■「自治体サイト・ユーザビリティ調査2007/2008」(日経BPコンサルティング)の結果が発表された。調査結果から算出したランキングでは、第1位が浜松市、第2位が栗原市、第3位は新潟県となった。総合スコアの平均点は51.38。前回からの伸びは2ポイント強にとどまった。本稿末尾では、地域別のTOP10自治体も併せて初公開する。自治体のWebサイト改善の参考にしていただければ幸いである。(大友直子=日経BPコンサルティングWebコンサルティング部コンサルタント)
結果発表 自治体サイトユーザビリティ調査 |
2年ぶりの実施となる「自治体サイト・ユーザビリティ調査2007/2008」、の結果が9月末にまとまった。TOP3は静岡県浜松市(89点)、宮城県栗原市(87点)、新潟県(82点)。前回のTOP15の自治体のうち、今回もTOP15に入ったのは名古屋市と仙台市のみだった(表1・表2)。
前回TOP15の自治体を見てみると、10団体の総合スコアが前回より15ポイント以上下がっていた。スコアが低下した理由は様々だが、全般的な傾向としては、トップページからリンクが張られた新しいコンテンツ(特にオンライン申請や地域ポータルなど独立性の強いもの)について、ユーザビリティ対策上の不備が目立っていた。新しいコンテンツや機能を追加していくなかで、使いやすさを維持していく難しさがうかがえる。
表1●総合TOP15 |
表2●《参考》前回の総合TOP15 |
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自治体サイトのプライバシー/セキュリティへの意識はまだ低い
調査は全国261自治体のWebサイトを対象とし、5カテゴリー59項目(細目まで含めると69項目)について2007年5月下旬~7月下旬に実施した。カテゴリーごとに10点満点で集計し、「総合スコア」はこれらの5カテゴリーに重み付けをして合計100点満点に換算している。審査対象ページは、原則としてトップページおよびトップページから定常的にリンクがあるページ。調査項目の5カテゴリーは以下の通り(さらに詳しくは、日経BPコンサルティングのサイトに掲載している調査概要を参照のこと)。
- ・トップページ・ユーザービリティ
- トップページは使いやすいか(サイトで提供している情報や機能の提示)
- ・サイト・ユーザビリティ
- 目的のページへ移動しやすいか(ナビゲーションの統一と現在位置の提示、リンクの分かりやすさ など)
- ・アクセシビリティ
- 視覚障害者をはじめ、閲覧環境にかかわらず誰でも使えるか(画像の代替情報提示など音声ブラウ ザへの対応)
- ・インタラクティブ
- フィードバック窓口など双方向性があるか
- ・プライバシーとセキュリティ
- サイト運営における個人情報保護への配慮があるか
総合スコアの平均点(表3)を見てみると、前回の総合スコアの平均が49.16(100点満点)だったのに対し、今回は51.38。伸びは2ポイント強にとどまった。この2年で、自治体サイトのユーザビリティに大きな進歩は見られなかった。5カテゴリーの中では、「インタラクティブ」と「プライバシーとセキュリティ」の平均スコアは上昇している。ただし、「プライバシーとセキュリティ」の平均点は10点満点で4点未満にとどまっており、まだまだ利用者から見て満足のいくレベルに達していない。記載場所が極めて探しにくいケースも含め、実質的にプライバシーポリシーを明示していない自治体は38%にのぼる。憂慮すべき結果と言わざるを得ない。
「アクセシビリティ」に関しては、音声読み上げや文字拡大などのアクセシビリティ補助ツールのページに不備があるケースが目についた(他のページとのナビゲーションの不統一や、title要素の表記の不統一などが少なからず見受けられた)。アクセシビリティ向上のために用意したページで、ユーザビリティやアクセシビリティに問題があるようでは本末転倒であろう。
■表3 評価軸ごとの平均ポイント
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