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昭和を引きずる「配偶者控除」見直しの税制はどうなる

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

「もはや昭和ではない」制度改革の行方(2)

 昭和の時代にできた税制や社会保障は、当時主流だった核家族が前提で、結婚や家族のかたちが多様化する今では、弊害が目立つ。税制では「夫と専業主婦の妻と子」を優遇する配偶者控除の見直しが長年の課題だが、枠組みは変えられずにいる。今後の見通しはどうなるだろうか。

「103万円と150万円」の壁

 この40年間で結婚後も働く女性は増えた。2021年は共働き世帯1177万世帯に対し専業主婦世帯458万世帯と倍以上開きがある。だが、共働きの女性の働き方をみれば、フルタイムの数はほぼ横ばいで、増えたのはパートタイムだ。

 高度成長期にできた税や社会保障に優遇制度があることから、共働きの女性の多くは働く時間を調整する「就業調整」で年収を抑えている。政府が6月14日に閣議決定した男女共同参画白書は「もはや昭和ではない」として制度の見直しを求めた。

 制度の問題点は何か。今回は税制について考えよう。

 税制上、意識される年収ラインには103万円と150万円がある。

 103万円は所得税ゼロのラインだ。給与所得者は年収から給与所得控除(最低55万円)と基礎控除48万円などを引いた額に所得税がかかる。給与所得控除は必要経費、基礎控除は最低生活費として課税しない趣旨だ。二つを合わせた103万円以下なら非課税となる。

 150万円は、共働きの妻がパートで働く場合、夫の税が軽減される線引きだ。

 家族の生計を担う人(扶養者)が収入の少ない家族を支えることを扶養という。税制は扶養者に扶養控除を設けている。扶養対象の家族は基礎控除を引けるほどの収入がないため、代わりに扶養者の所…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。