日本の子供が自分を不幸だと感じているのはもしかして……
ユニセフは3日、38か国を対象に7年ぶりに実施した子供の幸福度調査を発表した。それによると、日本は38か国中20位。他方、健康分野では1位だった。というニュースが流れた。どうやら、日本の子供は身体的には健康だけど、精神的には幸福ではない、ようだ。
というわけで、教育評論家の尾木直樹氏はブログでこう言っていた(参照)。
このパラドックス(逆説)は何を意味するのでしょうか?
② 最大の要因は日本の学校における『いじめ地獄』です、海外の研究によると50歳になっても社会的、経済的影響は残り人生そのものを幸福にしないようですから重大事態ではないでしょうか?
へえと思った。前回2013年の調査では、31か国を対象にし、日本は全体で6位だった。つまり、対象国が増えたとはいえ、7年間で6位から20位に転落したのは、この間、特段に「いじめ地獄」が進んでいないと、尾木説は矛盾する。まあ、矛盾しているだろう。調査はコロナ騒ぎに重なるので、基本的にはコロナ騒ぎが日本の子供をいかに不幸にしたかという意味もあるのでは。
さて、原典をざっと読んでみた(参照)。
2点、びっくりした。というか、調査国のなかで、ダントツに日本の子供(青少年)を区別するデータを見て、驚いた。
1 デブが異常に少ない
日本人の子供にデブがいない。明らかになんだこれというくらい少ない。
理由がわかりそうでわからない。実は栄養失調なんじゃないか。いや健康は総合的に1位なんで、つまり、とっても健康だから、デブが少ないということなんだろう。
もしかして、デブが増えるともっと幸福を感じる子供が増えるっていうことはないんだろうか。
2 殺人事件が異常に少ない
他に少ない国もある。ルクセンブルクとか。しかし、こうしたデータでルクセンブルクと比較して意味あるんだろうか? スイスやノルウェーも少ないがそれでも日本はその半分以下。なんなんだこれ。
というわけで、日本の子供はデブが少なく、殺人事件が少ない。どうも、内的な規律性が高いから、と考えるのが妥当だろう。とすると、内的な規律性が高いと、それほど幸せは感じられないんじゃないか。
追記(同日)
このアーティクルはどっちかというと、自分なりに驚いたファクトをネタにしたくらいで、そのファクトを解明したいというものでもなかった。ので、さらっと矛盾したことを書いていたが、気になる人もいそうなので、追記しておく。
矛盾は、内的な規律性が高いと不幸になる、として、それがこの7年間の変化はどうか。つまり、7年前はそれがどちらかといえば幸福の要因だった。なのに、現在は不幸の要因に変わったのか?
実はそう考えている。特にコロナ騒ぎのせいはあるだろうと。ただ、それだけのせいでもないようには思う。まさに、この7年間で同じ要因が、幸福と不幸を変えたのではないか? たぶん、コミュニケーションのあり方だろう。実は該当レポートにはいじめと幸福感のデータもある。とはいえ、どこの国がいじめが多いとかではない。いじめがあっても、幸福でいられるかという内的な特性を問うているものだ。
あと、もう一つ。子どもたちの幸福・不幸の感覚をあくまで外的な要因による(たとえば長期デフレとか)と、そう考えたい人がいるのだなと思った。しかしねえ、そういうのは、そもそも子どもたちの内的な規律性の否定を前提とした議論になっている。それって、けっこうぞっとする思想だ思うんだけど。
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