つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

HSK5級合格のためにやったこと(一ヶ月前~直前対策)

今回は、下記エントリの続編のつもりで書いています。
kn.hatenablog.jp
一か月前まではどんな対策をしていたかは、上記のエントリに書きました。


現地受験の申し込みから受験まで、受験会場の雰囲気などはこちらに書いています↓
kn.hatenablog.jp


試験対策に費やした時間と、それまでの下地

前回は明記していませんが、HSKという試験を意識して勉強を始めたのは、だいたい受験の3か月前くらいからかもしれません。その一か月後にいざ6級の問題集を解いてみて、怖気づいてレベルを下げたという経緯があります。
あと、私の中国語学習歴は、大学時代に第二外国語として1年履修(2003年春~)のち単位を取ったあとすっぱりやめ、2013年秋ごろから独習開始、2014年5月から週一回ネイティブのレッスンを2時間受講、2015年春から留学、という感じです。ブランクや他との並行はありますが、トータルで2年半~3年くらいは勉強してます。

別の記事でもちょいちょい書いていますが、昨年末に受けたHSK5級に無事合格しましたので、こうして偉そうな記事を書くことができます。偉そうなうえ、4000字超と長文になりましたが、興味のある方もない方も、読んでいただけるとうれしいです。

長くなったので、目次をつけてみました。

受験結果

内訳としては、リスニング・読解・作文の配点が各100で合計300点満点のうち、
リスニング:78点
読解:94点
作文:75点
ということで、合計247点、ぎりぎり8割超でした。

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合格点は6割の180点。ちなみに日本のもろもろの協会が主催している各国語検定とはちがい、各科目ごとの最低点(たとえば読解とリスニングでそれぞれ6割得点、なおかつ合計点で7割超得点といったようなもの)はありませんので、極端な話、たとえ作文とリスニングの合計で80点しか得点できなくても、読解が100点なら計180点ジャストで合格ということです。

雑感―漢字圏であることの功罪

私の得点の偏りを見てもそうですが、日本人は母語との使用文字の相似という超チート条件があるので、読解でかなり稼げます。ただし、普段からつい文字頼みで中国語に接してしまうために他の分野(特にリスニング能力)が伸びないという落とし穴があるのもまた、日本人の中国語学習者の特徴ではないかと思います(鏡を見ながら)。

ちょっと話を変えますが、日本語能力試験(日本語が母語でない人向け)の得点率において、中国語を母語とする日本語学習者は他の欧米圏の学習者に比べて、読解では優れている反面、リスニングでは平均得点がはっきり低いというデータがあるようです。ただ読解が有利というだけでは、リスニングの差は出ないはずなので、この「文字の相似」がむしろ仇になっている面もあるのではないかと考えています。日本人の中国語学習者にも、同じことが言えるのではないでしょうか。

ということで、ここから科目別にやったことを挙げていきます。

総合対策:語彙

上記をかんがみ、語彙は発音とセットで増やす必要があります。逆に言えば、耳で聞いてその単語がぱっと頭に浮かべば、その語はOK、覚えたということです。
5級に出る単語の把握には前回書いたように、単語帳は買わずWeb上で検索・ダウンロードした、ピンイン付きの2500語リストを使いました。
PDFをOnenoteにいくつかに分けてコピーし(evernoteが使えるならもちろんevernoteでいいのです、中国では使えないので)、「ピンインを見て漢字が思い浮かぶかどうか」を習熟の判断基準にして繰り返し見ました。
具体名詞のように意味も余さず把握しているものは消し込んだり(完全に消すのではなく消し込み線を入れる)、解いている模擬問題に出て分からなかったものに印をつけて用法を書き加えたり、明らかに重要語(使用範囲の広そうなものなど)なのに覚えていないものだけを集めて新たにページを作ったりと、適宜手を加えながら使いました。
結局全体的には、2~3周は眺めたかなーという感じです。

リスニング対策

不安だったので、「読解」のほうで挙げる模擬問題集に加えて特化したものを用意しました。

模擬問題集の方が簡単で、対策本の方が思うように得点できなかったので、後者のCDをシャドーイングにも使ったりして繰り返し聞きました。模擬問題の方の問題は各一回しか聞きませんでした。
語彙が増えるにつれて、聞いてわかる単語が増えるので、だんだん自信がついてきました。

読解対策

模擬問題が中心です。

強いて言えば、時々手持ちの小説やスマホでのインターネットニュースも読んでいましたが、直接的な試験対策にはなっていなかったかも。そこまで特別に難しい文法・成語などは使われていないので、ここでもコツコツと語彙を増やしていきます。
設問のタイプとしては、内容の理解確認、それから文章中の単語の穴埋め(選択肢はイメージの近い単語4つ)などがありますが、後者は本文中に正解の単語が出てくることが多いので、落ち着いて前後の文章から探せばOKです。ただ、設問45問に対し解答時間が45分なので、試験対策の時点でも時間を測るなど、「早く正確に読むこと」を意識した勉強をするべきだと思います。

作文対策

正直、あれからもネイティブチェックはほとんどしてもらいませんでした。環境的には恵まれているので勿体なかったかもしれませんが、必要ないと判断しました。前に書いたエントリ中でのlang-8の件でもそうですが、特に国語教授法等のスキルがないネイティブの判断は「オレがそういう風に使うか/使わないか」だったりして大変曖昧で、「ここが違う、こう変えるべき」と言われても、そこから根拠や納得いく説明をもらえることは稀です。

たとえばイタリア語では、文法上は名詞の直後に修飾する形容詞を置く決まりなので「来週」は「la settimana prossima」なのですが、「la prossima settimana」と言うネイティブはとても多くて、前者で書いていると後者派から「訂正」されることも多々あります。これはイタリア人が特別いい加減だからというわけではなく、「電車が『参ります』を『伺います』に変えられないのはなぜ?」と非ネイティブから聞かれた日本語ネイティブが「ここでは『伺います』は使えない」ことは即座に指摘できても、それ以上の説明にはある方面でのスキルが必要になるのと同じです。

その点では、私の留学先の先生や友人も「普段は中国人に日本語を教えている中国人=日本語で意思疎通が取れる=日本語も話せる一般的なネイティブ」という人々なので、早い段階でそうした方面で頼りにするのはやめました。もちろん日常会話など、生活中の中国語では大いに助けてもらっていて、感謝しています。

前置きが長くなりましたが、私が作文対策に取り組んだのは本番一週間前からで、やったのは「問題集の模範解答を書き写す」ことです。
最初は一ヶ月前くらいからの模擬問題集を解く際に、バカまじめに「写真を見て100文字程度の文章を自由に作りなさい」の文章の内容をいちいち考えていたのですが、この「頑張って考えた内容」って別に本番の試験には役に立たないんですよね。本番は本番の写真を見てその内容をそこで考えて書くのですから、一回一回の練習問題のために頭を使ってオハナシを考える時間は無駄かな?と思ったんです。たまたま似たイメージの問題が出ても、練習で作った文章をいちいち覚えてはいませんしね。
だから、本番でそのオハナシを入れる骨組み=構文や文体を身に付けておくことに注力することにしました。まさに「内容=骨組みの中に入れるもの」ですね。

ちなみに留学先の先生には、その「あらかじめいくつか解答を作っておいて暗記する」という方法を勧められたので(理由としては「中国の学生(特に大学受験生)もそうするから」)、「こらあかん、自分で方法を考えよう」と思った…というのも少しありますw
科挙の国だけあって、一にも二にも暗記!というスタイルが、いまでも彼らの学習の基本なんですね。

模範解答には日本語訳も付いているので、模範解答を一読→日本語訳だけを見ながら書いてみる→模範解答をそのまま書いてみる、というパターンで繰り返しました。
もちろん読むだけでもいいのかもしれませんが、書く(といっても本番はwebテストなので、ここでもOnenoteを使って本番通りにタイプしました)ことで「こういう呼応表現を使えばいいのか」「ここは句点ではなくコンマになるのか」など「解答向きの文章の形=文体」が分かるようになりました。何より解答で指定される「100文字前後」の量感をつかめるようになります。最後の方には面白くなってきたので、思い付きで「構文をそのままで、まったく別の内容について書いてみる」という練習もしてみました。結局オハナシ考えてるやんか、っていう。

本番では75点と、点数分布では上位2割以内だったものの自分の結果では3科目中最低でした。5級相当の難しい単語を意識して盛り込んだり、複雑な構文を使えば、もう少し点数が伸びたのかもしれませんが、そこは実力相応ということで。

その他

いきなり5級を受けるので中級レベルの語や語法に落とし穴があると考え、学校で使うテキスト(初中級向け)を未習範囲含め音読するなどしました。4級の範囲の単語もざっと眺めるなどしました。

終わりに

満を持しての合格エントリうぇーいwwwと、うきうきして書き始めたのでものすごく長くなってしまいましたが、以上です。すぐにではありませんが、ここまで来ちゃったのでいずれ年内にでも6級取得に向けて動こうと思います。最後に、受験会場の門に書いてあってすっかり気に入ってしまった言葉を置いて、本エントリを閉じます。

学习成就未来,知识改变命运(学びは未来を成し、知識は運命を変える)