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2014.09.12

スコットランド! フリーダーム! SCOOOOTLAND FREEDOOOM!

 9月18日に独立の是非を巡ってスコットランドで住民投票が実施される。目下、独立賛成派が急進してきたようにも見えるので、いろいろと話題になっている。
 これにはいろんな議論があるが、私は、スコットランドの独立はないだろうと見ている。理由はスコットランド社会が緩やかな変化を求めるだろうと思うからだ。逆にいえば、今後は緩やかに独立していくだろうし、日本などから見ると、すでにかなり独立している。
 もう一つ理由がある。たわいない理由だが、もしかすると、重要な理由かもしれないと思うのは、スコットランド人の自虐ユーモアセンスである。それが示す豊かな心がよい選択をするだろうと期待する。
 ネットとかでいろんな他者からの反応に接して思うのだけど、「テラワロスw」みたいに侮蔑の笑いを投げかける人は、どっか心が病んでいるように思える。じゃあ、健康な心はなにか、というと、きちんと自虐ギャグで笑えることじゃないかな。そういう自虐ギャグのセンスがない人は、とても怖いと思う。
 で、これ。スコティッシュな自虐ギャグ。スコットランド独立が自虐ギャグネタなのな。
 有名なので知っている人も多いかと思う。ほんと、おなかが痛くなるほどおかい。それでいて高度に知的でもある。
 当然だがなかなか聞き取れない部分もあるので、違っているかもしれないけど、できるだけ書き起こしと、試訳を添えてみた。そのあとでこれに日本語字幕つけているのを見つけたので、あとでそれも紹介する。最初は発音に注意してそのまま見たほうがいいと思う。「ラフト」って聞こえるのは、"Lift"でエレベーターのこと。英国英語だとこう言う。

A: Where's the buttons? ボタンはどこ?

B: No, no they've installed voice recognition technology in this lift. I heard about it.
ないよ。このエレベータは音声認識装置が装備だってさ。

A: Voice recognition technology? In a lift? In Scotland? Ever tried voice recognition technology?
音声認識技術? エレベーターに? スコットランドで? 使ったことある?

B: No.
いや。

A: They don't do Scotish accents.
スコットランドなまりだと、だめだな。

B: Eleven.

L: Could you please repeat that?
繰り返してください。

A: Eleven.
B: Eleven, Eleven.
A: Eleven.
L: Could you please repeat that?
B: E-le-ven.

A: Whose idea was this? You need to try an American accent. Eleven, Eleven.
これ考えたの誰? アメリカ風に言ってみたら? 11,11。

B: That sounds Irish, no' American.
それ、アイルランドなまりじゃん。アメリカ風じゃないよ。

A: No, doesnae. Eleven.
そう?

B: Where in America is that, Dublin?
どこのアメリカ? ダブリン?

L: I'm sorry. Could you please repeat that?
申し訳ございません。繰り返してください。

B: Try an English accent, right? Eleven, Eleven
英国風ならどうかな。11, 11。

A: You are from the same part of England as Dick Van Dyke!
君はディック・バン・ダイクみたいにイングランドの出身なんだね。

B: Let's hear yours then, smartarse.
じゃあ、お前やれよ。上から目線野郎。

L: Please speak slowly and clearly
ゆっくりとはっきりお話しください。

B: Smartarse
上から目線野郎。

A: E-le-ven.
L: I'm sorry. Could you please repeat that?
A: Eleven. If you don't understand the lingo, away back home yer own country.
11。この言葉わかんないなら、てめえの国に帰れ。

B: Oh, It is that talk now, is it? Away back to yer own country.
おーおーお、なんて話してんだ、てめえの国に帰れだと。

A: Oh, don't start Mr Bleeding Heart - how can ye be racist to a lift?
お涙頂戴ってか? エレベータに向かって人種差別主義者になるわけないだろ。

L: Please speak slowly and clearly.
B: Eleven, Eleven, Eleven, Eleven.

A: You are just saying it the same way.
君が言っているのはさっきから同じだぞ。

B: I'm gonna keep saying it until it understands Scotish, alright?
こいつがスコットランドなまり覚えるまで言ってやるんだよ。

B: Eleven, Eleven, Eleven, Eleven.
A: Oh, just take us anywhere, ye cow. Just open the doors.
どっかへ連れてけ、このまぬけ。ドアを開けろ。

L: This is a voice-activated elevator. Please state which floor you would like to go to in a clear and calm manner.
これは言葉で動くエレベーターです。行き先階をはっきりと落ち着いておっしゃってください。

A: Calm? Calm? Where's that coming from? Why is it telling people to be calm?
落ち着け? こいつどっから来たんだ? なんで人に向かって落ち着けだと。

B: Because they knew they'd be selling this to Scotish people who'd be going off their nuts at it.
だって、この手ものにかっとくるスコットランド人にこんなもの売りつけたんだからな。

L: You have not selected a floor.
行き先階がお選びになっていません。

B: Aye, we have. ELEVEN!
選んでるだろ。11。

L: If you would like to get out of the elevator without selecting a floor, simply say “Open the doors please”
エレベータからお降りのときはそのまま「お願いですから、ドアをあけてください」と言うだけでけっこうです。

A: Please? Please suck ma wullie.
お願いですから? お願いですから、ちんこしゃぶれ。

B: Maybe we should have said please.
俺たち「お願い」ってするべきじゃないの。

A: I'm no begging that for nothing.
あんなのにお願いするのかよ。

B: Open the doors please.
ドアを開けてください、お願いですから。

A: Please. Pathetic.
「お願いですから」 惨めにな。

L: Please remain calm.
お静かにお願いします。

B: Oh gu wud ye let me up to that, get me up there, right, just wait for it to speak.
うぉお、俺を持ち上げてくれ、いいかあ、こいつが話すまで待て。

L: You have not selected a floor.
お客様はまだ行き先階をお選びになっていません。

B: Up yours, ye cow! You don't let us out these doors, I'm gonnae come to America, I'm gonna find whatever desperate actress gave yer voice, and I'm gonnae go to the electric chair for ye.
上のバカやろう。ドアを開けないならアメリカに行って、なんとしてもお前に吹き込んだヤケクソ女優を見つけ出し、お前のために電気椅子に座らせてやる。

A: Scotland, ye bastards.
スコットランド、この厄介者

B: SCOTLAND!
A: SCOTLAND!
B: SCOOOOTLAND!
A: FREEDOM!
B: FREEDOM!
A: FREEDOOOM!
A: Goin' up?
上、行きますか?


 すごくばかげたギャグなんだけど、きちんと人種差別発言のラインがどの辺にあるのか教えてくれていたりする。こういうセンスっていうのは、日本のお笑いにはないんじゃないかな。
 途中、ディック・バン・ダイクのネタが出てくるのだけど、これは彼が「映画のなまりのワースト10」の第二位で、米国人俳優の下手な英国英語とされているためだ(参照)。

 で、先ほど言ったけど、これに字幕付けている人がいた。字幕で見ちゃうと、わかりやすい反面、発音への関心がちょっと反れる。


 
 

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