「「である」調と「です、ます」調の混在」「名文の特性は? 具体的に誰の何?」「「三日坊主」はどこから生まれたか」…読者の質問から見える日本語の魅力を伝える。95年朝日文芸文庫版の単行本化。(Amazon)
今月,丸谷才一が亡くなった。
そんな機会に便乗してか,図書館で特設コーナーが開かれていた。
本を返すときにたまたま見かけただけだったが,
なんとなしに幾つかの本をパラパラ見開いてみた。
こんな機会でしか読むことがないだろうし,これはうれしいコーナーだ。
並んでいる本が少し少ない気がしたが,
並べきれなかったからか,
これを機に読み返そうという人がいるから,
だということにしておこう。
その中で,目をつけたのが本書だった。
●作風彼の作品だと分かる独特の仮名遣いと
日本語への深い洞察を伺わせるエッセイとなっていた。
相変わらずの旧仮名使いからは,
彼のポリシーとでもいうようなものが伝わってくる。
初めて彼の本を読んだ時は旧仮名使いを読みにくくて,
正直なんでこんなことをしてるんだろうと思ったものだが,
読んでいるうちに彼の日本語に対する真摯さが伝わってきたものだ。
こういうことをできる作家さんって,もうこの国ではほとんどいないのかもしれない。
この仮名遣いって,読むことはできるが,書くことは私はできそうにない。
そう考えると,日本文化の一端が消えたようで寂しい,
もちろん彼の作品は残り,今私が読んでいるのだが。
本書は,題名に相談ともあるように,
相談者から問を作者が答えるかたちになっている。
日本語に関する相談のエッセイというのが,作者らしく選んだ理由でもある。
●読書感想文その中で一つ。
学生の質問なのだが,読書感想文が書けないので書き方を教えてくれというもの。
そこで,丸谷は読書感想文なんか,書かない方がいいと言っている。
その理由は,簡単に3つにまとまえると
1.とにかく本を読む方が大切
2.読書感想文にすぐれた型があまりない
3.読書感想文は,書評ないし文芸評論というもので子供が書くのは難しい
ということを主張している。
それでも必要な時は,
それを踏まえた上で,3つのことを守ればそれなりものが出来上がるとしている。
1.面白い本に出会う
2.友人に紹介する様で書く
3.本の一番おもしろい部分について書く(最後に全体をまとめる)
これは確かに正しい。
素人が書評や評論のようなものを書くのは難しい。
(私もブログ内では,本を読んだものをあくまで感想ということにしてる。)
これは,自分が本を読んだ感想を書くんで痛いほど分かってる。
こうやって,感想を書いていると自分の型のようなモノが見えているが,
それがすごく小さいのが分かる,お釈迦様の手のひらを移動する孫悟空のような気持ちになる。
自分はこれぐらいしか書けないという感じに。
それを抜けだすには,いい評論なんかをどんどん読んでいくしかないわけで。
まあ,気長にやっていこうと思う。
●ビブリオバトル話は変わるが,
今日ビブリオバトル首都決戦2012が行われた
ビブリオバトルとは,参加者が読んで面白いと思った本を紹介する読書会の一つだ。
持ち時間5分という枠の中で,どれだけ面白いプレゼンができるか,
それを競うわけだ。
ニコニコ生放送で放映がされてたので,すこし視聴した。
参加者は時間の限り,がんばってスピーチをしていたのが分かる,いいイベントだった。
このイベントの趣旨って,丸谷の言っていた読書感想文のルールと近いものがあるなと思えた。
・
知的書評合戦ビブリオバトル公式サイト
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- 2012/10/21(日) 20:57:21|
- 本 ☆☆☆☆
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| コメント:8
ひめきりんさん・・いつもありがとうございます。
私はいろいろなジャンルの本を、気の向くまま読み、自分の生活の糧にしています。
感想を上手く、言葉や活字に出来ないのが残念です。
だから・・One to Goをとても楽しみにしています。
ヒメキリンさんは、そのうちメディアに登場するんじゃないかと密かに思っています。
これからも、その感性で、沢山のものお知らせください。
時節柄、お身体ご自愛ください。では・・また。
- 2012/10/22(月) 08:47:34 |
- URL |
- さと #-
- [ 編集 ]
おはようございます。
丸谷才一氏という方は恥ずかしながら知りませんでした。
日本語を大切にするとはよく言われることですが、わたしは楽な方向にいってしまい古いものを大切にすることが足りなかったと反省しています。
私も旧仮名遣いは読むのも大変で、全く書けません。確かにひとつの文化が消えていくようでさびしいですね。
- 2012/10/22(月) 09:43:20 |
- URL |
- RISA #-
- [ 編集 ]
> ひめきりんさん・・いつもありがとうございます。
>
> 私はいろいろなジャンルの本を、気の向くまま読み、自分の生活の糧にしています。
>
> 感想を上手く、言葉や活字に出来ないのが残念です。
>
> だから・・One to Goをとても楽しみにしています。
>
> ヒメキリンさんは、そのうちメディアに登場するんじゃないかと密かに思っています。
>
> これからも、その感性で、沢山のものお知らせください。
>
> 時節柄、お身体ご自愛ください。では・・また。
さとさん コメありがとうございます。
いつもブログ読んでもらってありがとうございます。
応援してもらうと,がんばろうと思えてうれしいです。
これからもがんばっていきます。
- 2012/10/25(木) 22:52:42 |
- URL |
- ヒメキリン #-
- [ 編集 ]
> おはようございます。
> 丸谷才一氏という方は恥ずかしながら知りませんでした。
>
> 日本語を大切にするとはよく言われることですが、わたしは楽な方向にいってしまい古いものを大切にすることが足りなかったと反省しています。
> 私も旧仮名遣いは読むのも大変で、全く書けません。確かにひとつの文化が消えていくようでさびしいですね。
RISAさん コメありがとうございます。
氏のエッセイは,どれも無骨な感じで面白いのでおすすめです。
日本語とはを考えさせられる文章の数々でした。
- 2012/10/25(木) 22:58:49 |
- URL |
- ヒメキリン #-
- [ 編集 ]