、それが良い事って事で」クルッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「――ちょ、待てよ!」ガシッ
美少女「いたっ……何するんですか? 警察呼びますよ?」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「何だよ、それ……期待持たせるだけ持たせて、おっさんの事あんまり馬鹿にすんなよ……っ」グイッ
美少女「――放してっ!」ジタバタッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「――何で? 約束は守って貰うよ。
世の中ね、約束は大事なんだ。
破っちゃ駄目なんだよ?
お父さんとお母さんから教わらなかったかい?」
301:1 :2019/02/26(火) 01:21:04.913 :myjdNVpu0.net
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「おじさんはね、男だから約束を破らないし、
破る子が許せないんだ」
美少女「――お、男なら約束を破らない?」ググッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「そうだよ。
男という生き物は絶対に約束を破らないんだ。
そしてだからこそ、
こうして女を躾して良いんだ」
美少女「――う、うそつかないでよ。
男だって約束破るじゃん。
教えてくれるって言った癖に……」ウゥッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「何の話だい……?
まあ良い、適当なことを言って煙に巻こうとしても無駄だよ」ニチャリ
美少女(ち、力が強くて、全然振りほどけない……)グググッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「大体にして、ニュースとか新聞を最近の子は見ないのかね?
おじさんをからかった女子大生や女子高生が、
殺されてしまったり犯されてしまう事件が起きてるだろ?
……そういう情報が世の中には溢れているのに、
それらを気にも留めないで、こうしておじさんをからかう。
そんな世の中の厳しさを知らない君には、
当然の制裁だよ、これは」唾液クチャクチャ
美少女「――い、意味わかんない。
犯罪して良い理由じゃないじゃん」ジタ……バタ……
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「無駄無駄……さて、どうして貰おうかな。
……んーと、あぁそうだ、面白い玩具を買ってたんだった。
ヌポーンってえちえちな音がする玩具なんだけどね、
それを使ってみようかな」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「おじさんはね、男だから約束を破らないし、
破る子が許せないんだ」
美少女「――お、男なら約束を破らない?」ググッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「そうだよ。
男という生き物は絶対に約束を破らないんだ。
そしてだからこそ、
こうして女を躾して良いんだ」
美少女「――う、うそつかないでよ。
男だって約束破るじゃん。
教えてくれるって言った癖に……」ウゥッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「何の話だい……?
まあ良い、適当なことを言って煙に巻こうとしても無駄だよ」ニチャリ
美少女(ち、力が強くて、全然振りほどけない……)グググッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「大体にして、ニュースとか新聞を最近の子は見ないのかね?
おじさんをからかった女子大生や女子高生が、
殺されてしまったり犯されてしまう事件が起きてるだろ?
……そういう情報が世の中には溢れているのに、
それらを気にも留めないで、こうしておじさんをからかう。
そんな世の中の厳しさを知らない君には、
当然の制裁だよ、これは」唾液クチャクチャ
美少女「――い、意味わかんない。
犯罪して良い理由じゃないじゃん」ジタ……バタ……
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「無駄無駄……さて、どうして貰おうかな。
……んーと、あぁそうだ、面白い玩具を買ってたんだった。
ヌポーンってえちえちな音がする玩具なんだけどね、
それを使ってみようかな」
304:1 :2019/02/26(火) 01:48:33.112 :myjdNVpu0.net
美少女「ふ、ふざけんのもいい加減にして……」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「よーしよし、確かここに……」ゴソゴソ
おじさんは美少女を掴んだまま、
管理人室の中へと入り、
玩具を探し始めた。
しかし、玩具は中々見つからず、
躍起になったおじさんは、つい力を緩めてしまう。
そして――美少女はその隙に気づいて、それを見逃さなかった。
美少女(――ちょっと力が弱くなった! ……今なら)
ググッ ドガッ!
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「あぐっ――」フラフラ……
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「は、反抗なんぞしやがっ――」
美少女「変態! しね!」 オッサンノ金玉ニ蹴リゲル
ドゴッ……グチョン
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「はひょ・・・…」青ザメル
美少女「ふ、ふざけんのもいい加減にして……」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「よーしよし、確かここに……」ゴソゴソ
おじさんは美少女を掴んだまま、
管理人室の中へと入り、
玩具を探し始めた。
しかし、玩具は中々見つからず、
躍起になったおじさんは、つい力を緩めてしまう。
そして――美少女はその隙に気づいて、それを見逃さなかった。
美少女(――ちょっと力が弱くなった! ……今なら)
ググッ ドガッ!
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「あぐっ――」フラフラ……
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「は、反抗なんぞしやがっ――」
美少女「変態! しね!」 オッサンノ金玉ニ蹴リゲル
ドゴッ……グチョン
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「はひょ・・・…」青ザメル
306:1 :2019/02/26(火) 02:21:59.875 :myjdNVpu0.net
美少女「はぁ……はぁ」スマホッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……うぐっ、ぐぐぐっ」ドタン……ッ
美少女「襲われたって警察に通報しないと……」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「――け、警察!? や、やめてくれよお、それだけは……」金玉サスサス
美少女「女の子襲おうとして、お咎め無しってありえないでしょ」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「うぅ……親父とお袋が泣く、俺が逮捕されたら、泣いちまう」ウウッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……人の、人の人生をぶち壊して楽しいかっ!?」カッ
美少女「何自分勝手なこと言ってんのよ。壊そうとしたのはそっちでしょ」眉潜メ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……くそがっ。
だが、そっちがそう出るなら、俺にも考えがある。
警察が来たら、
お前が自分の部屋の隣に住んでた男の個人情報を盗んだって吹聴してやる」
美少女「――なっ!?」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「それを止めようとしてもみ合いになって、
お前に金玉蹴られたって言う……」ニチャ
美少女「……」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……な、なあ提案なんだが、痛みわけにしよう。
お互いさっきの事は忘れよう、な?
それで全部帳消しにしようじゃないか……」
美少女「はぁ……はぁ」スマホッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……うぐっ、ぐぐぐっ」ドタン……ッ
美少女「襲われたって警察に通報しないと……」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「――け、警察!? や、やめてくれよお、それだけは……」金玉サスサス
美少女「女の子襲おうとして、お咎め無しってありえないでしょ」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「うぅ……親父とお袋が泣く、俺が逮捕されたら、泣いちまう」ウウッ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……人の、人の人生をぶち壊して楽しいかっ!?」カッ
美少女「何自分勝手なこと言ってんのよ。壊そうとしたのはそっちでしょ」眉潜メ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……くそがっ。
だが、そっちがそう出るなら、俺にも考えがある。
警察が来たら、
お前が自分の部屋の隣に住んでた男の個人情報を盗んだって吹聴してやる」
美少女「――なっ!?」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「それを止めようとしてもみ合いになって、
お前に金玉蹴られたって言う……」ニチャ
美少女「……」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……な、なあ提案なんだが、痛みわけにしよう。
お互いさっきの事は忘れよう、な?
それで全部帳消しにしようじゃないか……」
311:1 :2019/02/26(火) 03:39:00.491 :myjdNVpu0.net
美少女「帳消しって……」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「泥沼の争いになっても、お互い大変なだけだぞ……」
美少女「……あーもう……分かった」ハァ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……これで、解決だな。
お互い何もない、綺麗さっぱり忘れて終わり」ヘヘッ
美少女(……はぁ、なんでこんな状況に)
美少女(まあ、まだ実際に何かされたわけじゃないから、マシだけど)
美少女(……取り合えず、そのうち引っ越さないとな。
マンションの管理人がこんな性格のおっさんだなんて、
危険過ぎるもの)
美少女「……引っ越すなら、また男さんの隣の部屋が良いな」ボソッ
美少女(……でも本当、何だろうこの気持ち。
男さんを独占したくてたまらない。
もしかしてこれ――好きって気持ちなのかな?)
美少女(……今まで異性を好きになった事なんて無いから、分からないよ)トボトボ
美少女「取り合えず、後で男さんに連絡してみよ」
……
…
美少女「帳消しって……」
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「泥沼の争いになっても、お互い大変なだけだぞ……」
美少女「……あーもう……分かった」ハァ
禿げ散らかしたオッサン(管理人)
「……これで、解決だな。
お互い何もない、綺麗さっぱり忘れて終わり」ヘヘッ
美少女(……はぁ、なんでこんな状況に)
美少女(まあ、まだ実際に何かされたわけじゃないから、マシだけど)
美少女(……取り合えず、そのうち引っ越さないとな。
マンションの管理人がこんな性格のおっさんだなんて、
危険過ぎるもの)
美少女「……引っ越すなら、また男さんの隣の部屋が良いな」ボソッ
美少女(……でも本当、何だろうこの気持ち。
男さんを独占したくてたまらない。
もしかしてこれ――好きって気持ちなのかな?)
美少女(……今まで異性を好きになった事なんて無いから、分からないよ)トボトボ
美少女「取り合えず、後で男さんに連絡してみよ」
……
…
312:1 :2019/02/26(火) 03:53:06.945 :myjdNVpu0.net
…
……
男「さて、届いた荷物も片付け終わった。
と言っても、ほとんど俺の荷物だが……」
白髪少女「私はそもそも日本に来た時に持ってきた荷物が少ないからなあ。
お前のものばかりなのは仕方ないだろう。
……しかし、荷物と言えば私も服やら何やらも欲しい所だな。
キャリーバッグに入る分しかもって来てないから、
ほとんど無いのだ」
男「そりゃ大変だな、確かに買わないと――っと、ラインか」
ルルッ ピコリーン
男「……美少女さんからだ。
あれ……ラインのIDも電話番号も教えた記憶なんて無いんだけど」
美少女――あの、私です。
美少女――お引越しした……んですよね?
美少女――つい先日、引越し業者さんが男さんの部屋に来てたの見ちゃいまして。
男「あーそう言えば退去の挨拶するの忘れてた。
えーと。
挨拶しなくてごめんね、と。
あと、なんで俺の連絡先を知っているの? と」スッスッ
ルルッ ピッコピッコリーン
美少女――やだー、教えてくれたじゃないですか。
美少女――私が教えて欲しいって言ったら、いいよって。
美少女――あの時、男さんお酒飲んだ帰りだったかもなので、
美少女――多分忘れてるんですよ。
男「……酒飲んだ後に会った事は確かに覚えてるけど。
キャバ帰りの時の夜だよな」
男「でも……俺はそこまで酔わない体質だし、
あの時も意識は普通にハッキリしてた。
その上でなんだが、連絡先教えた記憶はない」
男「……いや、もしかして俺自身、
自分が少しでも酔ってた事に気づけてなかっただけか?
……多分……そうかも知れない。
だって、そうでもないと、連絡先知ってる理由が分からない。
きっと俺、酔ってたんだな」
…
……
男「さて、届いた荷物も片付け終わった。
と言っても、ほとんど俺の荷物だが……」
白髪少女「私はそもそも日本に来た時に持ってきた荷物が少ないからなあ。
お前のものばかりなのは仕方ないだろう。
……しかし、荷物と言えば私も服やら何やらも欲しい所だな。
キャリーバッグに入る分しかもって来てないから、
ほとんど無いのだ」
男「そりゃ大変だな、確かに買わないと――っと、ラインか」
ルルッ ピコリーン
男「……美少女さんからだ。
あれ……ラインのIDも電話番号も教えた記憶なんて無いんだけど」
美少女――あの、私です。
美少女――お引越しした……んですよね?
美少女――つい先日、引越し業者さんが男さんの部屋に来てたの見ちゃいまして。
男「あーそう言えば退去の挨拶するの忘れてた。
えーと。
挨拶しなくてごめんね、と。
あと、なんで俺の連絡先を知っているの? と」スッスッ
ルルッ ピッコピッコリーン
美少女――やだー、教えてくれたじゃないですか。
美少女――私が教えて欲しいって言ったら、いいよって。
美少女――あの時、男さんお酒飲んだ帰りだったかもなので、
美少女――多分忘れてるんですよ。
男「……酒飲んだ後に会った事は確かに覚えてるけど。
キャバ帰りの時の夜だよな」
男「でも……俺はそこまで酔わない体質だし、
あの時も意識は普通にハッキリしてた。
その上でなんだが、連絡先教えた記憶はない」
男「……いや、もしかして俺自身、
自分が少しでも酔ってた事に気づけてなかっただけか?
……多分……そうかも知れない。
だって、そうでもないと、連絡先知ってる理由が分からない。
きっと俺、酔ってたんだな」
319:1 :2019/02/26(火) 05:53:51.494 :myjdNVpu0.net
男「……俺の勘違いだったかも、と」スッスッ
男「えーと……それじゃあね、と」スッスッ
美少女――いえ、大丈夫です。
美少女――すみません、あと一つだけ聞いても良いですか?
美少女――誕生日にお酒教えてくれるって言ってたアレなんですけど……。
男「あー、何かそれは覚えてる。
そんな事を言った気はするな。
良く覚えてるな……。
俺が忘れてるくらいだから、
向こうも忘れててもおかしくないのにな」
美少女――私の誕生日、来月の○日なんです。
美少女――その日、大丈夫ですか?
男「うーん……正直そんな事してる場合じゃないんだよな」チラッ
白髪少女「……?」ウン?
男「店の準備もしなきゃいけないし……」ボソッ
白髪少女「な、なんだこっちをジッと見て、ゴミか何か私についてるのか?」ワタワタ
男「……綺麗なお顔がついとりますよ」
白髪少女「そうか」
男「ソーナンデス」
男(……まあともかく、やっぱりこっち優先だよな。
俺の好きにして良いって言ったって、
ここまで関わってしまった上に、
逆に新しく住む場所を提供して貰った形になるからな……)
男「……その日はまだ空いてるっては言い切れないし、
色々と忙しいから、もしかしたら駄目になるかも、と」
美少女――そう……ですか。
美少女――忙しいんなら、仕方ないですね。
美少女――でも私も楽しみにしていたので、やっぱり時間空けて欲しいです。
美少女――もしも良かったら、
美少女――忙しいのが早く終わるようにお手伝いします。
美少女――どちらに引っ越されたんですか?
男「……俺の勘違いだったかも、と」スッスッ
男「えーと……それじゃあね、と」スッスッ
美少女――いえ、大丈夫です。
美少女――すみません、あと一つだけ聞いても良いですか?
美少女――誕生日にお酒教えてくれるって言ってたアレなんですけど……。
男「あー、何かそれは覚えてる。
そんな事を言った気はするな。
良く覚えてるな……。
俺が忘れてるくらいだから、
向こうも忘れててもおかしくないのにな」
美少女――私の誕生日、来月の○日なんです。
美少女――その日、大丈夫ですか?
男「うーん……正直そんな事してる場合じゃないんだよな」チラッ
白髪少女「……?」ウン?
男「店の準備もしなきゃいけないし……」ボソッ
白髪少女「な、なんだこっちをジッと見て、ゴミか何か私についてるのか?」ワタワタ
男「……綺麗なお顔がついとりますよ」
白髪少女「そうか」
男「ソーナンデス」
男(……まあともかく、やっぱりこっち優先だよな。
俺の好きにして良いって言ったって、
ここまで関わってしまった上に、
逆に新しく住む場所を提供して貰った形になるからな……)
男「……その日はまだ空いてるっては言い切れないし、
色々と忙しいから、もしかしたら駄目になるかも、と」
美少女――そう……ですか。
美少女――忙しいんなら、仕方ないですね。
美少女――でも私も楽しみにしていたので、やっぱり時間空けて欲しいです。
美少女――もしも良かったら、
美少女――忙しいのが早く終わるようにお手伝いします。
美少女――どちらに引っ越されたんですか?
322:1 :2019/02/26(火) 07:02:21.018 :myjdNVpu0.net
男「別に手伝いが必要なほどじゃないんだよな……」
男「……えーっと返信は……手伝いは大丈夫、
君は大学生なんだから、
俺の手伝いよりも勉強を頑張りな……と、これで良いか?」スッスッ
男(……いや、折角だしついでに店の営業もしとくか)
男「ちなみに……急がしいのはパン屋を開くからで、
良かったら開店したら食べにおいで……っと」スッスッ
ルルッ……
美少女――え? パン屋さんですか?
美少女――お洒落で素敵ですね!
美少女――絶対行きます!
美少女――お店の準備が出来たら、場所教えて下さいね♪
男「分かったよ、と……。
ふむ……まあこんなもんだろ。
さて、今日は白髪少女と一緒に設備を見に行かなきゃな。
俺はただ見てるだけになりそうな予感しかしないがな……って、ん?」
白髪少女――良イノデスカ?
オバタリアン――イイノヨ イイノヨ
男「ちょっと目を離した隙に外で近所のオバタリアンと会話してるし……」
男「何かあったのかね」
男「――おーい」ガララァー
白髪少女「――おお、丁度良い所に。今この人からこれを貰ったんだ」果物ズイー
男「果物……? すみません、何だか」
オバタリアン「良いのよ良いのよ。うちねぇ、そこの角で八百屋やってるの」
オバタリアン「パン屋さんやるんですって? お店仲間だものお近づきのしるしよ」
男「は、はぁ……」
オバタリアン「お店の経営者もだいぶ年寄りが多くなってきたから、若夫婦の登場にお祝いの意味もあるのよ?」ヤーネ
男「え? 夫婦?」
オバタリアン「あなた達をはじめて見た時、ビビっと来たわ。これは夫婦ねって」
オバタリアン「……嬉しいわぁ。ここらへんって学生多いじゃない? でもねぇ、反比例するようにお店の中の人は年寄りだし」
オバタリアン「あっ、でもお店をはじめた当時は若かったのよ?
冗談って思うかも知れないけど、
ちなみに私はその時、
大学生の男の子から八百屋のマドンナお姉さんって言われてたりとかもしたのよ?」ヤーモウ
男「別に手伝いが必要なほどじゃないんだよな……」
男「……えーっと返信は……手伝いは大丈夫、
君は大学生なんだから、
俺の手伝いよりも勉強を頑張りな……と、これで良いか?」スッスッ
男(……いや、折角だしついでに店の営業もしとくか)
男「ちなみに……急がしいのはパン屋を開くからで、
良かったら開店したら食べにおいで……っと」スッスッ
ルルッ……
美少女――え? パン屋さんですか?
美少女――お洒落で素敵ですね!
美少女――絶対行きます!
美少女――お店の準備が出来たら、場所教えて下さいね♪
男「分かったよ、と……。
ふむ……まあこんなもんだろ。
さて、今日は白髪少女と一緒に設備を見に行かなきゃな。
俺はただ見てるだけになりそうな予感しかしないがな……って、ん?」
白髪少女――良イノデスカ?
オバタリアン――イイノヨ イイノヨ
男「ちょっと目を離した隙に外で近所のオバタリアンと会話してるし……」
男「何かあったのかね」
男「――おーい」ガララァー
白髪少女「――おお、丁度良い所に。今この人からこれを貰ったんだ」果物ズイー
男「果物……? すみません、何だか」
オバタリアン「良いのよ良いのよ。うちねぇ、そこの角で八百屋やってるの」
オバタリアン「パン屋さんやるんですって? お店仲間だものお近づきのしるしよ」
男「は、はぁ……」
オバタリアン「お店の経営者もだいぶ年寄りが多くなってきたから、若夫婦の登場にお祝いの意味もあるのよ?」ヤーネ
男「え? 夫婦?」
オバタリアン「あなた達をはじめて見た時、ビビっと来たわ。これは夫婦ねって」
オバタリアン「……嬉しいわぁ。ここらへんって学生多いじゃない? でもねぇ、反比例するようにお店の中の人は年寄りだし」
オバタリアン「あっ、でもお店をはじめた当時は若かったのよ?
冗談って思うかも知れないけど、
ちなみに私はその時、
大学生の男の子から八百屋のマドンナお姉さんって言われてたりとかもしたのよ?」ヤーモウ
33:1 :2019/02/26(火) 12:12:24.418 :myjdNVpu0.net
男「そ、そうなんすか」
オバタリアン「そーなのよ。でも、珍しい髪の色の子よねぇ。
顔つきも綺麗なんだけど何か日本人っぽくないし。
ヨーロッパとかの人とのハーフなのかしら?」
男「……まあ出身は日本ではないようですね」
オバタリアン「何よぉその隠すような言い方。
私も女だもの取らないわよ。
大事だから隠しときたいって気持ちは分かるけど、
そういうのは男相手にだけしときなさいな。
って言うか……あなたも何か顔立ちハッキリ系ね。
若い頃の宇○って言う俳優みたいだわ」アラマァ
男「ははっ……そうすか」
オバタリアン「そうよ。男前って感じ」
白髪少女 ……ピクッ
白髪少女「……その通りだ。男前だ。私もそれは常々思ってる」ウンウン
オバタリアン「……ほらぁ、お嫁さんもそう言ってるわ」ヒソヒソッ 肘ツンツン
男(……否定しても変に曲解しそうだし、話逸らして適当にお帰り頂くか)
男「……あの、俺たちは俺たちでやる事ありますんで」苦笑
オバタリアン「あ、あらそう? でもそうねぇ。開店準備とかあるものねぇ」アラアラ
オバタリアン「お邪魔しちゃったかしら」
男「いえ、そんな事は」
オバタリアン「良いのよ良いのよ。
オバさんの話に付き合ってくれてありがと。
じゃあ私は行くわね。
何か会ったら呼んで。私に出来ることなら助けるわ」
男「ありがとうございます。では、その時は遠慮なく……」
オバタリアン「旦那放置してでも来るから、本当に遠慮なしよ?」
男「そ、それは駄目じゃないですかね?」アセアセ
オバタリアン「大丈夫よ。
旦那は私にホの字だから。
それじゃあね」ドシンドシン
男「……行ったな。強烈な人だった」
白髪少女「そうか? 良い人だったと思うぞ」
男「まあ悪い人ではないな」
男「そ、そうなんすか」
オバタリアン「そーなのよ。でも、珍しい髪の色の子よねぇ。
顔つきも綺麗なんだけど何か日本人っぽくないし。
ヨーロッパとかの人とのハーフなのかしら?」
男「……まあ出身は日本ではないようですね」
オバタリアン「何よぉその隠すような言い方。
私も女だもの取らないわよ。
大事だから隠しときたいって気持ちは分かるけど、
そういうのは男相手にだけしときなさいな。
って言うか……あなたも何か顔立ちハッキリ系ね。
若い頃の宇○って言う俳優みたいだわ」アラマァ
男「ははっ……そうすか」
オバタリアン「そうよ。男前って感じ」
白髪少女 ……ピクッ
白髪少女「……その通りだ。男前だ。私もそれは常々思ってる」ウンウン
オバタリアン「……ほらぁ、お嫁さんもそう言ってるわ」ヒソヒソッ 肘ツンツン
男(……否定しても変に曲解しそうだし、話逸らして適当にお帰り頂くか)
男「……あの、俺たちは俺たちでやる事ありますんで」苦笑
オバタリアン「あ、あらそう? でもそうねぇ。開店準備とかあるものねぇ」アラアラ
オバタリアン「お邪魔しちゃったかしら」
男「いえ、そんな事は」
オバタリアン「良いのよ良いのよ。
オバさんの話に付き合ってくれてありがと。
じゃあ私は行くわね。
何か会ったら呼んで。私に出来ることなら助けるわ」
男「ありがとうございます。では、その時は遠慮なく……」
オバタリアン「旦那放置してでも来るから、本当に遠慮なしよ?」
男「そ、それは駄目じゃないですかね?」アセアセ
オバタリアン「大丈夫よ。
旦那は私にホの字だから。
それじゃあね」ドシンドシン
男「……行ったな。強烈な人だった」
白髪少女「そうか? 良い人だったと思うぞ」
男「まあ悪い人ではないな」
48:1 :2019/02/26(火) 12:58:15.825 :myjdNVpu0.net
白髪少女「しかし、お返しはどうしようか。貰いっ放しは悪いな」
男「……向こうは自分の店の商品贈ってくれたんだ。
こっちも同じようにしたら良いんじゃないのかね。
と、俺は思うけど?」
白髪少女「それも……そうだな。
では、設備が整ったらパンを焼いてお返しにしよう」
男「んだんだ」
白髪少女「そうと決まれば、早めに設備を導入しよう。
……今日明日にも見に行こう」
男「そう言えば、お前の服もだったな」
白髪少女「何だ、その話覚えてたのか」
男「今日の話を忘れるほど、
もの覚えが悪くなった覚えはないでガスよ」
白髪少女「そうか……」フフッ
白髪少女「では、早速行こう」
男「お、おい手……」
白髪少女「……握っては駄目か?」ギュウ
白髪少女「何のかんの言って、私はまだ日本には慣れていない。
そんな私を一人にさせる気だとでも?」
男「それは……」
白髪少女「なら、良いだろう別に」
男「しょうがない」ハァ……
白髪少女「しかし、お返しはどうしようか。貰いっ放しは悪いな」
男「……向こうは自分の店の商品贈ってくれたんだ。
こっちも同じようにしたら良いんじゃないのかね。
と、俺は思うけど?」
白髪少女「それも……そうだな。
では、設備が整ったらパンを焼いてお返しにしよう」
男「んだんだ」
白髪少女「そうと決まれば、早めに設備を導入しよう。
……今日明日にも見に行こう」
男「そう言えば、お前の服もだったな」
白髪少女「何だ、その話覚えてたのか」
男「今日の話を忘れるほど、
もの覚えが悪くなった覚えはないでガスよ」
白髪少女「そうか……」フフッ
白髪少女「では、早速行こう」
男「お、おい手……」
白髪少女「……握っては駄目か?」ギュウ
白髪少女「何のかんの言って、私はまだ日本には慣れていない。
そんな私を一人にさせる気だとでも?」
男「それは……」
白髪少女「なら、良いだろう別に」
男「しょうがない」ハァ……
53:1 :2019/02/26(火) 13:42:01.973 :myjdNVpu0.net
男の口からはため息がこぼれる。
傍から見ればこの男の態度は、
仕方なく付き合っている、と言う風に取る人も多いだろう。
だが、えてして人間という存在は複雑だ。
態度や言葉とは裏腹が本心である場合もあるのだから。
それを踏まえて見れば、
案外この男と言う人物はまだ分かりやすい方かも知れない。
男と言う人間は、
本心からの嫌悪や拒絶の場合は、
きっぱりと言葉や行動で示す癖がある。
――つまり、そういう事なのだった。
…
……
………
……
…
翌日
男と白髪少女 ショッピングモールにて
男「……もっと買っても良いんじゃないのか?」テクテク
白髪少女「大量に買うのは、どうも好かん。
少しずつお気に入りを揃えていく方が好みだ」トテトテ
男「でも片手で持てるくらいって」ヒョイ
白髪少女「……そもそも、買いすぎても置く場所にも困るだろう?」トテ
男「それはそうだが……」テクテク
白髪少女「それに今日の本命はあくまでオーブン等の設備だった。
服や日用品はそのお出かけのついでだ」トテトテ
男「……欲の無いヤツだ」テクテク
白髪少女「そういうワケでも無い」トテトテ
男「さいですか……っと、ん?」ピタッ
家電売り場のテレビ
――速報ニュースです。
――つい先ほど、○○通りで連続殺人事件が起きました。
――犯人と見られる人物は警察が到着する前に逃亡し、
――今現在足取りが掴めておりません。
――その場に居た無事であった通行人によりますと、
――激しく興奮した状態であり、正気を失っているように見えた、との事です。
男の口からはため息がこぼれる。
傍から見ればこの男の態度は、
仕方なく付き合っている、と言う風に取る人も多いだろう。
だが、えてして人間という存在は複雑だ。
態度や言葉とは裏腹が本心である場合もあるのだから。
それを踏まえて見れば、
案外この男と言う人物はまだ分かりやすい方かも知れない。
男と言う人間は、
本心からの嫌悪や拒絶の場合は、
きっぱりと言葉や行動で示す癖がある。
――つまり、そういう事なのだった。
…
……
………
……
…
翌日
男と白髪少女 ショッピングモールにて
男「……もっと買っても良いんじゃないのか?」テクテク
白髪少女「大量に買うのは、どうも好かん。
少しずつお気に入りを揃えていく方が好みだ」トテトテ
男「でも片手で持てるくらいって」ヒョイ
白髪少女「……そもそも、買いすぎても置く場所にも困るだろう?」トテ
男「それはそうだが……」テクテク
白髪少女「それに今日の本命はあくまでオーブン等の設備だった。
服や日用品はそのお出かけのついでだ」トテトテ
男「……欲の無いヤツだ」テクテク
白髪少女「そういうワケでも無い」トテトテ
男「さいですか……っと、ん?」ピタッ
家電売り場のテレビ
――速報ニュースです。
――つい先ほど、○○通りで連続殺人事件が起きました。
――犯人と見られる人物は警察が到着する前に逃亡し、
――今現在足取りが掴めておりません。
――その場に居た無事であった通行人によりますと、
――激しく興奮した状態であり、正気を失っているように見えた、との事です。
94:1 :2019/02/27(水) 00:57:21.569 :FtTRL1I+0.net
――視聴者の皆様方
――外出はなるべくお控え頂くか、
――どうしても、と言う際には十二分にお気をつけ下さい。
男「……」
白髪少女「……何を見ているかと思えば、ニュースか」
男「ああ、何か変なのが出たらしいな」
白髪少女「……激しく興奮した状態、正気を失っているように見えるとなれば、
何らかの薬物を摂取しているのだろうな」
男「ただの自暴自棄って可能性もあるんじゃないの?」
白髪少女「その可能性も0では無いが、私は低いと見る。
自暴自棄であっても、正気を失うということはまずない。
むしろその場合、自暴自棄に陥ったがゆえに、
自らの意思で薬物を摂取してそうなった、という筋の方が頷ける」
男「……まるで見てきたかのように言うんだな」
白髪少女「私が小さい時に居た場所の話はしただろう?」
男「ん? ああ」
白髪少女「……この手の話や事件は、常に日常として存在していた。
だからこそ言える。
人は――自ら望んで壊れるのだ、と。
……壊れると言うのは、
命や人生と言った類を指しているのでは無い。
いわゆる、人を人たらしめる側面の破壊だ。
それは人として酷く大事なものだが、
どうしてか時に堪えられない辛苦を突きつけてくる。
耐え切れなかったもの、
堪えたく無いもの、
理由は様々だが、受け入れられない者は多い。
壊れてしまえば、
何も感じなくて済むと言う逃避を選んでしまう。
失ってしまうそれこそ、己が人間であると言う意味であり、
意義であると言うのにもかかわらず……
……人は容易くそれを手放してしまう」
――視聴者の皆様方
――外出はなるべくお控え頂くか、
――どうしても、と言う際には十二分にお気をつけ下さい。
男「……」
白髪少女「……何を見ているかと思えば、ニュースか」
男「ああ、何か変なのが出たらしいな」
白髪少女「……激しく興奮した状態、正気を失っているように見えるとなれば、
何らかの薬物を摂取しているのだろうな」
男「ただの自暴自棄って可能性もあるんじゃないの?」
白髪少女「その可能性も0では無いが、私は低いと見る。
自暴自棄であっても、正気を失うということはまずない。
むしろその場合、自暴自棄に陥ったがゆえに、
自らの意思で薬物を摂取してそうなった、という筋の方が頷ける」
男「……まるで見てきたかのように言うんだな」
白髪少女「私が小さい時に居た場所の話はしただろう?」
男「ん? ああ」
白髪少女「……この手の話や事件は、常に日常として存在していた。
だからこそ言える。
人は――自ら望んで壊れるのだ、と。
……壊れると言うのは、
命や人生と言った類を指しているのでは無い。
いわゆる、人を人たらしめる側面の破壊だ。
それは人として酷く大事なものだが、
どうしてか時に堪えられない辛苦を突きつけてくる。
耐え切れなかったもの、
堪えたく無いもの、
理由は様々だが、受け入れられない者は多い。
壊れてしまえば、
何も感じなくて済むと言う逃避を選んでしまう。
失ってしまうそれこそ、己が人間であると言う意味であり、
意義であると言うのにもかかわらず……
……人は容易くそれを手放してしまう」
98:1 :2019/02/27(水) 01:30:14.625 :FtTRL1I+0.net
男「……」
白髪少女「……どうした? 何か私の発言に気になる部分でもあったか?」
男「……いや、言ってる事は理解出来る。
そいつはもっともだ。
ただ、そうじゃなくて……嫌な事を思い出させてしまったと思って。
子どもの頃の話、良い思い出では無いだろう」
白髪少女「ふふっ、何だそんな事か。
良い思い出では無いが、忘れようと思った事も無ければ
無かった事にしたいと思った事も無い。
それがあっての、私なのだから。
第一それを引きずっていたら、
いくら夢でもパン屋をやろうなんて思わんよ。
何せ嫌な思い出の筆頭だからな」ハハッ
男「……そうか。おい、その手に持ってる荷物俺が持つ」
白髪少女「これぐらい大丈夫だ。既にいくつか持って貰ってるし、それだけで十分だよ」
男「いいから寄越せって」スッ
白髪少女「……急に優しくなったな」
男「俺は元から優しいよ」
白髪少女「自分で言うヤツがあるか。……まあでも、それじゃあ甘えよう」スッ
男「……」
白髪少女「……どうした? 何か私の発言に気になる部分でもあったか?」
男「……いや、言ってる事は理解出来る。
そいつはもっともだ。
ただ、そうじゃなくて……嫌な事を思い出させてしまったと思って。
子どもの頃の話、良い思い出では無いだろう」
白髪少女「ふふっ、何だそんな事か。
良い思い出では無いが、忘れようと思った事も無ければ
無かった事にしたいと思った事も無い。
それがあっての、私なのだから。
第一それを引きずっていたら、
いくら夢でもパン屋をやろうなんて思わんよ。
何せ嫌な思い出の筆頭だからな」ハハッ
男「……そうか。おい、その手に持ってる荷物俺が持つ」
白髪少女「これぐらい大丈夫だ。既にいくつか持って貰ってるし、それだけで十分だよ」
男「いいから寄越せって」スッ
白髪少女「……急に優しくなったな」
男「俺は元から優しいよ」
白髪少女「自分で言うヤツがあるか。……まあでも、それじゃあ甘えよう」スッ
104:1 :2019/02/27(水) 03:08:34.148 :FtTRL1I+0.net
男「ああ、そうしてく――」
ルルッ ピッコリーン
男「――ライン?」ゴソゴソ
白髪少女「なんだ、友達か誰かから連絡か?」
男「……いや、別に友達では無いな」スッスッ
キャバ嬢――最近ぜんぜん返信来ないけど、大丈夫なの?
キャバ嬢――生きてる?
キャバ嬢――おーい。
男「そのうち連絡来なくなるかと思ってたら、そうでもなかったな……」
白髪少女「良くわからないが、返事の都合もあるだろう。少し休もう」長椅子ニ座ル
男「悪いな……」スッスッ
男「えーと……最近色々忙しくて、連絡出来なかった、と」
男「俺の事は気にしなくて大丈夫だから、それじゃあな……こんな感じで良いか」スッスッ
ルルッ ピッコピッコリーン
キャバ嬢――心配してたんだよー。
キャバ嬢――ご飯ちゃんと食べてる?
キャバ嬢――前に言ったと思うけど、ご飯作りに行こっか?
男「……作ってくれる人がいるから、別にいいよ、と」スッスッ
ルルルッ ピコピコピッコリーン
キャバ嬢――……誰?
男「え? 別に誰でも良くないか……?」
男「ああ、そうしてく――」
ルルッ ピッコリーン
男「――ライン?」ゴソゴソ
白髪少女「なんだ、友達か誰かから連絡か?」
男「……いや、別に友達では無いな」スッスッ
キャバ嬢――最近ぜんぜん返信来ないけど、大丈夫なの?
キャバ嬢――生きてる?
キャバ嬢――おーい。
男「そのうち連絡来なくなるかと思ってたら、そうでもなかったな……」
白髪少女「良くわからないが、返事の都合もあるだろう。少し休もう」長椅子ニ座ル
男「悪いな……」スッスッ
男「えーと……最近色々忙しくて、連絡出来なかった、と」
男「俺の事は気にしなくて大丈夫だから、それじゃあな……こんな感じで良いか」スッスッ
ルルッ ピッコピッコリーン
キャバ嬢――心配してたんだよー。
キャバ嬢――ご飯ちゃんと食べてる?
キャバ嬢――前に言ったと思うけど、ご飯作りに行こっか?
男「……作ってくれる人がいるから、別にいいよ、と」スッスッ
ルルルッ ピコピコピッコリーン
キャバ嬢――……誰?
男「え? 別に誰でも良くないか……?」
110:1 :2019/02/27(水) 04:12:06.435 :FtTRL1I+0.net
男「なんでそんな事を気にするんだか……」
男「取り合えず……今一緒に住んでる人が作ってくれてる、と」
ルルッル……
キャバ嬢――女の人?
男(うーん……どう返事返そうかなこれ――あっ……そうだ。
きちんと女だって言えば、連絡少なくなるんじゃないか?
彼女だとかって勘違いしてくれれ、
さすがに気を使って連絡はして来なくなるだろ)
男「そうだよ、と」スッスッ
ルルルルルッ ピコリーン
キャバ嬢――へぇ。
キャバ嬢――彼女居たんだ。
男(おっ、良い具合に勘違いしてくれてそうだ。
……ん? まだ文章が続いてるな)スッ
キャバ嬢――彼女いなさそうに見えてたのに。
キャバ嬢――そっか。
キャバ嬢――おめでと。
キャバ嬢――……正直言うと、あなたの事ちょっと気になってたんだ。
キャバ嬢――でもそれを聞いて、何かこう、ああそっかって思えた。
キャバ嬢――じゃあしょうがないよねって、諦められそうって言うか。
キャバ嬢――さよなら。
男「……え? どういうこと? ちょっと待って……え?」
白髪少女「どうした?」
男「ああいや、なんでもない」
男(……つまりキャバ嬢は俺の事好きだったって事か?
でも接点は店行った時くらいだぞ……?
……惚れやすいタイプの女だったって事かね)
男「なんでそんな事を気にするんだか……」
男「取り合えず……今一緒に住んでる人が作ってくれてる、と」
ルルッル……
キャバ嬢――女の人?
男(うーん……どう返事返そうかなこれ――あっ……そうだ。
きちんと女だって言えば、連絡少なくなるんじゃないか?
彼女だとかって勘違いしてくれれ、
さすがに気を使って連絡はして来なくなるだろ)
男「そうだよ、と」スッスッ
ルルルルルッ ピコリーン
キャバ嬢――へぇ。
キャバ嬢――彼女居たんだ。
男(おっ、良い具合に勘違いしてくれてそうだ。
……ん? まだ文章が続いてるな)スッ
キャバ嬢――彼女いなさそうに見えてたのに。
キャバ嬢――そっか。
キャバ嬢――おめでと。
キャバ嬢――……正直言うと、あなたの事ちょっと気になってたんだ。
キャバ嬢――でもそれを聞いて、何かこう、ああそっかって思えた。
キャバ嬢――じゃあしょうがないよねって、諦められそうって言うか。
キャバ嬢――さよなら。
男「……え? どういうこと? ちょっと待って……え?」
白髪少女「どうした?」
男「ああいや、なんでもない」
男(……つまりキャバ嬢は俺の事好きだったって事か?
でも接点は店行った時くらいだぞ……?
……惚れやすいタイプの女だったって事かね)
111:1 :2019/02/27(水) 04:31:57.265 :FtTRL1I+0.net
男「良くわからないな……」ゴソゴソ
白髪少女「終わったのか?」
男「一応な」フゥ
白髪少女「……何か疲れてるように見えるが」
男「精神的に疲れたな」
白髪少女「なるほど。話をしていて、
連絡を取っていて疲れると言う事は、
相性が悪い相手なのだろうな」
男「まあ相性は多分悪いな」
白髪少女「……だが、好ましい人間とだけ付き合う事は中々に難しい。
生きていく上では、避けられない事だな」
男「……そいつはそうだけど、今回の相手は多分もう連絡して来ないだろうな」
白髪少女「喧嘩でもしたのか?」
男「いやそういうのでは無いんだけど、
向こうが何か俺に対して思う所があったようでね。
さようなら、との事だった」
白髪少女「……そうなのか。
しかしまあ、相手からそう言ってきたのなら、
こちらも同じようにするしかないだろうな。
下手に連絡を取ろうとしても、
それが嫌だからの拒否なのだろうし」
男「いや……俺は連絡取ろうと思った事は無いんだけどな。
そんで、それは今後も変わらない。
そもそも、向こうが頻繁に連絡送っていて、
今日いきなりさようなら、だからな……。
まあそうなる理由はあったようだけど……」
白髪少女「……どういう関係の相手なのかは知らないが、
思いや言葉を一方的に投げつけてくると言うのは、
よろしくない行いだな。
こちらはそうならないように気をつけよう。
……さて、少しは休めたし、そろそろ帰りたいのだが」
男「待たせて悪かったな。帰ろう」
男「良くわからないな……」ゴソゴソ
白髪少女「終わったのか?」
男「一応な」フゥ
白髪少女「……何か疲れてるように見えるが」
男「精神的に疲れたな」
白髪少女「なるほど。話をしていて、
連絡を取っていて疲れると言う事は、
相性が悪い相手なのだろうな」
男「まあ相性は多分悪いな」
白髪少女「……だが、好ましい人間とだけ付き合う事は中々に難しい。
生きていく上では、避けられない事だな」
男「……そいつはそうだけど、今回の相手は多分もう連絡して来ないだろうな」
白髪少女「喧嘩でもしたのか?」
男「いやそういうのでは無いんだけど、
向こうが何か俺に対して思う所があったようでね。
さようなら、との事だった」
白髪少女「……そうなのか。
しかしまあ、相手からそう言ってきたのなら、
こちらも同じようにするしかないだろうな。
下手に連絡を取ろうとしても、
それが嫌だからの拒否なのだろうし」
男「いや……俺は連絡取ろうと思った事は無いんだけどな。
そんで、それは今後も変わらない。
そもそも、向こうが頻繁に連絡送っていて、
今日いきなりさようなら、だからな……。
まあそうなる理由はあったようだけど……」
白髪少女「……どういう関係の相手なのかは知らないが、
思いや言葉を一方的に投げつけてくると言うのは、
よろしくない行いだな。
こちらはそうならないように気をつけよう。
……さて、少しは休めたし、そろそろ帰りたいのだが」
男「待たせて悪かったな。帰ろう」
114:1 :2019/02/27(水) 05:57:22.882 :FtTRL1I+0.net
白髪少女「そうだな」スッ
男「……何だその差し出した手は」
白髪少女「いやなに、待たせた女性には優しくせねばな?
優しい男なのだろう?」
男「そういう事か、ほらっ」グイッ
白髪少女「――おっと、勢いが付きすぎたようだ」ギュゥウ
男「……お、おい」
白髪少女「勢いが付きすぎて、抱きついてしまった。これは不可抗力だ。
良いでは無いか。
人気も少なくなった。誰が見ているわけでもない」
男「そういう問題じゃ――」
白髪少女「――、一度で良いから、して見たかったんだ。
普通の女の子らしい事を。
私は普通を経験せずに大きくなってしまった……」
男「……それを言われたら俺は何も言えなくなる。反則だろう」
白髪少女「女と言う生き物は、どこに居てもいつの時代でも……ズルいんだっ」ボソッ
男「~~み、耳元で喋るな」
白髪少女「なぜだ?
耳元で喋ったらイケナイのか?
ちゃんと言葉が伝わるように、耳元で喋っただけなのだが……?」フフッ
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白髪少女「そうだな」スッ
男「……何だその差し出した手は」
白髪少女「いやなに、待たせた女性には優しくせねばな?
優しい男なのだろう?」
男「そういう事か、ほらっ」グイッ
白髪少女「――おっと、勢いが付きすぎたようだ」ギュゥウ
男「……お、おい」
白髪少女「勢いが付きすぎて、抱きついてしまった。これは不可抗力だ。
良いでは無いか。
人気も少なくなった。誰が見ているわけでもない」
男「そういう問題じゃ――」
白髪少女「――、一度で良いから、して見たかったんだ。
普通の女の子らしい事を。
私は普通を経験せずに大きくなってしまった……」
男「……それを言われたら俺は何も言えなくなる。反則だろう」
白髪少女「女と言う生き物は、どこに居てもいつの時代でも……ズルいんだっ」ボソッ
男「~~み、耳元で喋るな」
白髪少女「なぜだ?
耳元で喋ったらイケナイのか?
ちゃんと言葉が伝わるように、耳元で喋っただけなのだが……?」フフッ
コメント 5
コメント一覧 (5)
まとまったらまた挙げてくれや
森きのこ
がしました
森きのこ
がしました
通報するって言われた瞬間から荒らしやめてて草
キッズかよ
森きのこ
がしました
ところでヌポーンってなんなんだ...
森きのこ
がしました
続きまとめなくて正解だわ
森きのこ
がしました
森きのこ
がしました