旧岩崎邸庭園では洋館外壁の塗替え工事等が完了したのを記念して洋館の壁紙に用いられる「金唐革紙」の展示を、根津神社では「つつじ祭」を見るのが目的でした。
旧岩崎邸庭園
旧岩崎邸庭園は、上野の不忍池の近くに建つ、三菱財閥の三代目である岩崎久彌がイギリス人・建築家ジョサイア・コンドルに設計させた洋館と和館・撞球室を中心にした庭園です。コンドルは鹿鳴館やニコライ堂など、日本にも数多くの作品を残しています。このコンドルによる2階建ての洋館は主に客間として使用されたもので、それとは別に、大河喜十郎を棟梁とした平屋の和館が住居として併設されています。見学コースは洋館をみて和館へといたるのですが、この洋館から和館へと一歩踏み込んだときの、さっと空気が変わる感じがとても心地良かったです。
洋館で世界で唯一の金唐紙制作技術保持者である上田尚さんが修復した「金唐革紙」をみて、和館ではゆっくり抹茶をいただき、のんびり過ごすことができました。
旧岩崎邸庭園|公園へ行こう!:http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index035.html
金唐革紙
さて、金唐紙とは、もともとヨーロッパで壁の内装に用いられた金唐革の技法を和紙で再現したものです。いわゆる襖や壁に張られたきわめて日本的な装いの唐紙とはまったく別物です。もともとは金唐革紙といわれるとおり、ヨーロッパでは革製の壁紙だったそうです。それが日本に持ち込まれた際に、革のなめし技術がなかったことと高温多湿の日本の気候にあわせて、和紙で革を模した金唐革紙がつくられるようになったそうです。
金唐紙:http://www5b.biglobe.ne.jp/~kinkara/
金唐紙は、金属箔をはった手漉きの和紙に文様を彫った版木棒を重ねて凹凸をつけ、彩色した皮を模した豪華な壁紙です。明治の頃には欧米で高い評価を得、輸出も盛んに行われたそうです。なんとバッキンガム宮殿にも日本の金唐革紙が使われています。最近では、上田尚さんの金唐紙が有楽町にできたペニンシュラ・ホテルの1泊98万円の部屋の壁を飾っているそうです。
洋館の壁はどの部屋も一面、金唐紙で飾られていましたが、一室あたり金唐紙の材料費だけで1億数千万かかるそうです。その光景も圧巻でしたが、僕には、和館におかれや金唐紙の屏風や八角台のほうはその佇まいにあっているように感じられました。
そうそう。これ、全部、警備員のおじさんに説明してもらった話です。10分近く話してもらえました。「また今度、ゆっくり遊びに来てよ」って言ってくれました。「いろいろ話したことあるから」って。素敵。
根津神社・つつじ祭
その後は歩いて、根津まで移動。見頃を迎えはじめたつつじを見に行ってきました。根津神社:http://www.nedujinja.or.jp/
早咲き、遅咲きのものがあるようで一面満開という感じではなかったですけど、それでも、こんな具合につつじが咲いているのをみるのは結構気分がいいものです。
5月6日までつつじ祭りは行われているそうですが、来週末あたりが一番の見頃かもしれませんね。
神社に参るということ
そういえば、根津神社でお参りをしていて、「なるほど、お参りってそういうことなのか」と思ったのは、昨日の「どこを見て、何を聞いて仕事をしてるか?」で書いた万葉時代の占い・夕占のことを思い出したからです。なるほど、お参りもきっと夕占とおなじように、目をつぶって頭をたれることで、音(声)とともにやってくる神の訪れ(音連れ)を感じるのだな、と。「アナログな刺激のある暮らしに憧れて」で書いたように、最近、目をつぶって道を歩いたり、交差点で信号が変わるのを待ったりというエクササイズを続けているんですけど、神社の前で手を重ねて目を閉じているときに聞こえてくる音っていいものです。これは本当に小さな音に耳を澄ます訓練は必要だなとあらためて思いました。
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この記事へのコメント
テツタロウ
tanahashi
情報ありがとうございます。
おもしろいサイトですね。いろいろ見てしまいました。
このサイトをやってる知人の方にも会ってお話聞いてみたいなと思いました。
ありがとうございます。