源氏物語は恋と愛の物語であり,王権と政治の物語であり,人の生き方と救済を問う物語でもある.
千年にわたって読み継がれてきたその魅力の根源を,この物語のもつ多義的・多面的な構造に求めながら,
冒頭の桐壺巻に仕掛けられた四つの「謎かけ」を手がかりにその世界を読み解いていく.
源氏物語は,読者に問いかける物語なのである.(Amazon)
以前にぼちぼち日本の古典を
読んでいきたいという趣旨のブログを書いた。
源氏物語から初めるのがいいかなと決めた。
その手始めの一冊として読んだ。
源氏物語を恋物語と言い切るのは簡単だろうが
それではあまりにも陳腐だ。
この本は新書まるまる一冊源氏物語に関する解説書となっている。
かつて哲学者・和辻哲郎が源氏物語は構成が立派すぎて
これは女の書いたものではないと言った。
今言えば袋叩きであろうが,彼の言も頷けるものがある。
この本を読んで,確かにこの構成はすごいさを思わされた。
例えば光源氏と関係をもつ女性を「桐壷系」と「箒木系」の
2系列に分けて戦後論じられてきた。
「桐壷系」は光源氏の運命を左右するのに対し,
「箒木系」は女性の生き方,運命を問う役を担っているとある。
この分類は面白いと思った,
私が源氏物語で興味をもったのはほぼ「箒木系」の女性である。
(ちなみにその中でも空蝉に心惹かれた。)
こういう切り口を時系列順にどんどん紹介してくれ,
ある程度内容を知っているならば以前より深読みを
可能にしてくれるのではないかと感嘆した。
やはり19世紀以前の小説というのは
商業によらず書いていたことが多く今とは違った趣が溢れている。
ぜひ,源氏物語を読んだ時もこの本を読んで色々と考えたい。
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- 2013/10/07(月) 00:08:51|
- 読書メモ
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ヨーロッパにいると、やれシェークスピアだの、ダンテだのと言われますが、源氏物語は世界最古の所謂小説です。各国の人たちとジョークで自国が一番!と自慢話になる時に、源氏を出します。作者は女性ですしね。さらに注目を浴びるわけです。しかも、その当時の貴族は優雅にご飯食べてましたから。欧州では手づかみで豚の丸焼きみたいな時代ですよ。上品じゃないですか。ということで、世界に誇れる日本の1つです。ちなみに、私は清少納言の枕草子を原文で無理矢理読みました。自分の好き嫌いを好き勝手に言っている幸せな人です。
- 2013/10/07(月) 05:44:03 |
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- lakme #-
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> ヨーロッパにいると、やれシェークスピアだの、ダンテだのと言われますが、源氏物語は世界最古の所謂小説です。各国の人たちとジョークで自国が一番!と自慢話になる時に、源氏を出します。作者は女性ですしね。さらに注目を浴びるわけです。しかも、その当時の貴族は優雅にご飯食べてましたから。欧州では手づかみで豚の丸焼きみたいな時代ですよ。上品じゃないですか。ということで、世界に誇れる日本の1つです。ちなみに、私は清少納言の枕草子を原文で無理矢理読みました。自分の好き嫌いを好き勝手に言っている幸せな人です。
lakmeさん コメありがとうございます
当時あれだけの小説を書けたってのがすごいですよね。
ああいう絢爛豪華な物語って類を見なくて感心してます。
- 2013/10/22(火) 23:03:03 |
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- ヒメキリン #-
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