気になる単語はすぐ検索、ノート集めとハーブティーで日々を潤し、“からあげ王子”に思いを馳せ、ドラクエで自分の20年を振り返る。喫茶店ではついつい隣の会話に耳を傾けてしまい、肝心の小説は進まなくて……。昼間は会社員、夜は小説家。ハイブリッド・ワーカーの津村記久子氏がその日々を綴る、細やかで、ちょっぴりおマヌケなエッセイ集。(Amazon)
ようやく私たちの世代になったのかな,読んでいてそんなが印象浮かんだ。
もうとっくになってるというか,通り過ぎてるのかもしれないんだけど。
作者の津村記久子さんとは,年齢的に一回りの開きがない。
その世代的な近さが,そう思わせたんじゃないだろうか。
こういう脱力系のエッセイは好きだ,
そもそもエッセイはそんなに力の入ってないのが,私はいいと思う。
暴論や極論が少し入っていてもかまわない。
作者は,数年前に芥川賞を受賞しており,
そういう人が書いたエッセイだから,
少し硬めな内容なのかと思ったが,なんという暖簾に腕押しっぷり。
思わずコケてしまいそうになった。
近年,文壇らしいというか,
強烈な個性をもってる人ばかり注目される,芥川賞・直木賞。
まぁ,それは近年にはじまったことじゃないか。
でも作者のような人もいるんですよ,そんなエッセイ。
別に作家だから,ゴリゴリの主義主張がないといけないわけじゃないと思うんだ。
なにもないのは,それで問題なんだけど。
それでいて,文章中での生活感が要所々々に見える,
小さなこだわりのようなものが,小物っぷりを増幅させていて,
親しみを込めて見ることができる。
いや,こういうこだわりが彼女という作家である所以なのかも。
話のネタになっているものが身近にあるのもいい。
フリスクのCMやノートハンター,人生におけるドラクエの影響なんかのテーマもさることながら,
YouTube,東急ハンズ,ガスト,XP,チョコパイなどなど文中に出て来るワードも,
おお!なんか近い世代だと言う気にがするんだよね。
他にも,映画に関するエッセイのところで,
ピクサー映画(WALL.E・ミスターインクレディブル・モンスターズインク)
上げてるところも,分かる分かる。
ただ,リアルでルーラを唱えて帰ろうとするのは,ドラクエ廃人すぎだろうw。
こういう感じって,
私たちの世代の作家がもうそこかしこにいるんだなという気にさせる。
なんか大人になったんだなというか,
いつの間にかここまで来ちゃったのかという感じがしてムズムズする。
☆☆☆
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- 2013/01/03(木) 23:28:51|
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《気になる単語はすぐ検索、ノート集めとハーブティーで日々を潤し、“からあげ王子”に思いを馳せ、ドラクエで自分の20年を振り返る。喫茶店ではついつい隣の会話に耳を傾けてしまい、肝心の小説は進まなくて……。昼間は会社員、夜は小説家。》
「気になる単語はすぐ検索」という箇所は、仕事熱心なのだな!と関心すると思いきや、「からあげ王子に思いを馳せ」と箇所で”ガクッと”、そんなことしてる場合か!とツッコミを入れたい気分になる・・・・
脱力感、生活感がなんとも漂ってきました・・・・
- 2013/01/04(金) 11:32:48 |
- URL |
- タケゾウ #-
- [ 編集 ]
> 《気になる単語はすぐ検索、ノート集めとハーブティーで日々を潤し、“からあげ王子”に思いを馳せ、ドラクエで自分の20年を振り返る。喫茶店ではついつい隣の会話に耳を傾けてしまい、肝心の小説は進まなくて……。昼間は会社員、夜は小説家。》
>
> 「気になる単語はすぐ検索」という箇所は、仕事熱心なのだな!と関心すると思いきや、「からあげ王子に思いを馳せ」と箇所で”ガクッと”、そんなことしてる場合か!とツッコミを入れたい気分になる・・・・
> 脱力感、生活感がなんとも漂ってきました・・・・
タケゾウさん コメありがとうございます
こういうこだわりが,なにか作家らしいと言えば作家らしいですね。
- 2013/01/06(日) 18:40:11 |
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- ヒメキリン #-
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> 小説って時々はっとさせられます♪
> 私もとしとったせいかなぁ~^_^;)))
ちゃんちーさん コメありがとうございます
面白い小説ってのは,感情を揺さぶるんでいいんですよね。
私は涙腺が年々緩んでいます。
- 2013/01/06(日) 18:42:05 |
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- ヒメキリン #-
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