2000CPMラインの発見
0. 柏市・我孫子市の表面汚染測定の結果
より大きな地図で 柏付近の汚染検査 2011年7月30、31日 を表示
!マーク: >2000 CPM、 赤: 2000~1500 CPM、 橙:1000~1500 CPM、 青: <1000 CPM
1. イントロダクション<調査の動機>
私の調査は個人的なものであり、茨城という地域に住んでも大丈夫か検討するために行っている。よく測定していると聞かれるのが「ここ大丈夫ですか?危ないですか?」という質問だが、正直こちらが尋ねたいところである。大丈夫というにはこれまでの日本の研究ではデータもサンプル数も少なすぎる。たとえば年間20mSvの被ばく上限も、そもそも20mSvまで被ばくした人間がほとんどいない(しかも子供や幼児を含まない)。全体的な疫学的調査・汚染検査・核種分析などが行われ、十分なデータが整ってからそういうことを議論すべきなのに、世間の学者はなぜか「大丈夫」ありきで議論している。しかしこのような大規模な汚染が大丈夫かどうかわかるまでには本来かなりの年月が要されるはずだ。
今回私が行った調査は柏市を中心としているが、これは先の空間線量率の調査結果でこの一帯が高い数値を出しているためである。3号機のMOX燃料が再臨界(再溶融)し、炉内の圧力容器内の圧力が急上昇、3月21日午前1時45分におよそ12MPaの圧力が観測され(おそらく爆発)、それによって生じた放射能雲が午前3時30分に茨城県日立市にて観測された。まだ仮定でしかないが、このとき観測された放射能雲が風の軌道に乗って柏市・我孫子市上空に移動、そこに雨雲から降り注ぐ雨によって一気に落とされた、というのがこのブログで提唱された筋書きである(ササユリの咲く頃にでも公開)。
以前は汚染の状況を知るため文部科学省などが測定した空間線量率のデータをマップにしたが、そもそも空間線量率という測定値には「真の値」がなく、長時間まじめに測定したところでさほどの意味はない。小さな体積の簡易測定器に測定時間中たまたまCo-60のγ線が当たれば数値は大きく跳ね上がるだろうし、測定器のメーカーによって高めに出たり、低めに出たりする問題もある。そのため本来汚染の範囲を知るには、汚染源である地表を測定中心とすべきであり、その計数値はエネルギーに依らない数値とすべきである。地上1mでの空間線量率だけで判断することは、そこにセシウムがあるかどうかを知るのには有効だが、その他の核種(β核種や低エネルギーγ核種など)の有無を知る手掛かりにはならない。このような問題をGM管は一気に解決してくれる。GM管はCo-60(γ線1.33MeV,1.17MeV)だろうと低エネルギーだろうと計数管内に入ったものは等しくカウントできるし、地表1cmでの値には「真の値」が存在するからだ。
地表1cmのGM管による計測で「真の値」が存在する理由は以下の通りである。すなわち、地面(アスファルト)には先の調査によってセシウムが吸着しており、柏市内の空間線量率はその吸着しているセシウムから放出されたγ線によってもたらされている(柏市周辺の測定結果)。おそらく地面の放射線源はもうこれ以上動かないので(雨が降っても)、その上を歩いても手で触っても、セシウムが靴や手に付くことはないだろう。線源が動かないということはアスファルトにおける単位面積あたりのセシウム数が一定である、ということである。それは同時に単位面積あたりのカウント数も一定であることを意味する。私はここに着目し、柏周辺のより精密な汚染範囲とその濃度・核種を調べることにした。
道路のアスファルトに吸着したセシウムのポンチ絵
セシウムは吸着して動かないので単位面積あたりのカウントは一定となる
2. 測定方法の説明
放射線管理区域内では通常汚染検査にガイガー・ミュラーカウンター(GM管)を用いる。GM管の利点は電子なだれによるガス増幅であり、γ線もβ線も計数管内に入れば等しく1カウントとして数えられる(下図)。
参考:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-01-05-03
<CPM値と空間線量率の関係>
GM管の測定単位はCPM(Counts Per Minites)である。CPMとは一分間あたりのカウント数を意味する。簡単に言えば空間線量率μSv/hとはこのCPM値にエネルギー(MeV:メガ・エレクトロンボルト=メヴと発音)を乗じたものである。CPMをμSv/hに直すには測定する線種とエネルギーがわからなければならない。NaIシンチレーションカウンターであればγ線のみの測定なのでμSv/hに換算することが容易だが、GM管の場合はβ線も計数しており、換算は容易ではない。
一見してμSv/hの方が人体への影響を率直に考察できるため便利のように感じるが、実際のところ汚染の有無を判断するのに相応しいのはCPMを表示単位とするGM管の方である。なぜなら常にセシウムのような高エネルギーγ線ならばよいが、時にはウラン235のようなγ線0.186MeVも測定するからだ。エネルギーが低くても等しく計数できるので、GM管はどこでも汚染サーベイに使用されている。ともかくそこに「放射線を出す物質が散布している」ことを示す、それがGM管とCPM値による測定の目的である。
測定に用いたGM管 TGS-146B
<測定の注意点>
放射能雲は北東からやってきたと仮定して、北東に大きく開けた場所を測定場所として選んだ。街中では測定箇所が少ない(交通が多く、周りに建物が多い)ので、駐車場をフルに活用した。また測定対象はアスファルトに限定し、土壌データは参考データとして掲載した。アスファルトの材質はなるべく同じものとし、それは見た目で判断した。測定時間は基本的に計測器の針が落ち着いてから1分間待機とした。GM管には不感時間による「数え落とし」などの補正項目があるが、微小なため今回は測定値をそのまま用いた。また参考のため空間線量率をTA-100で行い、数値が特に高い場所についてはγ線スペクトロメトリーを行った。測定器の条件は下記の通りである。
測定器①
GM計数管 日立アロカ TGS-146B
時定数 τ=10s
計測時間 指針が安定してから1分間の値
地上1cmにて測定、地表の汚染度を計測する。
測定器②
半導体検出器 TechnoAP社 TA-100
検出素子:CdTe(カドミウム-テルル) 10×10×1mm
時定数 Autoモード(3s, 10s, 30s, 60sと自動的に切り替わる)
測定時間:値が落ち着いてから1分待機
地上50cm測定
事前に測定器が汚染されてないことを確かめるために線量率が低い水戸市周辺において測定を行った。地表アスファルト400cpm、空間線量率0.11~0.13μSv/h、室内においては地上1mにおいてGM管で100~150cpm、空間線量率は0.05~0.07μSv/hであった。この結果は測定器が汚染されておらず、正しい値を読み取れる状態であることを示している。
3. 結果と考察
我孫子から北柏、松ヶ崎にかけて計数値が高い地域が見つかった。以下これを2000CPMラインと呼ぶことにする。
(執筆中70%)
より大きな地図で 柏付近の汚染検査 2011年7月30、31日 を表示
!マーク: >2000 CPM、 赤: 2000~1500 CPM、 橙:1000~1500 CPM、 青: <1000 CPM
1. イントロダクション<調査の動機>
私の調査は個人的なものであり、茨城という地域に住んでも大丈夫か検討するために行っている。よく測定していると聞かれるのが「ここ大丈夫ですか?危ないですか?」という質問だが、正直こちらが尋ねたいところである。大丈夫というにはこれまでの日本の研究ではデータもサンプル数も少なすぎる。たとえば年間20mSvの被ばく上限も、そもそも20mSvまで被ばくした人間がほとんどいない(しかも子供や幼児を含まない)。全体的な疫学的調査・汚染検査・核種分析などが行われ、十分なデータが整ってからそういうことを議論すべきなのに、世間の学者はなぜか「大丈夫」ありきで議論している。しかしこのような大規模な汚染が大丈夫かどうかわかるまでには本来かなりの年月が要されるはずだ。
今回私が行った調査は柏市を中心としているが、これは先の空間線量率の調査結果でこの一帯が高い数値を出しているためである。3号機のMOX燃料が再臨界(再溶融)し、炉内の圧力容器内の圧力が急上昇、3月21日午前1時45分におよそ12MPaの圧力が観測され(おそらく爆発)、それによって生じた放射能雲が午前3時30分に茨城県日立市にて観測された。まだ仮定でしかないが、このとき観測された放射能雲が風の軌道に乗って柏市・我孫子市上空に移動、そこに雨雲から降り注ぐ雨によって一気に落とされた、というのがこのブログで提唱された筋書きである(ササユリの咲く頃にでも公開)。
以前は汚染の状況を知るため文部科学省などが測定した空間線量率のデータをマップにしたが、そもそも空間線量率という測定値には「真の値」がなく、長時間まじめに測定したところでさほどの意味はない。小さな体積の簡易測定器に測定時間中たまたまCo-60のγ線が当たれば数値は大きく跳ね上がるだろうし、測定器のメーカーによって高めに出たり、低めに出たりする問題もある。そのため本来汚染の範囲を知るには、汚染源である地表を測定中心とすべきであり、その計数値はエネルギーに依らない数値とすべきである。地上1mでの空間線量率だけで判断することは、そこにセシウムがあるかどうかを知るのには有効だが、その他の核種(β核種や低エネルギーγ核種など)の有無を知る手掛かりにはならない。このような問題をGM管は一気に解決してくれる。GM管はCo-60(γ線1.33MeV,1.17MeV)だろうと低エネルギーだろうと計数管内に入ったものは等しくカウントできるし、地表1cmでの値には「真の値」が存在するからだ。
地表1cmのGM管による計測で「真の値」が存在する理由は以下の通りである。すなわち、地面(アスファルト)には先の調査によってセシウムが吸着しており、柏市内の空間線量率はその吸着しているセシウムから放出されたγ線によってもたらされている(柏市周辺の測定結果)。おそらく地面の放射線源はもうこれ以上動かないので(雨が降っても)、その上を歩いても手で触っても、セシウムが靴や手に付くことはないだろう。線源が動かないということはアスファルトにおける単位面積あたりのセシウム数が一定である、ということである。それは同時に単位面積あたりのカウント数も一定であることを意味する。私はここに着目し、柏周辺のより精密な汚染範囲とその濃度・核種を調べることにした。
道路のアスファルトに吸着したセシウムのポンチ絵
セシウムは吸着して動かないので単位面積あたりのカウントは一定となる
2. 測定方法の説明
放射線管理区域内では通常汚染検査にガイガー・ミュラーカウンター(GM管)を用いる。GM管の利点は電子なだれによるガス増幅であり、γ線もβ線も計数管内に入れば等しく1カウントとして数えられる(下図)。
参考:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-01-05-03
<CPM値と空間線量率の関係>
GM管の測定単位はCPM(Counts Per Minites)である。CPMとは一分間あたりのカウント数を意味する。簡単に言えば空間線量率μSv/hとはこのCPM値にエネルギー(MeV:メガ・エレクトロンボルト=メヴと発音)を乗じたものである。CPMをμSv/hに直すには測定する線種とエネルギーがわからなければならない。NaIシンチレーションカウンターであればγ線のみの測定なのでμSv/hに換算することが容易だが、GM管の場合はβ線も計数しており、換算は容易ではない。
一見してμSv/hの方が人体への影響を率直に考察できるため便利のように感じるが、実際のところ汚染の有無を判断するのに相応しいのはCPMを表示単位とするGM管の方である。なぜなら常にセシウムのような高エネルギーγ線ならばよいが、時にはウラン235のようなγ線0.186MeVも測定するからだ。エネルギーが低くても等しく計数できるので、GM管はどこでも汚染サーベイに使用されている。ともかくそこに「放射線を出す物質が散布している」ことを示す、それがGM管とCPM値による測定の目的である。
測定に用いたGM管 TGS-146B
<測定の注意点>
放射能雲は北東からやってきたと仮定して、北東に大きく開けた場所を測定場所として選んだ。街中では測定箇所が少ない(交通が多く、周りに建物が多い)ので、駐車場をフルに活用した。また測定対象はアスファルトに限定し、土壌データは参考データとして掲載した。アスファルトの材質はなるべく同じものとし、それは見た目で判断した。測定時間は基本的に計測器の針が落ち着いてから1分間待機とした。GM管には不感時間による「数え落とし」などの補正項目があるが、微小なため今回は測定値をそのまま用いた。また参考のため空間線量率をTA-100で行い、数値が特に高い場所についてはγ線スペクトロメトリーを行った。測定器の条件は下記の通りである。
測定器①
GM計数管 日立アロカ TGS-146B
時定数 τ=10s
計測時間 指針が安定してから1分間の値
地上1cmにて測定、地表の汚染度を計測する。
測定器②
半導体検出器 TechnoAP社 TA-100
検出素子:CdTe(カドミウム-テルル) 10×10×1mm
時定数 Autoモード(3s, 10s, 30s, 60sと自動的に切り替わる)
測定時間:値が落ち着いてから1分待機
地上50cm測定
事前に測定器が汚染されてないことを確かめるために線量率が低い水戸市周辺において測定を行った。地表アスファルト400cpm、空間線量率0.11~0.13μSv/h、室内においては地上1mにおいてGM管で100~150cpm、空間線量率は0.05~0.07μSv/hであった。この結果は測定器が汚染されておらず、正しい値を読み取れる状態であることを示している。
3. 結果と考察
我孫子から北柏、松ヶ崎にかけて計数値が高い地域が見つかった。以下これを2000CPMラインと呼ぶことにする。
(執筆中70%)
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