人生100年時代のライフ&マネー フォロー

環境配慮は建前?「なんちゃってESG」投資信託の闇

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 持続可能な社会を目指し、「環境・社会・企業統治」の企業姿勢を重視する「ESG投資」への注目が世界で高まり、日本でもESGをうたう投資信託が急増している。だが、選定基準があいまいだったり、専門人材を欠いたりする投信もあり、ブームに便乗した乱造という批判も出ている。金融庁は運用会社に対し、ESG投資を行う体制整備や情報開示などを求め、こうした「なんちゃってESG」投信の排除に乗り出す方針だ。

看板倒れの「グリーンウオッシュ」

 ESGは、環境(Environment)▽社会(Social)▽企業統治(Governance)――の頭文字で、企業が長期的に成長するにはESGの三つの観点が重要とする考え方だ。2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」とも共通しており、世界的に浸透している。

 国連は06年、機関投資家に、ESGを投資に組み込む「責任投資原則(PRI)」を提唱し、ESG投資が広まった。国際団体「世界持続可能投資連合」によると、20年のESG投資は世界で35兆3000億ドル(20年の為替レート換算で約3768兆円)に達した。

 日本でも18年ごろから、ESGをうたう投信が急増している。金融庁によると、21年10月までに資産運用会社37社が225本を設定し、うち96本は21年に出た。

 だが、一連のESG投信には「投資や運用の基準があいまいで、看板倒れではないか」という声も根強い。

 企業が「環境」をうたいながら、企業行動や商品の実態が伴わず、環境意識の高い消費者を欺くことは、英語の「ホワイトウオッシュ(ごまかし)」になぞらえ「グリーンウオッシュ」と呼ばれる。投信で…

この記事は有料記事です。

残り1408文字(全文2106文字)

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。