ルクセンブルクのジャン=クロード・ユンカー総理大臣(左)と楽天の三木谷社長(右)
ルクセンブルクのジャン=クロード・ユンカー総理大臣(左)と楽天の三木谷社長(右)
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 楽天は2008年2月7日、欧州の中核拠点となる「楽天ヨーロッパ」を、2008年3月末までにルクセンブルクに設立すると発表した。2~3年以内に、イギリスやフランスなど数カ国において、ショッピングサイト事業を開始する。三木谷浩史社長は「最終的には日本と同じだけのマーケットシェアを取る。日本の数倍の流通総額を実現したい」と意気込みを語った。

 同社は2007年11月に台湾への進出を発表しており、欧州は第2弾となる。欧州を選んだ理由は「欧州にはさまざまな文化があり、楽天に向いている。また多くの中小企業が経済を支えていることも楽天と似ている」(三木谷氏)ためだという。欧州では電子商取引も急速に成長しており、日本の約4倍の市場規模になっているという。

 まずは現地で出店店舗と会員を募り、事業を展開する。将来的には、日本や台湾などから欧州の店舗の商品を購入したり、逆に欧州から日本や台湾の商品を購入したり、といった相互の流通も計画しているという。

 欧州進出に当たり拠点の開設場所をさまざまに検討したが、欧州の中心部に位置するため物流に有利であること、国民の多くが多言語を操るなど教育水準が高いことなどからルクセンブルクを選択したという。ルクセンブルクのジャン=クロード・ユンカー総理大臣は「我が国は欧州の中心にあり、多くの企業が欧州の玄関口と考えてくれている」と説明。またルクセンブルクで働く人の40%が外国のパスポートを所持していることなど多国籍であることを強調し、楽天の進出も歓迎すると話した。

 楽天ヨーロッパの資本金は1億円。現地企業などとの提携はせず、楽天が単独で進出する。「日本で培ったノウハウをいかに現地化するかが今後のポイント」(三木谷氏)としており、中小企業に向けた出店のコンサルティングに代表される楽天の強みを現地でどう生かすかが注目される。