20240519【読書】デカルト (1997) 方法序説. 谷川多佳子(訳). 岩波文庫.
BOOKOFF購入。研究室所蔵。
- (pp.21)またわたしは次のことも思い描いてみた。半ば未開だったむかし、わずかずつ文明化してきて、犯罪や紛争が起こるたびにただ不都合に迫られて法律をつくってきた民族は、集まった最初から、だれか一人の賢明な立法者の定めた基本法を守ってきた民族ほどには、うまく統治されないだろう、と。
- (pp.28)論理学を構成しているおびただしい規則の代わりに、一度たりともそれから外れまいという堅い不変の決心をするなら、次の四つの規則で十分だと信じた。第一は、わたしが明証的に真であると認めるのでなければ、どんなことも真として受け入れないことだった。、、、第二は、、、必要なだけの小部分に分割すること。第三に、私のしこを順序にしたがって導くこと。
- (pp.46)そして「わたしは考える、ゆえにわたしは存在する」というこの心理は。懐疑論者たちのどんな途方もない想定といえども揺るがしえないほど堅固で確実なのを認め、この心理を、求めていた哲学の第一原理として、ためらうことなく受け入れられる、と判断した。
- (pp.91)それにわたしは、学校で行われている討論というやり方で、それまで知らなかった真理を何か―つでも発見したというようなことも、見たことがない。というのは、だれもが相手を打ち負かそうと懸命になっている間は、双方の論拠を考量するよりも、真実らしさを強調することに努力しているからである。
- (pp.111)当時はまだ代数記号の使い方が各人各様で、しかも難解かつ複雑だった。、、、デカルトは、大文字でなく、未知数にx,y,…、既知数にa,b,c…を用い、さらに画期的な記号法によって、言語的代数の最後の痕跡を払拭する。2Acubusと書く代わりに、2x^3と書き、量の代数学の基をつくり上げる。