海外コメンタリー

2017年、デジタル戦略を成功に導くために--5つのヒント

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-01-05 06:30

 英国の慈善団体Scopeの最高デジタル責任者(CDO)Mark Foulsham氏は、障害者が平等に機会を持てるようにするという同団体の目的に、テクノロジが貢献できるようにする責任を負っている。Foulsham氏は、複数の企業でIT幹部職を歴任し、通販型保険会社esureのグループCIOを10年以上経験した後、2016年9月にScopeに参加した。「2014 European CIO of the Year Awards」の候補にも選出されている。

 「私は顧客に、Scopeは本当に顧客と真摯に向き合っていると感じてほしい」と同氏は述べている。「Scopeを、革新的な新しいアイデアを生み出し、そのアイデアを顧客の要求に適応させ、素早く提供できる組織にしたい。また、顧客が製品やサービスを利用することで、大きな恩恵を受けられるようにしたいと考えている」

 この記事では、Foulsham氏が掲げている、2017年にビジネスへの大きな影響をもたらす可能性のあるデジタル戦略を生み出すための、5つの原則を紹介する。

1.人に目を向ける

 CDOの仕事では、構想から実現に至るまで、常に顧客のエンゲージメントを第一に考える必要があるとFoulsham氏は述べている。同氏は他の上級役員に対して、製品やサービスを顧客と協力して設計することを勧めている。また製品が提供される段階になったら、CDOは顧客の反応を観察し続けなければならないという。

 「製品やサービスがどのように利用されるかを分析し、高度に反復的なプロセスを作るべきだ」と同氏は述べている。Foulsham氏は、CDOが製品ライフサイクルの各段階で顧客からの反応を調べるにあたっては、例えば設計段階ではテストグループを用い、リリース時にはオンラインフィードバックの仕組みを使うなど、さまざまな調査技法を利用すべきだと付け加えている。

 またCDOは、組織内の人々と、外部のパートナーの両方にしっかり目を向けねばならない。組織内では、人々に部署の中に閉じこもって仕事をさせるのではなく、強力なチームを構築し、事業をまたがるプロジェクト活動を促進することが重要だと述べている。また、外部のパートナーもそのプロセスに巻き込む必要がある。

 「デジタル変革の実現には、真に強力なパートナーの手助けが必要となる」と同氏は述べ、Foulsham氏と同氏のチームが、事業の変化を促進するための支援を受けるためにVirgin Mediaと結んでいる、100万ポンド規模の複数年パートナーシップに言及した。「Virgin Mediaは、われわれのデジタル的行動を増幅する手助けをしてくれている」

2.柔軟になる

 Foulsham氏によれば、デジタル化を成功させるには、単にビジネスの変革を促すための適切な技術を選ぶだけでは不十分だ。クラウドやアプリ、コラボレーションが重要であることは事実だが、CDOは自分や組織に、ビジネス要件の変化に応じてアプローチを修正できる機敏さを身につけさせる必要がある。

 「デジタル戦略を持つことは大事だ。しかし、戦略を作り終えた直後から、修正に備えるべきだ」と同氏は言う。「もし顧客から何かを変えるべきだと言われたら、柔軟に対応できる能力を持つ必要がある。多くの場合その能力は、組織内部のマインドセットや、CDOの周囲にいる人材のタイプと深く関係している」

 Foulsham氏は、デジタルビジネスを運営するには、創造性が不可欠だと述べている。「素早さとイノベーションは密接につながっている。デジタル的に最善のサービスを提供するためには、多くの人々や考え方をまとめ上げる必要がある」と同氏は言う。

 「異質なアイデアの融合が、直面するさまざまな課題に、色々なタイプの解決策を与えてくれるだろう。そこで求められているのは競争を有利に導く差別化要因であり、それは営利企業であっても、慈善団体であっても変わらない」(Foulsham氏)


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