(前回の続き) さて、経緯が長くなってしまった。 1回1回の読み切りとして面白い記事を期待して読まれている方は不満かもしれないが、 今は受験老人は、自分の頭を整理するためにこの経緯を書いている。 いわば、自分のための「受験老人日記」である。 それが第一の目的になるのは当然だと思う。他の方のブログは... 続きをみる
2024年12月のブログ記事
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(前回の続き) こうして、受験老人の医学部受験は終わった。 今回は、筆記試験ではほとんど準備はしていなかったとはいえ、 過去2回よりも、まずまず力は出せたと思った。 そして、面接を3回も受け、最後は学長と直接話をすることもできた。 学長も、受験老人の思いはある程度、受け止めてくれたと思う。 その意... 続きをみる
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(前回の続き) 「医師にはできるが、AIにできないことがあるか」という命題に対し、 その女性教官が言及したこと、 それは・・・・「終末医療」だった。 受験老人は、心の中で唸った。 確かにそうだ。 いくらAIが発達し、技術的にどんな名医も上回ろうとも、 もう、死にゆく患者に対しては、生身の人間ほど、... 続きをみる
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(前回の続き) 受験老人が、卒業後、医師としてどのようにやっていくかについて、話したこと それは、「オンライン診療、医療機関の連携、AI診断、治療ロボットの活用」だった。 それらを用いることで、どんなへっぽこ医者でも、一定レベルの医療を患者に与えられる。 しかも、患者を待たさずに・・・・そういう理... 続きをみる
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最終面接を行う部屋には、学長と、もう一人、女性の教官がいた。 このような1受験生の面接に、わざわざ学長が立ち会うというのは一般的か? しかし、大学側がそのような姿勢を見せてくれ、ありがたいと思った。 受験老人は、思っていることを大学にぶつけられる、よいチャンスと受け取った。 もう4年も経っているの... 続きをみる
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長い間、「よい医者、悪い医者」の話を書いていたため、 読者の皆さんはすっかり忘れてしまったのではないかと思う。 受験老人は、今から4年前、ある国立大学の医学部を受験していた。 ざっと経緯を振り返ると、 最初の年、合格者の最低点を5点超えていたものの、不合格。 次の年、全然出来が悪く、合格者最低点を... 続きをみる
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(前回の続き) このように治してもらえて、院長には感謝しかなかった。 本当に、日本一の医者だ。 院長は言った。 「手術してよかっただろう。 あんたの目を別のところから穴を開けて網膜を剥がし、もう一回貼りなおした。 熱海の医者はどう言ったか知らんが、 普通に剥がして重い液体を入れただけじゃ、網膜はび... 続きをみる
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(前回の続き) 眼帯を取ると、目の前に、どよんとした世界が広がった。 「見える・・・・」 その時の感動は、何事にも代えがたかった。 受験老人の一生のうちで、一番うれしかった瞬間は、何だったろうか。 試験で一番を取ったり、 発表がうまくいったり、 大学に合格したり、 といった瞬間は、もちろん嬉しかっ... 続きをみる
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(前回の続き) 「先生、網膜の皺が伸びてきています。」 受験老人は、その言葉の意味を探った。 その女性(後で、若い眼科医だと分かった)の声は、明らかに高揚していた。 「そうそう、あまり急に引っ張ったら破れる。つまんでいると、自然に伸びてくる。」 院長が応える。 「あっあっ、先生、どんどん伸びていま... 続きをみる
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(前回の続き) 手術当日。決戦の日だ。 といっても、戦うのは受験老人ではない。手術をするのはあくまで医者だ。 お昼近く、最後の診察を済ませた。 手術は毎日、夕方から始まるとのこと。受験老人はそのうちの1人にすぎない。 この時の診察のことはあまり覚えていないが、院長は、やはり持論を繰り返していた。 ... 続きをみる
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(前回の続き) 受験老人は憔悴しきった。 最後通牒を突き付けられたに等しかった。「失明宣告」。 受験老人は、清算するため、受付前で暗い気持ちで待っていた。 その時、看護師が、慌てたように、受験老人のところに息せき切ってやってきた。 「院長がお話があるそうですっ。」 看護師は受験老人を院長室にいざな... 続きをみる
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(前回の続き) 横浜の病院は、個人の眼科医院だったが、結構大きかった。 朝一番で病院に行ったが、待合室は人であふれかえっていた。 100人以上いた。 椅子に座れず、立っている者もいた。 受験老人が手術を受けた大学病院の方がシステマティックで、清潔な感じがした。 しかし、この病院の検査は念入りだった... 続きをみる
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(前回の続き) 「あなたは、左目だけでなく、右目も問題が起きています。」 上は目の断面である。 網膜上にあるへこみの部分を黄斑といい、そこに視細胞が集中している。 なので、黄斑が損なわれると視力ががくっと落ちる。きわめて大切な部分である。 医師は言った。 「あなたの場合、この黄斑の部分にそれを覆う... 続きをみる
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(前回の続き) 失明同然になっている目を抱え、大学病院から2通の紹介状をもらった受験老人。 もう1週間先には、受験老人がネットで探し出した横浜の病院に行くことになる。 だが、せっかくだから、もう1つ紹介状をもらった、熱海の病院にも行ってみよう。 そう考えて、熱海の病院に予約した。 予約日は奇しくも... 続きをみる