Dead End - Ghost of Romance
そんな時代の最中、インディーズシーンでレコードセールスを1万枚という記録を打ち立てたデッド・エンドというバンドはメジャーシーンから見ても魅力的なバンドに見えたのだろう。そして結果的にメジャーになってもかなりのファンを獲得して、しかも音楽的にはもの凄い広がりを見せて且つ海外での評価まで獲得したというから日本の音楽シーンに出てきて正解と言ったところ。
1988年リリースのメジャー移籍第一弾アルバム「GHOST OF ROMANCE」、インディーズ時代のアルバム「デッド・ライン」からすると二作目のアルバムで、メンバーも二人変更しているので、まぁ、別のバンドに近いんだけどモーリーの世界観がデッド・エンドのスタイルということは間違いないのでそれ自体はあんまり問題ないでしょ。最初のアルバム「デッド・ライン」はやっぱりインディーズの作品だから音作りやミックスなどちょっとデコボコしていてメジャープロダクションの音ではないから、ぎごちなさはあったけど中味は既に音楽性がきちんと確立されたものだった。そういったマイナス面を払拭して、しかもメジャー側もインディーズでのセールス実績を評価してか、かなりのカネをかけてアルバム制作をさせたみたいで、ジャケットからしてH.R.ギーガーのアートワークだもんね。これで世界的なコレクターにも訴えかける材料になったってもんだ。
そんでもって、「GHOST OF ROMANCE」の中味。デッド・エンドっていうバンドって割と変化に強いバンドなんだけどやっぱり基本的には美しいハード&ヘヴィーなサウンドでメロディのしっかりしたバンド、ってトコか。モーリーの世界観ってのは、まぁ、ナルシストっつうか暗黒の帝王っつうか、圧倒的なカリスマ性を誇る存在感があるのでそれだけでバンドの他のメンバーとは一線を画すんだけど、ルックスがこれまたとんでもなくってかっこよい。そういうルックスを見ていたのでいざ音を聴いた時の声質にはちょっと驚いた。もっとドスの効いた声質かと思ったら外国勢に負けないくらいのハイトーンというか声質の歌で、普通に聴いたらこのバンドってどこの国のバンドかわかんないかもしれない。無国籍なサウンドを出しているもん。まぁ、せいぜいヨーロッパかなぁ~っていう感じがする。その辺は日本の他のメタルバンドとは大きく異なっていて、しかも鍵盤奏者なしでその世界を醸し出すってのはなかなか出来ないんじゃない?
この後「SHAMBARA」っつう作品を出してひとつの境地を極めたデッド・エンドは最後に「ZERO」という作品を残して解散。やり尽くした感が大きかったんだろうか、インディーズ時代から走り続けてきたバンドってのは大体が5年くらいで寿命を終えるんだけど、ご多分に漏れずデッド・エンドもそれくらいの寿命だった…。ガスタンクとの比較論をよくされているが、個人的には全然比較対象として相応しくないバンド同士だと思うけどねぇ。
- 関連記事
-
- Loudness - Thunder In The East
- Dead End - Ghost of Romance
- 紫 - iMPACT