こんなことしてる場合じゃないんだけど、高橋洋一氏のデータ改竄があまりにもおもしろいので、原データと比較してみた。まず、これが彼の図。見事にマネタリーベースでBEI(ブレークイーブン・インフレ率)が決まっているようにみえるが、なぜか2010年1月からのデータだけを切り取り、何の根拠もなく6ヶ月前のマネタリーベースとの相関を取っている。
こういう小細工をやめて、2004年に物価連動国債が発行され始めてからの時系列データを見ると、ほとんど相関がない。2006年以降、マネタリーベースが大きく減った時期に、BEIはほとんど変化していない。逆に2008年にリーマンショックでマネタリーベースを増やした時期にBEIは大きく下がった。
マネタリーベース残高(左軸・億円)とBEI(右軸・%)出所:日銀・日本相互証券
青い部分が高橋氏の切り取った時期だが、日銀が震災のあとマネタリーベースを大きく増やした時期にもBEIは反応しなかった。BEIが上がったのは2011年末からで、これは消費税の増税が閣議決定された時期だ。翌年2月の「バレンタイン・ショック」にも反応して上がった。安倍首相がリフレを言い始めた昨年秋からまた上がり始めたが、今年5月後半からはマネタリーベースが激増したのに、BEIは(ほぼ株価と連動して)下がった。
要するに物価連動国債は残高が10兆円しかない小さな市場だから、相場心理で動いているだけで、マネタリーベースとは何の関係もなく、経済全体の予想インフレ率の指標にもならないのだ。それをこんな幼稚なトリックで捏造しないと、彼の嘘はもう辻褄が合わなくなったのだろう。
マネタリーベース残高(左軸・億円)とBEI(右軸・%)出所:日銀・日本相互証券
青い部分が高橋氏の切り取った時期だが、日銀が震災のあとマネタリーベースを大きく増やした時期にもBEIは反応しなかった。BEIが上がったのは2011年末からで、これは消費税の増税が閣議決定された時期だ。翌年2月の「バレンタイン・ショック」にも反応して上がった。安倍首相がリフレを言い始めた昨年秋からまた上がり始めたが、今年5月後半からはマネタリーベースが激増したのに、BEIは(ほぼ株価と連動して)下がった。
要するに物価連動国債は残高が10兆円しかない小さな市場だから、相場心理で動いているだけで、マネタリーベースとは何の関係もなく、経済全体の予想インフレ率の指標にもならないのだ。それをこんな幼稚なトリックで捏造しないと、彼の嘘はもう辻褄が合わなくなったのだろう。