ひどい報道がありました。
米国・グアムの大学で実施された「解剖実習」に参加した日本人女医「K」が、あろうことか、解剖台上のご献体と共に自身の「ピースサイン」を記念撮影、SNSに投稿したというのです。
この事件を耳にして最初に思ったのは、「斎藤元彦兵庫県知事とソックリ」ということです。
実際調べてみると、いろいろ符合する事実が出てきました。
斎藤知事もこの女医も、典型的なロスジェネど真ん中。実はこのあたりの学年は私が大学で教えた最初の世代で、ほかの様々なケースも想起されるのです。
一方のK女医は 1979年の早生まれで45歳。独協医科大学に学んで2003年25歳で卒業、「アンチ・エイジングのカリスマ」を自称し、トライアスロンなどアスリートとしての活躍もメディアで披歴、ファンや顧客を集めているようです。
他方、斎藤知事は1977年生まれでK女医とは1学年違い、1浪ののち東京大学進学、一留ののち経済学部を卒業、2002年に総務省入省。
やってることは単なる公益通報つぶしでも「鋼のメンタル」などと、開き直り自体を意匠化、明らかに公選法違反の「二馬力選挙」、何でもありのSNS広報で集票し、あり得ない「再選」の結果を出している。
この両者、もっと言えばこの世代の多くの人材に共通する点として、「就職氷河期」ど真ん中を生きてきたことが挙げられます。
彼らの決して少なくない割合が、早々と何かの「諦念」に到達したような、割り切った行動をとっているように思うのです。
むろん、乱暴な世代論で総括するつもりはありません。斎藤知事の世代にも良心的な人は多数思い当たります。
しかし、例えば「道義的責任? 何のことだか分からない」などという古典的には政治家として、発言即終了を意味するセリフを吐けてしまう。
そういう神経は、上の世代の良識を持ったオジサンオバサンには絶対に分からない。
この「道義的責任 分からない」発言は9月半ばのことでした。
その時期に斎藤陣営は「ネット選挙」を着々と準備、明らかに真っ黒の「メルチュ」社との会合が9月末で時期が完全に一致しています。
正規の公職選挙ルールは数量規制が徹底しており、メガホンの数だって1人1本、厳密に定められています。
ところが、そんな公選法など知ったことではないとばかりに、やりたい放題。
なりふり構わぬ物量戦のネット選挙で票をかき集め、有力対立候補はネガティブ・キャンペーンで追い落とせば、ひょっとすると逃げ切れるかもしれない。
こういった「すえた本音」で、裏では舌を出している等身大の実存が透けている。
SNSでのインチキ選挙活動自体は「自分は知らない」「弁護士に一任」などと涼しい顔、「どうせだれでもやってることでしょ?」程度の退廃した意識が見えています。
「K女医」のケースはもっと最悪でした。
多くの良識ある公衆は「献体の前でピースサインの記念撮影」に及ぶという挙動があり得ない。ところがそれが分からない。
「モザイクですべての遺体を消し切らなくてすみません」など、素っ頓狂な「謝罪未満」で、炎上する火に油を注いでしまいました。
基本的に全く「悪いと思っていない」のです。ここが「斎藤知事とそっくり」と感じた最大のポイントでした。
こうした末期的状況を考えるとき、指摘しておく必要があると思うのが「若年有権者マインドコントロール」です。
人としての基本的倫理観がマヒしていても、営利なり集票なり、実利が確保できたらそれでいいじゃん、生き残るは大変なんだかから・・・といった倫理不在。
その証拠となるように、「K医師は医師免許を返納すべき」「斎藤元彦は即刻知事を退任べし」といった「その任に能わず」という厳しい指摘があり、当人サイドは蛙の面に小便といった風情、全くそれを感知できていない。
そんなちぐはぐな状況生まれている。抜本的な是正が必要と思います。