きのうは今や「黒田ウォッチャー」として名高い早川英男氏(元日銀理事)と話した。いま日経新聞などは「ヘリコプターマネー」で騒いでいるが、バラマキ財政を日銀がファイナンスするという意味のヘリマネはすでに始まっており、今さら騒ぐことではない。ただそれがフリーランチだというのは誤解で、金利が上昇すると莫大な損失が日銀に発生する。

金利上昇やインフレが今すぐ来るという情勢ではないが、2020年代になると財政的な要因で金利が上がるおそれが強い。特に団塊の世代が後期高齢者になる2025年ごろ医療費は4倍になると予想され、国債発行額が激増する。他方で日銀の財政ファイナンスは限界に来ており、長期金利の上昇は避けられない。

ところが安倍首相は「日銀がいくらでも国債を買うから財源は心配ない」と思い始め、増税を延期した上に大型補正という話まで出てきた。これは財政ファイナンスの最大の副作用である財政規律のゆるみが出てきたものと思われる。このままでは戦前の高橋是清のような悲劇をまねきかねないので撤退が必要だが、これはきわめて困難だ。

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