Googleは今週末,「Google Web Toolkit(GWT)1.5」の製品候補版をリリースする予定だ。同ソフトウェアは,高度なウェブベースソフトウェアの記述を容易にすることを目的としている。
GoogleのGWT担当エンジニアリングマネージャーBruce Johnson氏によると,GWT 1.5は,Sun Microsystemsが2006年にリリースしたプログラミング言語Java 5のサポートを含んでおり,複雑なウェブアプリケーションにおいて約1.2?2倍の速度で動作するソフトウェアの開発が可能だという。
GWTは,ウェブをより高度なソフトウェア環境にしたいというGoogleの考えをさらに押し進めるものとなる。Googleは米国時間5月28日および29日,サンフランシスコでGoogle I/Oカンファレンスを開催するが,そこでもこの考えが示されることとなる。Johnson氏は,ウェブはすでに,ソフトウェアの基盤としての能力でパーソナルコンピュータに「かなり近づいている」と考えている。
Johnson氏は,「われわれがこれまで見てきた限り,今後ブラウザとデスクトップアプリのどちらをターゲットにするかについては,もはや疑問の余地はない。ほぼすべての新しく刺激的なアプリケーションについて,ブラウザをターゲットにすることになる」と述べ,さらに次のように続けた。「一部のウェブアプリケーションについては,すでに機能性でデスクトップアプリを上回っている。ただ,ビデオ編集といった極めて低遅延のアプリケーションについては,あと2?3年かかるだろう」
Googleは,人々をデスクトップからウェブに移行させようとしている。その狙いは,同社の主な収入源であるインターネット検索を促進することにより,間接的に利益を得ることにある。また同社は,企業が表計算やカレンダーといったGoogle Appsを利用する場合に徴収する利用料など,直接利益は入るが,はるかに小規模のビジネスも手に入れた。また同社は,Google I/Oカンファレンスで,Google App Engineサービスのヘビーユーザー向け料金を発表する。Google App Engineは,ウェブアプリケーションをホスティングするためのサービスだ。
App Engineは4月に発表され,現在のユーザー数はおよそ6万人に上る。Googleによると,利用は無料だが,ストレージ容量は500Mバイト,毎月およそ500万ページビューという条件付きだという。Googleは28日,App Engineに既にサインアップした15万人に加え,同サービスの利用を希望するすべての人々に公開する。
さらにGoogleは,プロセッサコアワーク1時間当たり10?12セント,毎月ストレージ1Gバイト当たり15?18セント,データ送信1Gバイト当たり11?13セント,データ受信1Gバイト当たり9?11セントを徴収する。App EngineとAmazonが提供する競合サービスの大まかな料金体系はほぼ同じだ。
単調な仕事をこなすGWT
GWTを利用する場合でも,プログラマーはJavaでコードを書けるが,GWTはそのコードをウェブブラウザに組み込まれているJavaScriptに変換する。ブラウザによってJavaScriptの扱い方は異なるが,GWTの1つの利点は,各ブラウザのJavaScriptの扱い方が大きく異なっていても対応可能である点だ,とGoogleは主張する。
Johnson氏は,「すべてのJavaScript標準が,異なる方法で解釈されるわけではない」とし,「実は,そこが落とし穴だ」と付け加えた。
GWTは,最近のブラウザの大半をサポートしている。例えば,Internet Explorer,Firefox,Safari(およびiPhoneやGoogle Androidなどに搭載されているそのほかのWebKitベースのブラウザ),Operaといった主要ブラウザの最新版もサポートしている。
SunはJavaの現行版「Java 6」でより多くの変更を行ったが,すでにJava 5で言語に関するいくつかの変更が行われた。その例としては,generics,enumerated types,annotations,enhanced for/loop syntax,autoboxingなどだ。
これらの新機能がサポートされたことで,GWTと他のJavaプログラミング環境との差が縮小した。それにより,プログラマーがミスを犯す機会が減り,GWTもより高速はJavaScriptを生成しやすくなる,とJohnson氏は語る。
GWTは,EclipseプロジェクトのJDTを利用して,人々が作ったJavaコードを理解する。その上で,Googleが設計したコンポーネントで,それをJavaScriptに変換する,とJohnson氏は説明する。
GWTはオープンソースソフトウェアであるため,「(外部から)膨大な数のパッチが寄せられる」という。たとえば,現行リリースには,アラビア語のように右から左に記述する言語のサポートが含まれているが,それもその1つだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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