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相続・子育て・投資「2024年のマネー」制度どう変わる

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 2024年の今年、暮らしや家計に関する分野でも、税や制度の改正などさまざまな動きがある。相続・贈与、住宅、子育て、資産形成など、この1年の「ライフ&マネー」で変わることは――。

「相続と贈与」一体化に近づく税制改正

 相続や贈与の分野では、24年から税制ルールが変わる。

 相続と贈与は、親から子へ財産を渡す時期が「死後か生前か」の違いだが、課税の仕組みも違う。

 税率は贈与税のほうが高いため、高齢世代から、子育てや住宅などに資金を必要とする現役世代にお金が回る時期が遅くなる。一方、富裕層は、財産を分割して生前贈与すれば実質的に相続税より贈与税の税率を低くできる抜け道がある。

 相続と贈与の「税の一体化」を進めれば、こうした問題は解消に向かう。今回は二つの改正を行った。

 ひとつは「暦年課税」の見直しだ。贈与税は1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除110万円を引いた額に課税するのが基本で、これを暦年贈与という。

 暦年課税は、高齢者が亡くなる直前に駆け込み贈与するのを防ぐため、「死亡前3年以内」の贈与は相続財産とみなして相続税の対象とするルールがあった。

 24年からこのルールを強化し「死亡前7年以内」に4年間延長した。ただし、延長した4年間(死亡前の4~7年)に贈与された財産のうち100万円は対象から外す。

 もうひとつは「相続時精算課税」の改善だ。

 相続時精算課税は、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与時の税負担が軽くなる課税方法で、暦年課税との選択制だ。

 この場合、贈与税は、2500万円までの贈与には課さず、それを超えた分に一律20%を課す。親や祖父母が亡くなれば…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。