コロンボ
コロンボ、すなわちフランク・コロンボは、イタリア系のロサンゼルス市警察(通称ロス市警)の殺人課刑事。階級は警部と周囲に言わせているが実際は警部補にすぎない(これは日本と米英の警察制度の違いに起因するもので、向こうでは警部にもなると署長レベルである)。同様に署長マクミランもコミッショナーで複数の署長を監督するサンフランシスコ市警本部長より偉い。反対に警部マクロードはニューヨークに研修に来たタオスの保安官補に過ぎない。第四の探偵ラムゼイは日本では知られていない(70年代半ばから詐欺師マッコイと野郎どもに交代)。「ロス警察のコロンボ」と自己紹介するが、Losはスペイン語のTheであり、LAと言わないとおかしい(UCLA=カリフォルニア大学ロサンゼルス校など)。
また、イタリア系だけあってイタリア語がペラペラと半ば自慢しているが、料理評論家ポール・ジェラード事件の捜査中しか話していない。また彼と同じイタリア系で、ワイン工場のエイドリアンや、途中から出てくるロッキーの義兄(ポーリー)にそっくりなマリオが現れる。なお「別れのワイン」でワイン貯蔵庫で殺された被害者は、中の人が役者を辞めて本当にワイナリーのオーナーになった。
一方、数多くの難事件を解決に導き、約3回ゴーストライターを殺す佐村河内守や世界的な映画監督 [1]や弁護士のオスカー・ワイルドを逮捕したことで世界中に名が知られるが、実態は職権乱用と違法捜査をゴリ押ししたものであるといわれている。犯人に目星をつけた瞬間から執拗につきまとい、尋問中に罠にはめて連行しようとするその捜査手法は、のちに古畑任三郎ら数多くの刑事たちに影響を与え、中には2時間ドラマの帝王をして有名な船越英一郎が自ら犯人役を買って出るくらい、神の如く信奉する者も現れるほど熱狂的な信者が多い。現在だと、ストーカー規正法に引っかかるレベルである。彼はサラリーマンみたいに「警察官は型どおりに人を疑う因果な商売」とグチをこぼし、また極度に妄想、虚言癖が多く、捜査のたびに「ウチのカミさんが」などと切り出し愛妻家ぶりを演出するもカミさんの姿を確認したものはいまだかつていない。
生い立ち[編集]
幼い頃から人を困らせることで悦びを感じる性癖があり、車のマフラーにイモを詰め込むなどの軽犯罪並な悪戯を日ごと行なっていたようである。
その後、転校先では、同じクラスの気になる女子に、消しゴムのカスをわざと当てて欲求を満たし、その嫌がる表情を数十年後も詳細に語るなど、相当に屈折した一面を持つ。幼い頃は極貧であったとされる。その際、母親が金策のため訳アリで外出し家事が出来ないこともあり、父親が手料理を作っていた。そのためか、現在でも主食はチリ・ビーンズとインスタントコーヒーである。
青年時代、朝鮮戦争に従軍したことを誇らしく語り、その影響で南北戦争などの戦史にも造詣が深いなどの教養を示すも、実際は炊事場の見張りをやっていただけで、いちども前線に赴いていなかった。M★A★S★Hの4人が聞いたら、うっかり手術中に大動脈を切断したくなりそうな話である。このように、青年期を迎えても彼の虚言癖が治ることはなかった。
1962年、ロス市警に配属。この年、警察官として最初の事件において、不倫がバレて妻を殺害した高名な精神科医犯人ロイ・フレミングを逮捕。これがなぜか社会現象となり、彼の活躍が舞台にまで上演されることとなる。よほど嬉しかったのか、彼はこの当時、捜査で着ていたトレンチコートを終生着用し、また有り金はたいて購入した自称・外車1959年式プジョーを数十年にわたって乗り続けるなど、周囲からは考えられない執着心をあらわにする。そのせいで、1959年式プジョーには異常なプレミア価格がついているほどである。
実績と捜査手法[編集]
1969年以降78年までのあいだ、コロンボがまだ若かった頃に対決した精神分析医からラスボスのアイルランド財閥まで延べ45件の殺人事件(傷害致死が1件[2]、過失致死が1件、殺人未遂が1件[3]、殺人失敗が1件、誤認殺人が1件、依頼殺人が1件[4]、過剰防衛が1件、犯行忘却[5]が1件、時効殺人が1件[6]、あるように見える)を解決。
だが、その内情といえば型破りなもので、連行中、あろうことか逮捕した犯人にアルコール(白ワイン)を振舞った挙げ句、自分も運転席で乾杯して飲んでおり完全な飲酒運転である。
おもえば、尻尾を出さない犯人とみるやシンクタンク所長マーシャル・ケイヒル教授の息子をわざと逮捕し、ケイヒルに無理やり自首を迫ったりする(意図的な誤認逮捕による自白なので違法であり裁判では有罪に出来ず、本事件は事実上(犯人と断定できる証拠を掴めなかった)コロンボの敗北である。第23話『愛情の計算』は日本で初回放送時でシリーズ最高視聴率を記録したにも係わらず、45作で唯一ノベライズ本が二見書房から出ていない)。
浮いているマクドナルド化学工場のドラ息子(45件中で最年少の犯人だが、中の人は43歳でコロンボと一つ年下なだけ。)で何にも専務をケーブルカーに誘い込み葉巻をダイナマイトに見立ててイジって遊んで脅す、ライザップで結果をコミットできない事に腹を立てトレーニングジム経営者へ感情を本気でムキ出しして気合いを入れる、地元を仕切るマフィアと協力して馬主を脅すなど、通常考えられない違法捜査を連発。これらの多くは、彼の勝手な単独行動によるものであり、しばし警察組織をも困惑させている。その点では、ホレイショ・ケインと習性が酷似している。また囮捜査を得意としホームレスやコスプレやマフィアに変装するなどして、その完璧さから誰からも刑事とは思われないほどの腕前を誇っていた。
だが、幼少期の性癖をそのままに勤務中であるにもかかわらず、以下のような特異な奇行や言動も多かった。
特異行動[編集]
- メモをとろうとペンを拝借してそのまま持ち帰ろうとする。
- 飲食店では食い逃げを画策し、不可能な時は警察署名義で領収証を切らせる。
- またあるときは、部下に支払いを任せてその場を逃げる。
- 出会う犯人・1人1人を尊敬し、それでも逮捕しなければいけない個人的な感情に苛まれる。
- 犯人と恋に落ちて、報告書へ嘘を記す個人的な感情など、ひたすらデートする。しかし仕事と割り切って逮捕し、それでも犯人の娘を釈放する温かみを見せた。
- 常に葉巻を持って現れ、所かまわずに火をつけて吸っては灰を捨てる。
- 勤務中に酒を飲む、酔って普通に呑んだくれる。
- 海兵隊でホリスター将軍とクルーザーへ乗っても酔ってしまい、コロンボだけに「コロンブスの子孫」とあだ名された。
- 犯人を真似して、ベランダから木へ飛び移ろうとして落ちた。
- 犯行現場には常に空腹で現れ、ついさっきまで殺人が行なわれたであろう凄惨な現場においても、殺害された被害者の食べ残しを見つけては味を堪能し興奮する。
- 無理やり重要参考人宅のテレビの修理を買って出るも却って破壊する。
- 凶器に使われた鉄棒で持参したゆで卵を割って興奮する。
- ギロチンに手や首を突っ込んで興奮もする。
- 扉を閉めた後、ほぼ100%の確率で「あと1つだけ!」と言うなど、聞き忘れたことを思い出す。
- 「あと1つだけ!」と言いながら、2つも3つも聞き出したりする。
- コロンボがやらない時に限り、犯人が引き止めて「あと1つだけ!」と言う場合もある。
- 周辺へ聞き込み質問すると、直後で現場にある物をイジり始め、世間話を始め、質問を忘れる。
- 賭けポーカーをする現場に有名人達へ会い、聞き込みどころじゃなかった。
- 事件を解決したいがためにずうずうしくも陸軍幼年学校へ入隊し、相部屋より広い部屋を借りて泊めてもらっているくせに文句を言う。
- 証拠を集めるために女子トイレへ潜入し、トイレを待つ女性達が長蛇の列を作ってしまう。また婦人警官へコスプレを着せて犯人を動揺させる変態ぶりを堂々と披露する。
- とあるブティックで、容疑者へ「女性用下着を後ろ前に着せた!」と恥をかかせ、ついでに自分もマネキンを使って下着を後ろ前に着せて喜び、女性客から顰蹙を買った。
- 「殺人課(の刑事)」と聞くだけで気絶をする婦人へ頻繁に近づき、気絶させまくって仏さんにしようとしていた。
- その婦人の娘を犯人でないと証明するために、証拠として押収している美術品を灰皿にして、一緒にタバコを吸う。
- 犯人から小銭を借りて電話し、犯人が司会するラジオ番組に横入りで出演する。そして小銭を返さないまま逮捕する。
- 犯人の家にある、また事務所や、とにかく電話があれば、私用だろうと公用だろうと、ずうずうしく電話をかける。
- また犯人が司会する料理番組を見学中に犯人から誘いを受け、マズい料理を作り一般公開した。
- 愛車のプジョーをメキシコでぶつけて、大きくカマを掘る事もあった。
- パトカーにもぶつけて、平謝りだけで示談を成立させる。
- パトカーがプジョーを取り囲み、ぶつけてカマを掘る。コロンボは首をケガしてムチウチになった。
- 狭い道で変態が運転する高級ベンツと合流してしまい、脱出しようとして最後にクラッシュしてしまう。
- マフィアに変装してイタリア風でしゃべくる一方で、大物マフィアに会うといきなり喋れなくなる事もある。
- 自分の所有する犬を捜査現場に連れてくる。しかも、名前がドッグ。
- 犯人宅からドーベルマン2匹を押収し、溺愛するあまり調教して一緒にジャレる。
このような形で職権を乱用したりして現場を荒らしたり、おおよそ警察官らしからぬ振る舞いが多いが、それでも、成功者を貶めるその捜査方法を絶賛する階級の人々の裏回しにより、彼が問題視されることはなかった。そして、この異常な捜査手法は、海外においても炸裂し、メキシコでは著名な地元の闘牛士を、ロンドンではビー球を傘に仕掛けて無理やり舞台俳優夫婦をムショ送りにした。またコロンボがファンだと言う理由で、記憶を失う病気を患い夫を殺している事すら忘れている女優グレース・ウィラーを助けるために、彼女とパートナーを組むネッド・ダイヤモンドを犯人でないながらもダチョウ倶楽部のように出てきて仕方なく彼を逮捕した…と言う武勇伝もある。
更には上院議員選挙に立候補した政治家やコロンボの上司のロス市警ハルプリン次長、陸軍幼年学校校長ラムフォード大佐、ルーサン警部[7]、射撃アメリカ代表の五輪メダリスト、某国のアメリカ総領事代理に母国の英雄である有名な将軍など目上の地位にある人物の逮捕に異常な執念を燃やす傾向が激しく、CIAやFBIやIRAや宗教法人『魂の十字軍』を巻き込むように時代が時代なら反体制的な人物として危険者リストに載ったとしてもおかしくはないレベルである。
こうした手法が災いし、コロンボを現場から遠ざけようとした、あるいは犯人たちが引っかからなくなった、などの影響からか1980年代に入ると全く事件を解決する事が出来なくなり、完全に出世コースからも脱落する。加えて、規則に違反し拳銃不携帯、射撃訓練をサボる、銃を撃つだけで耳を塞ぐくらいビビる、警部補なのに警部だと階級を詐称、政敵であるテオ・コジャック警部補を陥れようとニューヨークまで署の経費で行ったことがバレて停職処分になった、など噂が飛び交った。この直後、コジャックは警部に昇進しているが間もなく消息を絶った。
しかし、90年代以降になると突如カムバック。ただし、犯人の地位やレベルが格段に下がっている(遺体の金歯をがめる葬儀屋、セックスカウンセラー、エロ男性誌の編集者、遊び人のテニス選手、ノンポリ大学生、ドンファンの画家、コロンボより格下の警察医、保険の勧誘ならびに調査員、叔父の脛かじりギャンブラー等々)。甥の結婚式直後の初夜、花嫁の寝室をのぞこうとした際に、彼の先を越した変態に花嫁を誘拐されたことにマジ切れし挙句には職権乱用で射殺を命じるなど自己中ホットガイ的な一面も見せたほか、2003年の事件では、犯人が用を足したと思われるトイレの便器に手や顔を突っ込むなどしカラダを張った奇行もとい捜査で周囲を呆れさせた。なお、どう考えても定年退職だろうという大勢の識者からのツッコミを華麗にスルーしたことも忘れられない。
その後[編集]
2008年、彼は全てを忘れることによって、その長い警察人生に終止符を打つことになる。80過ぎの老人に何を求めればいいのやら。実際、奇声を上げながら町を徘徊する姿を多くの住民に目撃されているし、財産管理をめぐって、彼の家族がバトルを繰り広げている。そして、2011年6月23日に亡くなった。
むなしい話だ。
実生活[編集]
一見、愛妻家を演じ「ウチのカミさんがね」などと言っているが、実際は独身説も囁かれるほど実生活は謎に包まれており、カミさんの正体は誰も知らない。長年の相棒であったウィルソン刑事は、コロンボのヒミツを握ってしまったゆえ有名マジシャンのサンティーニを逮捕した直後から消息を絶った。また、不動産仲介業者ヴィヴィアン・ドミートリー事件の際には、カミさんを死んだことにして仮の葬式まで行うなど、あまり愛を感じさせない行為も目立つ。しかし、その結果、ヴィヴィアンをムショ送りできたので、もしかしたら彼にとっては、家族愛よりも逮捕のほうが精神的に上位に位置するのかもしれない。
一方で、カミさんなどおらず、全てコロンボの妄想上の人物であるとの噂もある。信用させるためわざわざカミさんと電話で「こっちは仕事だから、切るよ。しゃべっててもいいけど、切るよ。」などと話すパラノイアな自作自演を行なったが、電話の向こうの声は誰にも聞こえていないため、その疑惑を一層色濃くするものとなった。さらには、有名人に会った場合も「カミさんが喜ぶから」とサインをねだる口実に利用している。また、電話で話す相手はカミさんだけにとどまらず、義弟と称する人物とも話していることから、多重人格者の傾向もある。しかし、甥の存在だけは確認できている。
時折に親族や親戚の名前をしゃべくって、大家族・仲良しぶりをアピールする。弟は所ジョージらしい。兄・フランク当人が大女優ノーラ・チャンドラーの家でずうずうしくジョージと電話ごしに会話し、最後に彼女の声を聞かせるファンサービスを披露する。どうやら、まだこの兄は弟より優れているようか?
CIAオペレーターのネルソン・ブレナー氏は盗聴器をコロンボの家に仕掛けて、会話しているコロンボとカミさんの声を聞く事に成功している。しかし殺すつもりもなく怪我を負わせるだけで生かしている黒人メルヴィルから、足がついてムショ送りになった。これによって、カミさんを顔まで未だに確認できていない。
豪華客船でカミさんと旅行した際も、コロンボとカミさんが一緒に歩いているのを見たものはいない。船長が見かけたコロンボのカミさんの姿というのは、実は変装が得意なコロンボがわざわざ女装して歩いた姿であるという噂もある。そして、誰が何と言おうとも、ミセス・コロンボなんてものは存在しない。