It's a small world ! 思ったよりも世界は狭い。
1998年、コーネル大学の2人の数学者、ダンカン・ワッツとスティーブン・ストロガッツが発表した論文「『スモールワールド・ネットワーク』における集団力学」を皮切りに、ネットワーク科学は、多くの科学者をはじめ、一般の人にも注目を集めるようになりました。
「セグメンテーションとノード間の隔たり」のエントリーでは、マーク・ブキャナンの『複雑な世界、単純な法則』を紹介しましたが、『「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ』は、そんなネットワーク科学の概要を非常にわかりやすくまとめている本で、ネットワーク科学って何?って思っている人にはうってつけの入門書だと思います。
マイミクのマイミクをたどれることは、ネットワークの平均距離と関係している。距離2の人と交流すれば、距離3の人とも交流の可能性がうまれる。(中略)実際にミクシィのネットワークを調査した。それによると、1人のユーザーから見て6人、つまり距離6で大半の人に届くことがわかった。
「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ(増田直紀、今野紀雄 著)
ここでミクシィの例が触れられているとおり、ネットワークはあらゆるところに存在します。
インターネット、感染症のネットワーク、脳の中のニューラル・ネットワーク、ビジネスのネットワークなど、本書では様々なネットワークを見ながら、複雑なネットワークの背後にある単純な法則性に焦点をあてて解説しています。
すでにネットワーク科学についての知識をもった方には物足りないかもしれませんが、ネットワーク科学初心者にはおすすめの1冊です。
第1章 ネットワークのはじまり―グラフ理論の誕生
第2章 ネットワークの格子模様―碁盤目とその仲間
第3章 ネットワークの距離―ベーコン数とエルデシュ数
第4章 世界はせまい!?―スモールワールド
第5章 世界は不平等!?―スケールフリー
第6章 伝染病から身を守る―感染経路と予防接種
第7章 通信ネットワーク―インターネットと携帯電話
第8章 生命を支える―ニューロンとタンパク質
第9章 ビジネスを生き抜く―黒幕とエリートの社会
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