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バーチャルプロダクションはなぜ映像“革命”なのか 博報堂プロダクツらが、その本質と未来の変化を語る

 『スター・ウォーズ』の実写オリジナルドラマシリーズ『マンダロリアン』などの制作でも活用された革新的な撮影技術「バーチャルプロダクション(以下、VP)」。2024年8月、その領域への本格参入を発表したのが博報堂プロダクツだ。日本のVPをリードするHCAと業務提携し、VPを中心とした撮影手法の多拠点ネットワーク構築や、VPに関する新たな職種の育成などもスタート。スタジオなどのハード面から人材に至るまで一気通貫で取り組んでいくその姿勢からも、博報堂プロダクツの熱量の高さが見てとれる。同社はなぜVPの領域に参入したのか。どのような可能性を感じているのか――。今回話を聞いたのは、博報堂プロダクツの執行役員としてビジュアルクリエイティブ領域を担う武内 寛雄さん、同社 映像クリエイティブ事業本部 本部長 茂木 敦さん、REDHILL事業本部長の渡部 直之さん、 HCAで代表をつとめる井村 宣昭さんの4名。これらの問いを紐解くことで、VP が「“革命”並みに映像制作を変え得る技術」である理由が見えてきた。

時間・場所・表現 映像制作における制約からの解放

――まず、VPの特徴や強みについて教えてください。

井村:我々がいるこのリアルな空間と、CGといったバーチャルな非現実空間を一緒にリアルタイムで撮影・合成し、映像を作りあげる技術です。ハリウッド映画のようなCGを多用した映像は、これまではポストプロダクション(後工程)で処理していましたが、VPでは背景のLEDビジョンなどにCG映像を映し出し、被写体と同時に撮影していくことができます。

 これまでの映像制作では、天候や撮影場所、タレントさんの拘束時間など、さまざまな物理的制約がありましたが、VPは時間や場所などの縛りに左右されることはありません。さらに今までできなかったような新しい表現も可能になる。この「場所・時間・表現をはじめと した制約からの解放」が、VPの最大のメリットです。

武内:VP技術があれば、これまでハリウッドシステムや莫大な予算のもとでしか実現できなかったリッチなコンテンツを、我々でも制作できるようになります。約40年前に映画『スター・ウォーズ』がデジタル合成という映像革命を起こしたときと同じ規模のイノベーションが起きているのです。

株式会社博報堂プロダクツ 執行役員 ビジュアルクリエイティブ領域担当 武内 寛雄さん
株式会社博報堂プロダクツ 執行役員 ビジュアルクリエイティブ領域担当 武内 寛雄さん

茂木:またVPは、SDGsの視点からも注目されています。ロケ地へ大人数で移動することやスタジオでの大型の美術設営とその廃棄が不要になるため、CO2排出量を減らすことにもつながります。

――VPのどのような点に可能性を感じましたか?注力していく背景とあわせ、それぞれの視点からお聞かせください。

井村:VP技術について最初に思ったことは、これまでロケ撮影かスタジオ撮影のふたつだった撮影パターンにVPが加わり、第3の選択肢になりうるということです。そこに光明があると思い、ぜひ取り組むべきだと判断してHCAを設立しました。

茂木:おっしゃるように、VPは確実に第3の手法になっていくでしょうから、我々としても必ず取り組みたいと考えました。博報堂プロダクツとしてVPを使いこなすことができるようになれば、大きな提供価値になると思っています。

株式会社博報堂プロダクツ 執行役員 映像クリエイティブ事業本部 本部長 茂木 敦さん
株式会社博報堂プロダクツ 執行役員 映像クリエイティブ事業本部 本部長 茂木 敦さん

渡部:2019年にディズニープラスで配信された『マンダロリアン』を見て感銘を受けたのが、私とVPとの出会いです。この技術は日本や広告領域にも広がっていくだろうと感じたのを覚えています。2020年にCGやVFXを担当するREDHILLの部署に加わった私は、まずは自部署で何ができるかを考え、会社にも提案を始めました。

武内:最初に渡部が声をあげて、僕や茂木も一緒に説明を続けていたところに、井村さんという仲間が現れてくれて、とても嬉しかったですね。

 広告やマーケティングは今、二分化されています。ひとつはバナーなどを安価かつ大量に制作し運用していくデジタルマーケティングの世界。もうひとつが、テレビCMやリッチなウェブ動画でブランデッドなコンテンツを作る方向性です。デジタルマーケティングはAIによる自動化が進み、人間が介在する部分はどんどん少なくなっていくと私は考えています。一方、リッチな映像コンテンツの世界も広がりを見せているため、よりクリエイティビティの高いものを作るためにVPが必要なのです。

 さらにVPの技術は、映画、ドラマ、広告、イベントと大きく4つの領域で活用できるものですが、それらはエンターテインメントの名のもとにシームレスになっていくはず。韓国ではすでに展開されていますが、広告映像を映画に転用したり、ドラマにプロダクト・プレイスメントしていったり、といったことが今後増えていく。そこにビジネスとしての大きなチャンスが活路もあると考えています。

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関わりがなかった職人たちが現場でコラボ 求められるのは「VPテクニカルスーパーバイザー」

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社博報堂プロダクツ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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2024/12/18 11:00 https://markezine.jp/article/detail/47677
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