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アニメ まおゆう魔王勇者 第一章「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」感想

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「この我のものとなれ、勇者よ」

「断る!」

冒頭から、RPGでいう所のラスボスである「魔王」と「勇者」が対峙するところから始まった「まおゆう」。
2ちゃんのスレッドに投稿された、会話主体の小説が原作とのこと。
勇者と魔王の対決という、RPGの定型的なクライマックスシーンから始まりますが、その魔王がなぜか巨乳で、
「ずっと会いたかった、勇者」と、友好的な態度で近づいてくる、おっぱい魔王でした。

ラブコメみたいなファンタジーなのかなと思ったら、おっぱい魔王が話し始めたのは戦争に依存した社会を経済的側面からレクチャーするという内容でした。
前知識ゼロだったので、この物語の世界のリアリティーがよく分からず、第一話を見た後なんだか取り残されたような気分になりました。
ネットで検索して、小説版の一話を読んでようやく納得。

ドラクエ的な、「勇者が魔王を倒せば世界が平和になる」というテンプレ勧善懲悪のRPG物語に対して、
国と国の戦争に、一方が善で他方が悪なんて決めつけることができるのか?
魔王を倒したらそれで本当に世界は平和になるのか?
・・・というような、魔王を倒したらハッピーエンドで終わってしまう物語に対する、アンチテーゼとして書かれたもののようです。

たぶん、勇者が魔王の城までたどり着くまでの旅の物語がよくある冒険ファンタジーで、「まおゆう」はその先にある「単純には終わらない」現実を描いた物語という事になるようです。
ゲームで言えばRPGより、シュミレーションゲームに近いタイプの作品なんでしょうかね。

アニメ第一話初見では、パロディー的な発想から生まれた物語なのだという事を知らなかったので、戦争込みで成り立っている世界の現実的な話のリアリティーと、RPG的な約束事や、「魔王」「勇者」という記号的な設定のキャラクターがマッチしていない印象を受け、ちぐはぐした違和感を感じました。


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▲「なんで魔王が女なんだよ!」

魔族と言いながら、姿は人間と変わらないとか、この世界の設定上でその辺はどうなっているんですかね。
「人類」と「魔族」といっていますが、実際には「違う文化の異民族同士の争い」、というぐらいの印象でしたが、もっとモンスターぽい魔族も後で出てくるんでしようか。

あと、戦時下にある魔族の王がなぜ、研究者タイプの平和主義者なのか。どういういきさつで魔王になったのか、ということも気になったんですが、後で明らかになるんでしょうかね。

また、勇者も冒険の旅の過程で色々なものを自分の目で見て、経験してきたはずなのに、あまりにも単純すぎる。
「一軍に匹敵するほどの戦闘力の持ち主」という設定のようですが、とてもそうは見えませんね。
「一国の軍事力に匹敵する」と、いうのは「グラップラー刃牙」の範馬勇次郎ですが、
そういう強者と比べると、普通の若者という感じですが…。
魔王が勇者を必要としたのは、その戦闘力のためなのか、それとも人間側で民衆からの希望を一身に集めている有名人だからでしょうか。その辺もいまいちよく分かりませんでしたが…。

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「戦争に良いところなんて、あるもんか!」

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「戦争に乾杯ですね。争い相手が魔族になって、我々人間の結束が高まったおかげで、

500年以上も続いた疫病と飢餓が随分減りましたから」

「中央大陸に莫大な富をもたらす戦争に、乾杯!」

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「農業にに適さない国土しか持たない我が国に、

中央から莫大な支援金がもたらされるのは、戦争があってこそだ」

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「戦争が終わったとしよう。そうしたら、どうなると思う?」

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「これだけの大量消費が無くなったら、中央大陸の生産者は大打撃を受ける。

失業者が大量に出て、日々の糧にも事欠き、おそらく数十万の死者が出るだろう」

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「戦争のおかげで、食べ物のない国にも食料が行き渡るようになったと言っただろ。

だが、全体の食糧生産そのものが劇的に向上したわけじゃない。

世界のあちこちにまだ餓死者はいるんだ」

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「やめてください・・・!中に妹たちが・・・!」

「だから焼くんだ!悪魔の病をうつされてはたまらん」

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「戦争が無くなったら、そんな子供たちがもっと増える。

剣をふるう以外に生きるすべを知らない何十万もの人間が世界中にあふれるんだ。

生きていれば食べ物がいる。でも食料は増えない。

つまり何十万。いや、何百万人もの人間が死んでしまう」

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あの丘の向こうに何があるんだろうって、

思ったことはないかい?


戦争という巨大な消費があって、需要と供給が促進され、人と物の流れが活発になる。
長い間、魔族も人類も戦争がある状態に依存する状態が続いたため、戦争をやめることができなくなってしまった。
戦争をやめてしまうと、経済が回らなくなり、路頭に迷う人が大量に発生してしまう。
戦争を引き延ばす現状維持以外の道を探っている魔王ですが、道のりは長く地道なものになりそうです。

現代では、20世紀に核兵器が開発され、帝国主義の大国間の全面戦争は、今のところ終わったことになっています。
しかし、人類の長い歴史は、戦争の歴史ともいわれるほどで、ほとんど戦争が絶えたことがないようですね。
現在は地域紛争とテロの時代になっていますが、どんな紛争にも複雑な利害関係が絡んでいて、人間も進歩がないというか、むしろ昔に戻っているような気がしてきます。
それも、ただ人類が好戦的な種族だから、という以外に何かしらの構造的な要因があるから、ということになるんでしょうか。

どこか頼りない感じの、童貞勇者とおっぱい魔王ですが、どんな方法で戦争を必要としない世界を作ろうというのか。
第一話を見て、いきなりゲームっぽい設定の場面から始まって、リアルな問題に話が及んでいく展開が、少し自分には飲み込みづらい所もあったんですが、これから、どんな過程と結果を見せてくれるのかすごく興味が出てきました。

まずは、食糧生産率を向上させる所から所から手を付けるようで、これからの展開が楽しみです。




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