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シューティング千夜一夜 ~第129夜~ レイダース5

レイダース5 タイトル


今回はものすごくマイナーな作品です。
もはや、自己満足の世界(笑)

1985年のタイトー/UPLの作品「レイダース5」です。
なお、某考古学者とは何の関係もありません。

****************************

レイダース5 ゲーム画面その1


ブロックで構成された迷宮を回りながら、ターゲットブロックを全て撃ち抜き、出口に入るとクリアになる、異色のパズル型シューティングです。

自機はレバーと1ボタンで操作します。

レバーは移動に使うのですが、自機は基本的に止まる事ができず、レバーはどちらかと言うと上手に使用して制御する、といった意味合いが強いです。
180度方向転換は自由にできるのですが、90度転換はブロックに挟まれた場所ではできないなど制約があります。


レイダース5 ゲーム画面その2


自機は正面に障害物があると動きを止める性質があります。
障害物とは単独のブロックの他、敵が変化した卵も該当します。
これを利用して、自機を思い通りの場所に止めて、破壊できない箇所のブロックを破壊することが可能になるのです。


ショットボタンで、文字通り弾を撃つ事ができます。

自機はこのショットを使ってブロックを破壊できます。
また、ショットは敵を卵に変えて無害にしたり、敵が変化した卵を押し出したりすることもできます。


レイダース5 ゲーム画面その3


ゲームの目的として、まずは金色の「ターゲットブロック」と呼ばれるブロックを探します。
通常のブロックは銀色でできているのですが、ターゲットブロックは金色中央が光っており、通常とは形が違っています。

1ステージにつき何個か置かれているターゲットブロックを壊し、全て破壊すれば出口が現れる仕組みになっています。

ターゲットブロックは基本的に撃ちにくい場所に配置されている事が多く、大概はビームを上手に使わないと破壊しきれません。
また、ターゲットブロックは1回破壊しても別の場所に出てくるので、全て破壊するのは一筋縄ではいきません。

ターゲットブロックの出る場所は決まっているので、ある程度動きをパターン化させる必要があります。

こうして、ターゲットブロックを全て破壊して、出口から脱出すれば1ステージクリアです。


ブロックやパネルの種類は他にも、破壊するとボーナスの入るブロックの他、自機が一定時間無敵になるPパネル、一度通過するとブロックに変化するパネル、自機が変形しないと破壊できないブロックなど色々なものがあります。

これらのブロックの特性を掴んで、ステージを攻略していきます。


****************************

レイダース5 ゲーム画面その4


当時のUPLといえば「忍者くん」が代表格にあたるのですが、このレイダース5は、まさに「忍者くん」のUPLらしいトリッキーな作品に仕上がっています。

シューティングとパズルゲームを融合した形ではかなり珍しいタイプで、他に例を見ないゲームにも見えそうです。


珍しいのは自機が勝手に止まる事ができないという、独特の操作体系でしょうか。
思うように動かない自機をいかに制御し、いかに目標のブロックを壊すかという点は、他に類を見ません。

敵の卵を障害物にして止まらないと壊せないブロックの存在など、敵を利用して対象物を壊すパズルって、あまり聞いた事がないですから。
この辺はプレイした事がある人ならわかると思います。

1985年という時代柄、結構考えて作られたパズルゲームだという印象があります。


レイダース5 ゲーム画面その5


敵の性質がこれまた憎い性質で、最初のうちは敵を卵にすると一定時間で元の敵の姿に戻るのですが、しかし同じ敵を撃ち続けると敵の姿に戻る時間が短くなっていき、スピードの早い別の敵の姿に変化していきます。

そしてさらにこれを撃ち続けると卵に変化しない敵に変わって、クリアはますます困難を極めていく…
と、その性質はかなり細かいのです。

敵の性質をうまく利用するにも限度があるため、丁寧に撃っていかないとクリアできないというのは、トリッキーという他ないでしょう。

後半ステージなどでは、敵をゼロ距離で撃ち壊して爆風が広がってる間にすり抜けるなど、アクションパズル顔負けのステージまで存在するという懲りよう。


また、隠し要素もあり、いろいろと楽しませてくれます。

1ステージ内のブロックを全て破壊すると自機が金色に変形するのですが、こうなるとビームが太くなり、破壊できないブロックも壊せるようになります。
これを使って先のステージでボーナスを稼ぐといった芸当も可能です。

他にも「忍者くん」にもあった無駄撃ちが無ければボーナスが入るギミックなんかも存在します。
通常の仕様やら隠し要素やら、とても最新鋭的な香りが漂います。


****************************

レイダース5 ゲーム画面その6


しかし良い作品とはいえ難点も存在するわけで。

中でも致命的といえるのが「ルールの分かりにくさ」でしょうか。

初めて見たのが中学生の時だったのですが、自分が最初にプレイした時は本当に何をすればいいのかわからなかった記憶があります。

うろちょろしてブロックを破壊すればいいんだな、というのはわかったのですが、そこからどうすればクリアになるのかが全然わからなかったんですね。
自機が変形したのはいいものの、それに何の意味があったのかも理解できなかったんですよ。

しばらくしてルールは理解できても、今度は破壊できないブロックがあるという問題にぶち当たり、卵を使ってターンしなければならないというルールを知ったのは、プレイして暫く経った頃だったと記憶しています。

インストカードがどのような旨だったか忘れたのですが、とにかく最初は全然ルールが飲み込めずに四苦八苦した覚えがあります。
4面ぐらいまで進めた頃には、もうゲーセンから消えていました。
覚えたばっかりだけに、ちょっと悲しかったような。


レイダース5 ゲーム画面その7


ちょっと残念なのは、プレイヤーを惹き込む作りとしては、最初のパンチが足りなかったかな、という印象。

このゲームって、複雑なシステムな割にはデモ画面が一切無いんですね(ドルアーガの塔を意識したのかな)。
一応デモンストレーションステージとして、最初に敵のいないステージ1をプレイできるようにはなっているのですが、もう少しルールを説明してくれた方が良かったのかな、と。

自分の通っていたゲーセンでもプレイする人は少ない傾向にありました。
ちょっとルールがわかりにくかったのが災いしたのかな?
と思ったりします。

チュートリアルでもあれば、もっといいゲームに育ちそうな作品になりそうな気がしています。


****************************

レイダース5 ゲーム画面その8


「レイダース5」は出回りが相当悪いらしく、見た事のある人はごく少数らしいとのこと。
とても戦略的に仕上がっているパズルゲームの割に話題に上る事がないのは、そのせいであるかもしれません。

UPLはその後「忍者くん阿修羅の章」でブレイクすることになるのですが、このゲームも相当トリッキーなゲームであるのと同時に、遊びやすく仕上がっている名作です。

そのブレイクの裏には、かようなゲームの存在があったからこそだったのかと思ったりします。
| シューティング千夜一夜 | Comments(16) | Trackback(0) |

コメント

2007年04月01日(日)22:56 みぐぞう #- URL 編集
レイダース5はプレイしていないんですが、これまた藤沢イズム大炸裂な一品ですね。
UPLはハードの開発能力が弱い事もあり、アイデアで勝負しなければならなかったのではないでしょうか。
(後年、ゲーメストのインタビューで藤沢氏が「妖怪道中記」のハード性能の高さを羨んでいました)

斬新なゲームアイデアで勝負するゲームデザイナーが作るゲームはMTJこと三辻富貴朗氏もそうでしたが、結局パズルゲームになってしまうのかも知れません。

いや、両氏ともわたくしはファンなのですが。

MTJ氏と藤沢勉氏

2007年04月02日(月)02:15 K-HEX #xHucOE.I URL 編集
>みぐぞうさん
この両名は、決して大衆受けはしなくとも、テクニカルなゲームを作る点に関しては賞賛に値する知識を持ってた方達でしたよね(個人的にはコズモギャングザパズルの見城こうじ氏も加えたいですが)

MTJさんのコラムは、ゲーメストにも載ってたのを記憶しています。

そういうゲームだったのか

2007年04月03日(火)18:32 rep #- URL 編集
やったことはあるのですが、当時はシステムが理解できませんでした。なるほどねー。面白そうなので機会があったら遊んでみようと思います。

まずはルールから

2007年04月05日(木)01:19 K-HEX #xHucOE.I URL 編集
>repさん
これって最初のルールがわかりにくいんですよね。
斬新なゲームだけに、開幕で勿体無い事をしているというか。

当時の出回りが良ければ、ファンが多く付いたゲームになり得そうではありますね。

メスト読者でBeep!読者でベーマガ読者

2007年04月19日(木)00:57 たけぽんFX #- URL 編集
画面だけ見ると迷宮島みたいですね。
やったことないですわ。
藤原勉氏といえばBeep!でコラム書いてましたね。結構辛口の。
MTJさんといえば、なんかパラソルスターあたりからはイマイチになった記憶が。代わりに見城こうじさんが出てきたというイメージ。
でも見城こうじさんというと萩の月のイメージが先行してしまいます。
魔中年見城。←失礼なッ!

萩の月

2007年04月20日(金)00:31 K-HEX #xHucOE.I URL 編集
>たけぽんFXさん
迷宮島は懐かしいです。
34面の邪道ハンマー技パターンにちょっと感動を覚える今日この頃。

自分はBeepは読んでいなかったのですが、そうするとゲーメスト、Beep、そしてベーマガそれぞれに通な人がコラムを担当していることになりますか。
なんてすごい。

見城こうじさんも藤沢氏・MTJ氏に似た香りですね。
作り手になると、ちょっとマニアックになりすぎて引いてしまうようなw

見城氏はやたらと萩の月ネタに使われていた印象。
失礼なっ!!!

あとアサルトビデオ。

2007年04月27日(金)23:25 ハマテツ #- URL 編集
その昔、福岡の「モ○ンキーハウス」で、仕事してまして、懐かしかったので思わずコメントを書いてしまいました。

その頃は、「レイダース5」をやってるのは「ELS]君くらいのもんで、あまりヒットしなかった記憶があります。私も随分やりこみましたが、どうしてもクリアできないまま、人気が急激に落ちて(って言うか元々マイナーだったけど)姿を消しました。会社に入荷した基盤も3枚くらいだったような気がします。
よく出来たゲームで、好きだったんですがねー。ファミコンとかで販売されているようなら、今ならハマッテ出来るんだけどなー。

つまらないことを長々と失礼しました。

当時ゲーメストのハイスコアラーだった方

2007年04月28日(土)03:02 K-HEX #xHucOE.I URL 編集
>ハマテツさん
はじめまして。
ってゲーセン名隠れて無い!!!ww
自分も福岡出身なので、なんとなく親近感がわきます(モ○キーには寄った事ないですが)
ELSさんって、ハイスコアラーだった方ですよね。
ゲーメストではよく見かけました。

レイダースはルールが非常にわかりにくい部類にあたるので、その面白さを理解する前に離れたりしたんでしょうね。
結構ハマリもあったりしますし。

でもパズルゲームとしては出来が良くて、シビアなアクション性を求める点で言えば、ゲームとしても十分成り立つゲームだったと思っています。

マニアックなゲームにコメントを頂けると、個人的にはどんなものでもうれしいです。
コメントありがとうございました。

またやりたい

2007年11月02日(金)17:19 AZAMA #mQop/nM. URL 編集
このゲームは、またやりたいゲームの1つです。

最初はルールが難しくて、大変でしたが、
だんだんコツがわかってきて、面も進むようになってきた頃、
突然、ゲーセンからなくなっていました。

当時は、かなりショックでしたね。

それ以来も、事ある毎に探してるのですが見つかりません。

買ってでも全面クリアしたいですよ。(^^;

敵が石になる瞬間、透けた状態になってすれ違う事ができるのですが、
そのルールを知らないとまったく先に進めない画面があります。
7面くらいだったかな・・・。

その面がかなり覚えてます。

けっこうお金使いました。(^^;

でも、解けたときの喜びはかなりのものでした。

トリッキーなゲームでした

2007年11月02日(金)17:43 K-HEX@職場 #xHucOE.I URL 編集
>AZAMAさん
コメントありがとうございます。

自分も4面あたりまで進んだところで無くなったゲームでしたので、その時は結構ショックだった記憶があります。

ルールがわかるようになると楽しめるゲームなんですが、それでも独特のアクションを要する分、難易度は高めですね。

卵になる瞬間を抜けるステージは本当に一瞬なので、アクション要素の強さを実感します。

今だと実機は本当に一握りのゲーセンにしか置いていないでしょう…
エミュレータ筐体があれば話は別かも(入ってるかどうかも微妙な線)

2008年03月11日(火)17:44 熊ラボファン #- URL 編集
レイダース5のメイン製作者は藤沢さんではなく西澤さんです。

今は初期状態のネームエントリーが確認出来ないのですが、西澤さんは"BUCHA"で、この名前が1stになっているはずです。

ちなみに、魔城の冒険も西澤さんがメイン製作者です。

なるほど

2008年03月11日(火)21:28 K-HEX #xHucOE.I URL 編集
>熊ラボファンさん
西澤さんと申しますと、ウエストンの西澤龍一さんのことでしょうか。

ちょっと確認したところ、オープニングにてRYUICHI NISHIZAWAの文字を確認しました。
あと、ネームエントリーの1位はご指摘通りBUCHAですね。
ご教授ありがとうございます。

2008年03月12日(水)14:49 熊ラボファン #- URL 編集
はい、現ウエストン・ビット・エンタテインメントの社長さんの西澤龍一さんです。
UPLで製作したゲームはRAIDERS5が最後だと聞いています。
その後、ウエストンにてワンダーボーイシリーズを製作されました。

セガエイジスで確認しました

2008年03月13日(木)00:38 K-HEX #xHucOE.I URL 編集
>熊ラボファンさん
セガエイジスで発売されたモンスターワールドコンプリートコレクションには、西澤氏のインタビューが掲載されていますね。

結構テクニカルなゲームが好みのようで、インタビューには「ヒットラーの復活」をやりたいと書いておられました。

2008年03月13日(木)18:18 熊ラボファン #- URL 編集
ソフトは買っていたのですが、ワンダーボーイのリプレイがほぼ唯一の目的だったのでマニュアルはノーチェックでした。

早速チェックしたいと思います。有難うございました!

いえいえ

2008年03月15日(土)03:21 K-HEX #xHucOE.I URL 編集
>熊ラボファンさん
こちらもUPLとウエストンとの意外な接点が調べられて有意義でした。
どうもありがとうございました。

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