jukan's diary

 

世の中に食通って人たちがいるんだが、うまい物を知っているから食通だと思ってはいけないと思う。大体それなりの金を出せばそこそこうまい物は喰える訳で、一般的に食通＝そこそこの金持ちの道楽的食事みたいな奴が多いな

まぁ金はなくても色々苦労してあれやこれやと食べる人もいるけど、これは食事が趣味の人であって、これも食通とは認めたくはない。

では、食通とはどんな人かって言うと、死ぬほど同じものを食べ続けている人って思っている。「な～んだ、オレは死ぬほどインスタントラーメンを喰っているぞ」とツッコミを入れる人もいるだろうが聞いて欲しい。

毎日毎日同じものを食べ続けたらどうなるか？当然飽きてくるでしょ？しかしそれを食べ続けると、ある日そのものの違いってものが、だんだんと感じられるようになってくるんですね。その違いは上手く言葉では言えないんだが、感覚的に違いを感じることが出来るようになるんですね。例えば上記のインスタントラーメンであったとして、毎日毎日色々な醤油味のインスタントラーメンを食べ続けたとしましょうか。最初は自分の好みか好みじゃないかってレベルで食べていますが、ある時期を過ぎると、この味は○×社のなになにラーメンだって解るようになる。それでも食べ続けていると、同じ○×社のラーメンでもロットによって味が違うとか、メーカーが味を変えたりすると、たちどころに違いを感じられるようになっちゃう。ここまでその味に敏感になると、自分の好みも最初とはチョット違って明確な理由によって、これが旨いって言う様になります。

ここまで来れたひとが初めて、インスタントラーメンの食通になったとオレは思う。本当にその食材があるだけで飽き飽きしてしまうほど食べまくった人は、体が旨いと思うものしか受け付けなくなるんですね。そういう人が食べているインスタントラーメンは旨いインスタントラーメンと言って良いと思う。

だから意識して食通になるのは難しい事です。食通になる人の多くは自分がいつでも、その食材を食べられる環境になきゃいけないんです。カツオ漁師ならカツオの本当の旨さは何か知っているからカツオの食通だし キャベツ農家はキャベツの食通になるんですね。飽きるほど食い尽くした果ての世界なんです。

ところで、オレたちがたまたまカツオ漁師にその食い尽くした果てのカツオを食べさせて貰うと、「あれ、そんなに大した事ないよなぁ！」なんて感じる事がありますが、それは今までの自分の感覚を物差しにして感じていることだけだって事を忘れないで欲しい。オレは昔「なんだよ、これより絶体旨い食べ方があるはずだよ」と、ある食材をほぼ半年間2日と置かず食べ続けたことがあるが、結論は食通人に食べさせて貰った方法以上にならなかった経験がある。

こうなると、その食材は本当に飽き飽きしてしまい、暫くは食べたくないと思うのだが、証拠にもなくあの手この手で調理して新しい発見を追求してみたくなってくるのが不思議だ。特に最初に食べさせて貰った食通人と共に食べる時など評価は細部にわたり、他の人から見たら何が何だか理解できない世界の話になってしまう。

そんな食通人が「これなんかどう？」などと考えられないやり方で食材を調理し想像できない味に仕上がった時などは、「おつな味ですね～」と言う事になるのだが、この「おつな味」って言葉もその域に達した人じゃないと使っちゃダメな言葉だと思っている。

例外として、舌の感覚が生まれつき鋭い人がいる。音楽でいうところの絶対音感を持っている人みたいに、舌の感覚が人の数倍優れた人だ。こういう人は一度食べると果ての領域まで解っちゃうみたいだ。生まれ持った才能だから評価は出来ないが、実在することは事実だ。若くしてグランシェフになったりする天才料理人はこういう人なんじゃないかと思っている。とにかく彼らは一度食べた味を寸分の狂いもなく覚えて忘れない超人だから天才と呼ばれるのかもしれない。

そういった意味で、世の中に食通＆グルメと言われる人の多くは、一部を除いてただの食い道楽以外の何者でもないと思う。そういった食い道楽に限ってあれやこれやと蘊蓄を言いながら、そこのあれとか、あそこのこれとか解ったような事を言っているのだ。

本当の旨いものを食べたければ、上記のような食べ尽くしている人に食べさせて貰えばある程度の旨いものを食べることが出来ると思う。その時「あれっ？」と思ったら自分を疑った方がいい　まだその旨さを自分が知らないだけの事だからだ。時間をかけてその味の旨さの理由が理解できたら、あなたも食通の入り口に立てたと思っても良いと思う。

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