セミナー内容はこの3つ。
- うちの会社の中村さん、辻さんによる「ミツエーリンクスのWebアクセシビリティへのアプローチ」
- インフォアクシア・植木さんによる「アクセシビリティの現在とこれから」
- アックゼロヨン実行委員会の森川さんを含めた4人によるパネルディスカッション
まず、感想を書くと、ものすごく楽しいセミナーでした。
何が楽しかったかって、いままで疑問に思っていたアクセシビリティに対する考え方が自分の中でスーッと筋が通った気がして、すごく勉強になったのがよかったです。
そんなよい気持ちにしてもらったので、簡単にレポートしてみます。
アクセシビリティに関しては、専門家ではないのでご認識もあるかもしれませんが、そのあたりはご勘弁を。
情報の構造化が重要
やっぱり、アクセシブルなサイトの構築という意味ではこれなんですね。きちんと情報構造化したサイトであれば、音声ブラウザでも見出し要素にとぶスキップ機能が使えるので、それだけでも効率的だそうです。全盲の辻さんが言ってただけに説得力がありました。Web標準化されたWebサイトであれば、基本的に高齢者や視覚障害をもつ方に特別な配慮をしなくても、ユーザー側の努力で使いやすくなるということでした。
ユーザーももっとがんばろうよ
これが今回のセミナーの一番のメッセージでしたね。つまり、どういうことかというと、Webサイトをアクセシブルには、そのサイトに関わるみんなの努力が必要だということ。サイト運営者側やサイト制作者の努力はもちろん、音声ブラウザやスクリーンリーダーなどのオーサリングツールやユーザーエージェントを開発する人、そして、何よりユーザーの努力が必要というのは、ものすごく新鮮だったとのと同時に、ものすごい納得感がありました。代替テキストがないサイトでも、JAWSを使ってユーザーがラベルをつけることができたり、それを他のユーザーと共有したりすることで、ユーザー自身が自分たちでアクセシブルにしていくというのは、Web2.0といわれる時代との共通点も感じました。
そして、役に立つサイトならアクセシブルでなければ見るという辻さんの言葉は同じ人間としてこれまた納得できるものでした。健常者だってそのサイトがAjaxだからだとかユーザビリティがいいなんて理由だけで、サイトを利用したりはしませんもんね。アクセシビリティはもちろん重要ですが、それ以上に中身のほうが重要だってことです。
ユーザースタイルシート
技術的なところでは、OPERAのユーザースタイルシートっていう機能は確かにアクセシビリティを考える上では考慮しておく必要なんだろうなって思いました。ようは情報設計がきちんとしていて、見栄えがスタイルシートでコントロールされているなら、サイトに固有なスタイルで見なくても、OPERAのユーザースタイルシートみたいな機能を使って、自分にあったスタイルに変更できれば、高齢者の方は文字を大きくしてみたり、色覚障害の方は見やすい色に変更できたりするわけです。ユーザーの要求にあわせられるオンデマンド型のスタイルの提供ですね。言い方をかえるとセルフサービスでしょうか。
これもいろんなブログを読むときに、ブログごとに見た目の違う状態で読んだりするよりも、RSSリーダーでおなじスタイルのまま読んだほうがラクなのと同じことなんだろうなって思いました。
CSS3 Speech Module
これも感心した技術。CSSの新しいバージョンのCSS3は音声デザインができるそうです。これも英語版のOPERA9はすでに対応しているそうです。例えば、見出しの部分は、女の子の声で大きめに、本文は男性の声で小さめに
なんていうことができるようになります。音声デザインと書いたのは、四角デザインと比較してもらえればと思ったからで、例えば、普通のWebサイトであれば視覚的に読みやすかったり使いやすいように、strongを使って強調したり、適切な見出しを挿入したり、視覚によるナビゲーション効果やアフォーダンス的な工夫をしたりするわけじゃないですか。それと同じように音声読み上げの場合も読みやすい、使いやすいデザインがあってもいいだろうなと感じました。
『歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化』で紹介されていたようなヒトの祖先がつかっていた音楽と言語が分かれる前のHmmmmmや、現代でも親が赤ん坊や幼児に話すときに用いるような音楽的誇張と感情の要素が強い発話なんかを考えると、パターン認識をうながすようなリズム、抑揚、声の種類などをうまく用いた音声デザインなんかも今後、磨かれていくといいなと思いました。
詳しい報告は、後日、別の場所でする予定なので、今日のところはこんな感じで。
また、詳細な報告が陽の目をみたら、ここでもお知らせさせてもらいます。
そうそう。来週も別の内容のセミナーが予定されているということなので、興味のある方はぜひ参加されてみてはいかがでしょう。
詳細は、アックゼロヨン公式サイトで。
アックゼロヨン公式サイト:http://www.acc04.jp/
アックゼロヨン セミナー2006 Vol.4:http://www.acc04.jp/seminar/1seminar_schedule/060830_060906.html
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