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持て余し相続実家「空き家対策の強化」増税の影響は?

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 増え続ける空き家への対応として、改正空き家対策特別措置法が2023年12月13日に施行された。従来の空き家対策をさらに進め、窓や壁が壊れるなど管理状態の悪い空き家も固定資産税などの優遇措置から外す。空き家は、シニア世代が相続した実家を持て余し、放置しているのが典型的なパターン。処分を先送りせず早めに対応することが肝心だ。

2015年に空き家対策を法整備

 空き家が増えている。総務省が5年ごとに行う「住宅・土地統計調査」によると、18年には約849万戸と20年間で約1.5倍になった。

 特に、別荘や賃貸・売却物件でもない空き家は約349万戸と倍近くになった。その4分の3超は、現行の新耐震基準以前の1980年までに建てられたもので、腐って傷んだり、破損があったりするものは約101万戸にのぼる。23年調査では積み増しが必至だ。

 住宅は適切に管理しないと劣化が進む。外壁や屋根が落下したり、家屋が倒壊したりと危険をもたらす可能性がある。また、空き家を放置すれば、ごみを投棄されたり、動物や害虫、雑草が繁殖したりと、周囲の生活環境に悪影響を及ぼす。不審火や不審者の出入りなど防犯上の問題にもつながりやすい。

 空き家をめぐる問題は、以前は自治体が条例などで対処してきたが、10年代に入って広く社会問題化すると法整備が求められた。

 15年には空き家対策特別措置法が施行され、自治体は、国の指針に基づいて空き家対策計画を策定し、空き家への立ち入り調査や、所有者把握のため固定資産税情報の利用ができるようになった。

 放置すれば倒壊の危険性が高い空き家は「特定空き家」に指定し、解体・撤去や修繕などを、所有者に…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。