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シューティング千夜一夜 ~第392夜~ ラピッドヒーロー

ラピッドヒーロー タイトル


ローペースだけど、400夜までもう少し。
シューティング千夜一夜のはじまりでございます。

今回取り上げるのは、NMK/メディア商事の「ラピッドヒーロー」。
とてもマニアックな作品ですが、本格的な造りになってる一品。


****************************

ラピッドヒーロー ゲーム画面その1

ラピッドヒーロー ゲーム画面その2

ストーリーは不明。一人の少年と少女が赤と青の戦闘機に乗り込み、並み居る敵を薙ぎ倒していく正統派シューティングとなります。

1レバー2ボタンで自機を操作。
2人同時プレイ可能で、1Pの自機は赤の戦闘機、2Pの自機は青の戦闘機を操作します。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その3

ラピッドヒーロー ゲーム画面その4

ボタンはショットとボンバーに使用。

ショットはボタンを1回押すと、一定量のショットが出るセミオートタイプ。
ショットを軽く叩くだけで、連射ができるようになっています。

ボンバーは緊急回避のボム。青い爆風を発し、全体にダメージを与えるタイプのボムになっています。敵弾が全て消滅、周囲の敵に大ダメージを与えます。また、使用した瞬間は一定時間無敵になります。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その5

ラピッドヒーロー ゲーム画面その6

特定の敵を破壊することで、パワーアップアイテムが出現します。パワーアップは自機のショットの強化、サブウェポンの追加など。3種類のサブウェポンは、全て併用できるという特徴があります。

アイテムの種類は以下の通り。

・Pマーク
青い玉のようなアイテム。
取得することでメインショットが強化される。最大4段階。

・Lマーク
緑マークのサブウェポン。前方に貫通するレーザーを発射できる。
最大2段階。

・Hマーク
黄色マークのサブウェポン。敵を自動追尾するミサイルを発射できる。
最大2段階。

・Mマーク
水色マークのサブウェポン。前方に飛距離の短い投下爆弾を発射する。
最大2段階。

・Bマーク
縦長のボムアイテム。ボンバーが1発補充される。

・Fマーク
時々出現するアイテム。
取得すると、サブウェポン全部装備のフルパワー状態になる。

・★マーク
得点アイテム。ミスせずに取得し続けると、スコアが伸びる。
最大スコアは10,000pts。

・エクステンド
文字通りの1UP。特定の敵を破壊することで出現。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その7

ラピッドヒーロー ゲーム画面その8

本作は残機制。敵や敵弾に触れることで1ミス。
残機が無くなった状態でミスすると、ゲーム終了です。

ステージ最後のボスを倒すことで、1ステージクリア。
全8ステージ。本作はループゲームではありません。


****************************

ラピッドヒーロー ゲーム画面その9

ラピッドヒーロー ゲーム画面その10

多くのシューティングゲームをゲームセンターに提供してきた、NMK開発作品の一つ。代表作にはサンダードラゴン超時空要塞マクロスオペレーションラグナロクなどがあり、ガチなシューターが好みそうな作品がずらりと並んでいます。

そんなガチシューティングメーカーであるNMKがリリースした作品の一つが「ラピッドヒーロー」。ゲーセンにおける一般的な浸透度はそれほど高くはない本作ではありますが、やや無難に落ち着いた雰囲気があるゲームに見えます。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その11

ラピッドヒーロー ゲーム画面その12

見た目的には、かなり平凡なシューティングのようにも見えます。落ち着いた雰囲気、無難なドット絵など、どこかしら80年代後半のシューティングの趣さえ見えてきます。しかし、リリースした年からすると、この作品は「遅れてきた」感がどうにも拭えないものでもあります。

本作のリリースは1994年。1994年といえば「レイフォース」「ダライアス外伝」「極上パロディウス」など、グラフィックもゲーム性も脂の乗り切った作品が多くリリースされている中で、本作が登場したことになります。

前年には、グラフィックや細かいエフェクトに定評のある「雷電II」も登場しており、これら良質グラフィックを前面に押し出した作品達と比べると、どうしても「ラピッドヒーロー」のグラフィックは貧相にも見えてしまいます。

見た目だけだと、本作は80年代にも出そうなシューティングにも見えます。この作品が、演出含むグラフィックの脂が乗り切った時期に出ているために、対照的に妙な古臭さが醸し出されているようにも見えてなりません。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その13

ラピッドヒーロー ゲーム画面その14

ちなみに、販売元のメディア商事といえば、「ガルフストーム」なる韓国メーカーのドーヤン製の作品を請け負ってゲーセンに広めたメーカーでもあります。

ややグラフィックが古臭く見えてしまうのは、ガルフストームと同じメーカーがリリースしている、という背景があってこそ、なのかもしれません。ただ、ゲーム性や音楽を見た感じでは、それよりは確実にクオリティが高めに出来ているため、国外製とは考えられなかったですが。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その15

ラピッドヒーロー ゲーム画面その16

しかし細かい演出周りは、グラフィックの性能を抜きに考えると、なかなか面白い仕掛けが施されています。派手目ではないものの、細かい動きでそれをカバーしようと、開発の努力も伺える出来です。

特筆すべきは、ステージの事ある毎に割り込んでくる赤くて巨大なライバル機。ちょうどライジングの「魔法大作戦」のバシネットに相当するライバルキャラになりますが、全ステージにかけて登場しており、出現回数の多さは半端ありません。

ステージ毎に、手を変え品を変え、攻撃方法を変えていくのが面白い点。持ってる武器もその都度変わっていて、刀を使ってたり、棍を使ったり。使う術も多く、分身の術や強化の術、さらに大型機に合体したりと、相当な芸達者ぶりが伺えます。


↓なんでもござれのライバル機

火炎旋風棍!


分身の術も使えます


↓変わった装備もお手のもの

モーションの格好いい扇子攻撃


デカいパーツとも合体できますよ

その他にも中型機や大型機は沢山登場するのですが、とりわけ、このライバル機のウェイトは相当高いもの。何しろ、全ステージのボスとして登場しているわけでもあり、ほとんどメインを張ってるも近いものになるでしょう。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その17

ラピッドヒーロー ゲーム画面その18

細かい仕草や動作、時折放たれるボイスなど、このキャラクターに相当な情熱を費やしたのではないかと思えるほどですね。ステージ中盤にあたる5面のラストでは、背景の影でマントを翻して登場したりと、やりたい放題。


↓こんなん見せられたら嫌でも忘れられんやろー

夕日の映る海をバックに・・・!


この演出のせいで、5面が最終面だと勘違いした人も多いはず?
なお、この背景はゲームオーバーの背景としても、そのまま使われていたり。


****************************

ラピッドヒーロー ゲーム画面その19

ラピッドヒーロー ゲーム画面その20

ゲームとしては、しっくりとまとまっている印象があります。開発NMKの代表作といえば、基本的には、空気を読まない高難易度ゲームが揃いに揃っている印象がありますが、この作品は比較的オーソドックスにまとまっている部類にあたります。

本作のベースとなっているゲームは「超時空要塞マクロス」。高難易度作品がずらりと揃う同社作品の中では、オーソドックスな造りに徹した作品で、NMK作品の括りでは難易度がさほど高くなく、むしろバランスが整っている部類。

「ラピッドヒーロー」には、マクロスに出てきた動きをする敵が多数居たり、3面の大型戦艦のような演出があったりと、いかにもNMKマクロスの趣を感じさせてくれます。マクロスの続編として出したかったのではないか、と思えるほどの造り。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その21

ラピッドヒーロー ゲーム画面その22

そして「超時空要塞マクロス」のゲーム性に加え、本作には彩京シューティング(もしくはソニックウイングス)にも影響されている節があります。

ボタンを叩くと、ショットがセミオートで一定量出るのが、いかにも彩京シューティングのそれ。考えてみれば、NMK作品の多くは手連射が必要なものが多いだけに、やりやすさを求めた結果、彩京作品の良い所を取り入れたことになるでしょうか。

時代的にも、手連射による負担の少ないゲームが多数リリースされていたために、その流れに沿っての造りを目指した、と言えるかもしれません。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その23

ラピッドヒーロー ゲーム画面その24

また、敵の攻撃も彩京作品らしさを彷彿させるものが多数含まれています。彩京シューティングの特徴といえば、決められた動きで速い弾を交わさせるスタイルになるのですが、本作のボスや中ボスなどに、それらの特性で交わさせようとする、いわゆる「彩京弾」を使ってくる敵が数多く存在しています。

NMK作品でも高速弾を使う事は多いのですが、大半は自機狙いをベースにしている感があり、どちらかといえば、彩京シューティングというよりは、過去の東亜シューティングを目指した造りが多い印象があります。それに比べると、ラピッドヒーローは決められた動きで弾を交わす、彩京作品の特性がかなり強く映ります。

しかしながら、単純に彩京弾を使っているわけでもなく、道中はかなりゆったりした弾が大量に飛んでくることもあって、彩京作品とちょっとした弾幕のミックスタイプといった具合になっています。弾幕の多さもそれなりにあり、独自のゲーム性を保っているのは好感が持てるところ。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その25

ラピッドヒーロー ゲーム画面その26

敵弾の撃たれ方にも特徴がありますが、それよりも本作は「撃ちまくり」の爽快感に重点を置いてる造りになっているのが良い所でしょう。避けばかりでなく、本作の撃ちまくりの爽快感は、かなり高いレベルであると言い切れます。

特に道中でのザコ戦の爽快感は異常なレベル。本作の敵編隊は、動きが非常に高速であり、さらに群れをなして物量で襲い掛かってくるのが特徴的なのですが、これらを一掃することが、半端なく気持ちいいという。ザコ敵の耐久力は無く、連射もそこまで要らずに撃ちまくれるため、破壊の爽快感は格別極まりありません。

さらに敵の動きの速度が相当速く、それに反動するかの如く、疾走感も非常に高いのです。スクロールは遅くても、速さを感じる本作ならではの疾走感は、本作ならではのものでしょう。まさに「ラピッド(速い)」の名に恥じないゲーム性。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その27

ラピッドヒーロー ゲーム画面その28

また、ボス戦のバランスも非常に整っていて、それなりの攻略性を有しています。彩京弾を多用しているため、多少の「覚え」は要しますが、ボンバーの数もそれなりに多いので、ちょっとした油断でミスしないように心掛ければ、全ステージクリアも見えてくることでしょう。

敵弾が多少観にくかったり、急に後ろから敵にどつかれるケースもあったりと、やや作り的に見て粗っぽいところはあるものの、その辺りに目をつぶってしまえば、間違いなくオススメできる作品。

何よりもザコ戦・ボス戦ともに、かっちりとしたバランスに整っているのが好印象。破壊の爽快感が尋常ではないほどに高く、単純に触るだけでも楽しくなれる作品です。シューティングとはかくあるべきという見本として広まるべきでありましょう。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その29

ラピッドヒーロー ゲーム画面その30


それはそうと、どうしても言っておきたいのが、本作のラスボス。
赤いライバル機の中身(?)だと思うのですが、その姿格好は突っ込まざるを得ないと思います。

百聞は一見に如かず、こんな感じ。



↓何か、どこかで見たことがあるような・・・?

どこかで見たような黒忍者


うつせみの術やら何やら


分身の術がそれらしいですね!!(他人事)


****************************

ラピッドヒーロー ゲーム画面その31

ラピッドヒーロー ゲーム画面その32

グラフィック面で遅れを取っている感のある作品なのですが、シューティングの中身は本格派と言っても過言ではない出来。NMK作品の中では非常にやりやすく、出来も水準以上のレベルになっています。

見た目がやや地味にも見えるせいか、知名度が全くもって振るわないのは残念なところではありますが、中身の良さで勝負していることもあり、本作はもっと評価されて然るべき、と思ったりするわけなのです。


ラピッドヒーロー ゲーム画面その33

ラピッドヒーロー ゲーム画面その34


なお、家庭用には全く移植されていません。
ゲーセンでも、出回った台数が非常に少ないということなので、今でもゲーセンで見られるかどうかは、極稀かと思われます。良作だけに、ちょっと勿体無いような。



<動画>

★ラピッドヒーロー ゲーム画面



テキストリンク

内部DIPでのイージー設定1周クリア。

程良い撃ちまくりと弾避け感が味わえるのが、動画でもわかってもらえれば。
音楽の良さも一貫して高く、これもまさにNMK作品の真骨頂。
| シューティング千夜一夜 | Comments(8) | Trackback(0) |

コメント

さながらNMK版キャラバンシューティング

2012年12月16日(日)12:32 GALLOP #- URL 編集
同年に出た『雷電DX』と童謡、オーソドックスでかなり良質な出来なので、ロングランヒットしてもおかしくなかったのですが、このゲームが出た頃には既に『NMK=変り種か高難易度』の印象が強かったせいか当時、地元では全く見かなかったです。
後年にレトロゲーセンを探索しに長岡へ行った時に初めてプレイして、ボスの細かい演出や爽快感に惚れ込みました。

思い出深い

2012年12月16日(日)22:21 誰でも同じ #- URL 編集
ラピッドヒーローは昔大学生をやっていた頃に、駅前の、ベニヤ板で壁が補強された怪しげなゲーセンにあったのを覚えています。
友人がバーチャだなんだと盛り上がっているのをよそに、一人やり込んだものです。
結局クリアできずに入れ替えられてしまいましたが、効果音が「いかにもアーケードゲーム」で、プレイすると「この風、この肌触りこそゲーセンよ」という気分にさせてくれます。

懐かしい

2012年12月16日(日)23:16 寿 #- URL 編集
俺が唯一ゲチでクリアしたSTGです
そこそこのやりこみでもサクサク進める難易度
ずっと同じボスで膨らむ妄想
出回り悪くてマイナーだけど大好きなゲームです

懐い

2012年12月17日(月)02:08 MASU #omuPFJPc URL 編集
これ、背景が好いんですよ!
もうそれくらいしか記憶に残ってませんけど

2012年12月17日(月)10:09 ブラックアウト #- URL 編集
ラスボスが服部半○蔵…

昔に2P側だと難易度下がる?らしいので女の子で1コインクリアしました。
難易度は低めだけど死んだら復活がきつかった記憶あります。

ちょっと勿体無い面もあったゲームでした

2013年01月02日(水)00:03 K-HEX #MItfUjoc URL 編集
>GALLOPさん
作品としては非常にオーソドックスで、よくできている作品なのですが、出回り面では非常に苦戦している感がありましたね。単純でロングランもしそうなゲーム性なだけに、勿体無い面も多少は見られる作品だったのが惜しまれます。


>誰でも同じさん
格闘ゲームでは、「バーチャファイター」が流行っていた時期でしたね。あの頃の対戦格闘は、グラフィックに脂が乗り切ってた時代でもあり、シューティングは地味に置かれがちではありましたが、それでも面白いゲームが多かったようにも思います。

グラフィック面では衰えのある「ラピッド」ですが、ゲーム性は太鼓判を押せるほどのバランスの良さで、シューティングを本気で好きな人にとってはたまらないゲームになったんじゃないかなー、と思われます。


>寿さん
ラピッドヒーローって、最初のステージは割と誰でも進めるようにできてるから、とっつき面でもプラスな面があるように思うんですよね。同じボスを使うにしても、見せ方一つで面白い趣向を凝らせるのは見事だと感じます。


>MASUさん
レビューには余り触れてないものの、背景の描き込みに関しても、シューティングメーカーならではの趣向が凝らされている部分がありますよね。序盤のビルやスペースコロニーの描き込みも細かく描かれてますし。


>ブラックアウトさん
2P使用だと多少難易度が下がるのは、なんとなく伝統っぽいところがありますね。このゲームに関しては気持ち下がる程度に感じますが・・・

復活が辛いのは、確かにそうですね。サブウェポンが全部まとめて装備できて、それが一斉に剥がされるとなると、後半不利なポイントが多いようにも思います。

2013年01月06日(日)17:20 JOKR #3/2tU3w2 URL 編集
●当時はすっかり格ゲがゲーセンを席捲していたかのような時期で、余計に出回り数の少ないアケSTGだったような印象があります。
●個人的には、数十軒の内ただ1軒にしかも非常に短期間だけしか無く、ほとんど「幻のゲーム」と呼ぶような印象を持っていました(笑)
●STGとしては、敵弾がけっこう多い(※)場面が頻繁にあり、弾よけSTGという感じでした。
(※:あくまで当時の尺度です)

●確かに当時としては古風なグラフィックでしたがSTGとしては楽しめました
(当時ヴイファイヴなど弾ヨケSTGに心酔していたので、そのせいでヒイキ目に見てしまうのかも知れませんが)

レア扱いになりますか

2013年01月09日(水)00:09 K-HEX #MItfUjoc URL 編集
>JOKRさん
知名度のレベルとしては、まさに「幻」と言うべきかもしれないです。当時でさえ、そこまで流通してるという訳でもなかったので。面白いゲームなのですが、いかんせん地味目に映ったのがマイナーさに拍車をかけたかと思うと、ちょっと残念に思います。

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