茂木健一郎氏の新卒採用についてのツイートが話題になっているが、経営者に「新卒一括採用はよくない」などと説教したって始まらない。それは日本的雇用慣行の中核にある
年功序列システムの一環であり、人事システム全体を変えないで新卒一括採用だけをやめることはできない。それより問題は、なぜ大卒労働者の超過供給がここまでひどくなったのかということだ。
本書も指摘するように、その最大の原因は大学の定員を増やしすぎたことにある。1985年に26.5%だった大学進学率は2009年には50.2%になり、学生数は184万人から284万人に増えた。90年代前半までは「団塊ジュニア」が増えたので大学の定員を増やしたのはやむをえないが、学齢人口の減った90年代後半以降も文科省は大学の認可を増やした。
それによって定員割れが起こると、「AO入試」や「推薦入学」などの名で実質的に大学入試をなくした。そのためAO・推薦で入る学生が50.8%にのぼり、早大の政経学部でさえ一般入試を受けた学生はわずか40%という
学歴のインフレが進んだ。
その結果、企業の人事担当者も、国立大学と一流私大以外は学歴をみて採用しなくなった。私大の半分以上は入試を受けていない「水増し」学生なのだから、偏差値がもはや学力のシグナルにならないのだ。
現在の若年労働者の悲惨な状態のかなりの原因は、このように労働市場や大学の実態を無視して大学の増設を進めた教育行政にある。もちろん、いまだに年功序列にこだわって中高年の過剰雇用を守り続ける企業にも問題があるが、雇用慣行を変えることは簡単ではない。それに対して大学生の供給過剰は文科省がコントロールできるのだから、早急に対策をとるべきだ。
トラックバック一覧
-
- [雑談の達人]
- 2010年08月07日 16:40
- 企業の新卒一括採用に批判が浴びせられている。だが断言しよう。新卒一括採用は企業にとって最高の制度である。すべての日本企業が新卒をこよなく愛するのは、何の経験もない真っさらで、馬鹿でウブな新卒ほど便利な人材はないからだ。
-
- [同志の妄想放送局]
- 2010年08月07日 17:33
- 池田信夫 blog : 大卒はなぜ職にあぶれるのか - ライブドアブログ そもそも大学進学率は、高度経済成長期も伸びが大きかった*1わけなんだが、それが問題にならなかったのは、社会がそれだけ大卒者を吸収できていたからであって、当時の大学生の質が高かったからではなかろう
-
- [だわもん]
- 2010年08月08日 09:32
- 池田信夫氏のblogで知ったが, 茂木健一郎氏の日本の就職についてのtwitte...
-
- [中国遺跡巡り]
- 2010年08月08日 10:31
- 池田先生の就職難に関する記事を読みました。 http://ikedanobuo.
-
- [「コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねーだろ(笑)」社長のブログ]
- 2010年08月09日 14:56
- 発端はこのニュース。
大卒2割、就職も進学もせず…10万人突破
これに関しての茂木健一郎さんのつぶやきを引用。
就職(1)大卒2割、就職も進学もせずという今朝のニュース (http://bit.ly/9IP2QS ) に思うところあり、日本の就職について連続ツイートしま...
-
- [みんなの知]
- 2010年08月10日 22:01
- ビジネス社会がますますグローバルになる傾向がある中で、最近の新卒者の就職がますます困難になってきています。
前回の投稿でも引用しま??.
-
- [役立つブログまとめ(ブログ意見集)(投稿募集中)by Good↑or Bad↓]
- 2010年08月11日 07:17
- 「高校、大学などの新卒者の就職を支援」に関するブロガーの意見で、みんなの参考になりそうなブログ記事を集めています。自薦による投稿も受け付けているので、オリジナルな意見のブログ記事があったら、どしどし投稿してください。
-
- [海の研究者]
- 2010年08月30日 07:17
- manta33blog忙しいのがちょっと一段落。ブログもツイッターもほうったらかしで、ごめん。また再開するよ??08/28 10:09 manta33blog大学が多いと。そりゃ就職難になるわな。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/418308/28 16:26 manta33blogこちらもにたような論調。で...
');
label.html('\
ライブドアブログでは広告のパーソナライズや効果測定のためクッキー(cookie)を使用しています。
\
このバナーを閉じるか閲覧を継続することでクッキーの使用を承認いただいたものとさせていただきます。
\
また、お客様は当社パートナー企業における所定の手続きにより、クッキーの使用を管理することもできます。
\
詳細はライブドア利用規約をご確認ください。\
');
banner.append(label);
var closeButton = $('