それは本当に日本だけのことなのか?
自分の興味の赴くままにダラダラと考えていて、よく思うのは
日本異質論への疑問
でしょうか。これだけ複雑になった世の中でそんなに特殊なことが日本にだけ起こるのかいな?という疑問ですね。例えば、
長時間労働は日本だけ
終身雇用を希望するのは日本だけ
日本の教育が一番酷い
とかってよく聞きませんか?
確かにある傾向というのは国によってあると思います。恐らくその元は教育制度だと思うんですが、ただ、それを差し引いても更に極端な言説が多い気がします。
例えば、親のしつけでよく「日本の親は子供を甘やかす」「諸外国(何処だよそれw)では親は厳しく子供をしつける」という話があり、日本では「モンスターペアレント」なる言葉で色々な事例が紹介されます。じゃあ外国ではそういうことはないのか?といえば、お隣の中国では「小皇帝」なる甘やかされた一人っ子の問題はあるわけだし、ちょっと違う感じではあるものの、英語圏では「ヘリコプターペアレント」という名前でやはり日本と同じように学校から就職まで手を掛ける親が居るそうです。
それが良い悪いは別なんですが、いつも思うに、そんなに国の違いでやることが凄く違うとは思えないんですよ。例えば上に上げた終身雇用だって、多くの製造業の人たち、特にアメリカの伝統企業の工場の連中って、意外な程勤続年数は長いし、親子二代で同じ工場、とかという人も珍しくない。金融だけ見てるとそうじゃないんでしょうし、経営層なんかはまた別なんでしょうが。
当然上に書いた「傾向」というのが数字に表れるところだとは思います。が、それこそ日本以外の連中がみんな優秀で日本人は全然駄目、ということでもないし、逆にまだまだ日本が世界で優位に立ち続けられるか、というのも違うと思う。基本的に自分の意見を言いたいための我田引水が多いと思うんですが、それを「ちょっと違うんじゃないか?」と立ち戻るようにしたい。
今の日本で良い、とか思わないんですが、それと同じくらい「日本の外が良いぞ」というのも違うんじゃないか?少なくとも普通に人が生まれて生きていく確率が図抜けて高いのは日本だと思う。自殺の多さとかはまた別に考えなきゃいけないんですが、上手く行った人は上手く行った話ししか出来ないわけでね。
自分の思考の訓練として、「本当か?」ということを考えたい、と思った夏の夜なわけですね。
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コメント
ドイツ特派員さん、はじめまして。私はドイツに来て11年ほどになります。私も「日本」と「世界(またはもっと狭い欧米)」という二分法には疑問があります。私は「日本」と「日本以外=世界」が存在しているのではなく、日本もドイツもその他も「世界を構成する国家や文化圏の一部」として存在していると捉えています。そして世界のほんの一部である欧米なる概念のさらに一部である「欧」ですら全く等質ではなくいわゆる「家族的類似」によるまとまりだと思いますし、ドイツ国内ですらミュンヘンとベルリンの文化的差異よりはミュンヘンとザルツブルクの文化的差異の方が小さいと感じます。恐らく米国だって等質ではないですよね。私がどうにか今ドイツで暮らしているのは日本で大学教育を受けたからですし、私の知人には親が亡命してきたとか難民だったという人もいて、自分は明らかに恵まれてきたなと感じています。その上で日本社会の問題点についての議論があるのならば良いと思うのですが、ただひたすら「日本の特殊性」を論じる行為は国粋主義的なそれと表裏一体であるように思います。
投稿: furoshiki | 2012年8月 9日 (木) 18時55分
上記の投稿のザルツブルクの箇所には(隣国の)が抜けておりました。訂正します。
投稿: furoshiki | 2012年8月 9日 (木) 18時57分
furoshikiさん、コメント有難うございます。
結局こういうのって楽な議論だと思うんですよ。逆に日本人以外の人から、「日本人ってこうなんだよね、だからお前もそうなんだよね」って言われて、それが否定的なことだったら結構ムキになって反論すると思うんです、「俺はそうじゃない!」という風に。ある程度の文化的バイアスというのは必ずあるんですが、それは大まかなものでしかないと考えているので、それを踏まえたうえで、出来るだけ起こっている事象を純粋に見たいな、と心がけていきたいと思っています。私も日本が相当恵まれた国である、というところを痛感しています。
投稿: ドイツ特派員 | 2012年8月 9日 (木) 22時27分