1/21 ようやく保育を整備する新政権からのメッセージ
社民党の福島党首が、少子化対策担当相という立場で保育所の毎年5万人増員を打ち上げて、評価したい。ここで何度も書いたが、バウチャー制を入れるにしても、幼保一元化をするにしても、保育所の財源移譲をするにしても、保育所を増やさないことには、こんなはずではなかったという結果になると何度も書いたが、新政権の大臣で保育所がもっと、ということを初めてぶち上げた。
共働き化、離婚家庭の増加、地域の子育ての孤立化という社会を背景に、保育所の整備をせずに、日本社会が再生することはない。
現金給付だけでなく現物サービスを充実させることが、本質的な子育て環境の改善に重要という衆議院予算委員会での阿部知子衆議院議員の質問もGOOD。鳩山首相が同意したものの、本質的にわかっているかどうかは頼りなかった。
社民党は平和で突っ張るのもいいが、社会民主主義政党を自任して、欧州社民のような勢力を築きたいなら、こうした国民生活に密着した政策について、民主党がとりこぼしている視点でどんどんやっていくのがいい。
●一方、菅直人財務相は「鼻血が出ないほど無駄を無くした後」しか増税しないと宣言。有権者受けするんだろうけども、何が鼻血が出ない状態なのか、主観的な基準である。鼻血が出ないほど、というのは、らっきょうの皮むきみたいなもの。らっきょうの皮むきという言葉で思い出したが、今の衆議院議長が若い頃、教条主義的な左派を批判するときに、純粋でない社会主義者を党内闘争で排除していけばいつか社会党は本物の社会主義になるという理屈は、らっきょうの皮むきみたいなものだと批判したことを思い出す。
また、鼻血が出ないというロジックは、小泉元首相が、国民が音を上げるまで支出を削れば消費税を上げるという声が国民から挙がる、という論立てと同じであり、そこまで支出を増やす必要性のある施策は行われないという宣言でもあるわけで、あまり日本社会の未来を考えると希望が持てないメッセージである。
屈強なワークホリック気味の国民に対する政治家のこうしたリップサービスが、児童相談所、生活保護行政、教育現場、保育所、介護施設、介護職員の待遇、病院医をはじめとする病院職員の勤務実態などの犠牲で成り立っており、時として、国民の能力や可能性を削いだり、ときには国民を殺す結果になっている。
●とくに介護については、条件を付けず単なる待遇改善のために財政出動をするのが待ったなしだろう。介護労働者が現場にいなくなるのが先か、65歳を超えようとする菅直人氏の同世代が介護地獄に陥るのが先か、耐久レースみたいな状況。
●阿部衆議院議員とある席でご一緒したことがあるが、「大手・民主党」「社会・民主党」という言い方をしていたのが印象に残っている。新政権で民主党と一緒だが、付加価値があるんだ、というものを感じて、非常に好感を持てる言い方だった。
小泉首相のバカ息子が「自由があるのが自由民主党、自由がないのが民主党」などとバカなことを言っていたが、その理屈を使って「ソーシャルという視点のある民主党」って売り出したらどうか。
消費増税「鼻血も出ないほど無駄なくした後」 菅財務相2010年1月21日21時15分朝日
菅直人副総理兼財務相は21日の衆院予算委で、増大する社会保障費を賄うための消費税増税について「逆立ちしても鼻血も出ないほど、完全に無駄をなくしたと言えるまで来たとき、必要であれば措置をとる」と述べ、無駄削減を徹底した上で検討する考えを示した。自民党の谷垣禎一総裁の質問に答えた。
消費税をめぐっては、鳩山由紀夫首相が「4年間は引き上げない」と表明している。
菅氏は答弁で「議論をしないとは首相も含めて言っていない」と強調。高齢化に伴う社会保障費の自然増が毎年約1兆円に上ることから、無駄削減の進展をにらみつつ、増税論議に入りたい考えだ。
また、麻生前政権などが消費増税に踏み切れなかった理由として「無駄遣いしている政権に増税させたら、もっと無駄遣いするという国民の不信感が最大の理由だ」と指摘した。(北沢卓也)
| 固定リンク
コメント