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早期リタイア計算機FIRECalcの使い方(2):独身中年成為さん

アメリカ発早期リタイアweb計算機FIRECalcの使い方について、前回までは基本的な使い方を見て来ましたが、今回は具体的な実例を使って、モンテカルロ・シミュレーションをやってみたいと思います。

これまでの関連記事:
>早期リタイアに特化したWeb計算機~FIRECalc~
>早期リタイア計算機FIRECalcの使い方(1)
>FIRECalcホームページ(英語)


登場するは、いつもおなじみ成為さん(40・仮名)です。
基本的なデータは、これまで使ってきたものを使います。

FIRECalcシミュレーションの前提


・独身中年男
・現在40歳で、45歳にリタイアしたい。
・現在の資金は3000万円
・手取りの年収は600万円
・年間支出は300万円だが、リタイア後は205万円の予定。
・ポートフォリオは現在は6%程度のリターンを狙っているが、リタイア後は日本債券の割合を増やしてリスクを減らす予定。現在の想定はこんな感じ。
   -日本債券 40%
   -日本株式 10%
   -先進国債券 10%
   -先進国株式 30%
   -新興国株式 10%
 →投資信託ガイド ファンドの海のアセットアロケーション分析によれば、
  期待リターン 3.36% ※信託報酬は0.3%
  リスク 10.05%


・インフレ率は2%想定ですが、消費税分の調整を考えて、年率3%とする。
・45歳で退職する場合、税引き後800万円の退職金がもらえる予定。しかし、退職年とその翌年で合計200万円支出が増える予定。
・リタイア後はバイトで年間60万円を60歳まで貰う予定。
・年金は、支給開始年齢は70歳にまで引き揚げられる。年間100万円。
・60歳のときに401kを一時払いで引き出す。金額は300万円。
・90歳まで生きていたい。


FIRECalcへの入力方法


上記の情報を、FIRECalcでどのように反映できるでしょうか。

まずは初期画面のStart Hereで、
・Spending 20500
・Portfolio 300000
・Years 50(90-40)
と入力して、Submitを押すと、計算結果が出ます。が、それは無視しておいて、次のタブに。

Other Income / Spendingでは、年金について入力します。
・Your Social Security:10000,Starting from →2043
 (現在から30年後(70-40))

Not Retired?では、リタイアまでに増やせる資金額を入力します。
・What year will you retire? → 2018(5年後)
・How much will you add to your portfolio until then, per year? → 30000(600万-300万)(年額)

Spending Modelでは、インフレ率について入力します。
デフォルトがCPIにマークされていて、その右のボックスに3.0という数字が入っているので、ボックスのチェックボックスにマークを変えます。

Your Portfolioでは、ポートフォリオについて入力します。
ある意味、ここがこのシミュレーションのキモと言っても良いと思います。一番下のチェックボックスにチェックを入れて、
・a mean total portfolio return of 3.36%
・variability (standard deviation) of 10.05%
・Assume an inflation rate of 3.00%
とします。

Portfolio changesでは、一時所得・損失を入れます。
・Add 60000 in 2018 (退職金800万-支出200万円)
・Add 30000 in 2033 (401k300万)
・Add 90000 in 2033 (45-60歳のバイト60万×15年、入力する欄がないので最後の年に全額もらったとする)

長くなって来ましたが、これで出来る範囲の前提条件を入力しました。


FIRECalcの出した結果


最後の入力を終えてSubmitボタンを押すと、最初からできていたFIRECalc計算結果ページに、モンテカルロ・シミュレーションを行った結果が反映されます。

今回の中年独身妄想男・成為さんのシミュレーション結果はこう出ました。

・シミュレーション期間は、5年間のリタイア前の期間と45年のリタイア期間で50年間
・50年の期間について201回のシミュレーションを行った結果、リタイア期間を終えた後の資産額は、$-319,954から$629,075の範囲内になり、平均は$10,311。
・117回の試算において資産額が50年を経過する前にマイナスになり、このリタイアの成功率は41.8%である。
line-graph.jpg


FIRECalcシミュレーション結果の総評


少し苦しい解釈になったところがあります(バイト収入など)が、概ねうまい具合にシミュレーションできたのではないでしょうか。

成功確率41.8%は、人によって見方が違うと思いますが、私はこれではリタイアできません。100%でなくても良いですが、80-90%は欲しいところです。

通常シナリオでこうなので、インフレ率や資産額などでストレスをかけたら目も当てられませんね。また、今回はリターンの3.36%から税金を引いていませんが、本来なら税金分約20%を引いて計算すべきでしょう。

FIRECalcシミュレーションでは、私の公開しているハッピーリタイア計算ツールのような線形のシミュレーションではなく、資産運用についてランダムな要素を用いたランダム・シミュレーション(モンテカルロ・シミュレーション)を行い、リタイア生活で資産が尽きないかどうかを確率で計算してくれます。
 ※モンテカルロ・シミュレーションとは→Wikipedia(モンテカルロ法)

ハッピーリタイア計算ツールでは、偶然の要素はなく、長期的に見れば資産はこう成長していくであろうという前提のもとの計算であり、実際とはかなり異なった状況でのシミュレーションです。FIRECalcでのモンテカルロ・シミュレーションは、偶然の要素も取り入れて、リタイア生活を行ったら、かなり高い確率でだいたいこのくらいの幅に収まりますよ、という範囲を示してくれるものです。解りやすく「成功率」を強調しましたが、より重要なのは、50年のリタイア生活を終えたときには、資産額が-3200万円から6300万円の間にだいたい収まるであろうということを示してくれることです。これ以外の範囲に行く確率はかなり低い。

リタイアの試算をするときには、英語で少しハードルが高いかもしれませんが、有用なツールですので1度試してみることをお薦めします。ジャパネット成為からのお願いです。わたしのことを嫌いになっても、FIRECalcのことは嫌いにならないでください。

※なお、管理人もモンテカルロ・シミュレーションや確率論についてはよく解っていません
※今回の分析は、管理人の実際とは条件が違いますよ、念のため。

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