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ゲームの正しい歴史とは!? 「ゲンロン騒動」に思ったこと 他

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【ゲーム文化】俺たちをなかったことにするのヤメロ【1980年代】 | 触接地雷魚信管

 そもそもこの騒動は「ゲンロン8」という批評本に掲載された座談会「メディアミックスからパチンコへーー日本ゲーム盛衰史1991-2018(井上明人、黒瀬陽平、さやわか、東浩紀)」の内容が、あまりにも「コンピュータゲームの歴史」に対する認識不足が多いとして界隈から批判が殺到。Amazonの評価が真っ二つに別れるなど、タイヘン興味深い様相を呈しているものです。



 その場に居合わせたという電ファミニコゲーマーの平進一編集長から225箇も所の指摘をもらったゲンロン編集部、及び、参加者4名が指摘に対して回答しているものが公開されています。

 【公開用】『ゲンロン8』共同討議へのご指摘に対する返答表

 膨大な量なので、まだ半分も読んでいないのですが、興味深いなと思ったのは『僕たちのゲーム史』著者でもあるさやわか氏(さわやかではない)と平氏のやりとりです。

 『スト2』は海外を意識してつくられたと発言したさやわか氏に対して、平氏がそんな話は聞いたことないと反論。それを受けてさやわか氏が『ALL ABOUTカプコン対戦格闘ゲーム1987-2000』に掲載されていた制作側による対談の内容を典拠に挙げておられました。


 
 これは非常に重要なやりとりだなと思ったのです。不勉強ながらこの本は読んだことないのですが、正直、こんなことよくあるよねと思ったからです。

 たとえば任天堂の故・山内元社長について古い文献や映像資料を漁ったりしていますと、時期や媒体によって言ってることが違うなんてケースによく遭遇するのですよ。なかなか本音を仰らなかったり、あるいは、妙にケレン味を効かせたことも口にすることもあります。いくら偉大な経営者といえども、経験を重ねることで考え方が変わることもあるでしょうし、むしろそんなことは人間にとって「成長」であり、ブレてるとか、矛盾してるとか、責め立てるようなことでも何でもないとすら思うのです。

 はたまた、そのときのインタビューアーの解釈や、編集者の技量で、意図せず内容が捻じ曲げられたりすることもあるでしょう。我々は資料を信じるしかないのですが、その資料が本当に信じるに足り得るのかも見極める必要があるな、と感じるわけです。



 マリオの生みの親・宮本茂氏もわりとそういうところがあるとして有名ですね。たとえば自らの作品(主にスーパーマリオブラザーズ)を振り返って突然、あとで考えたようなことを仰ることがあります。

宮本氏が語った『スーパーマリオブラザーズ』1-3と5-3が似てる理由

 万が一、今からご本人に突撃インタビューできたとしても、そもそも、何十年も前のこと。記憶が曖昧だったり、間違って憶えているなんてことあるんですね。つまり“正しい歴史”っていうのは「真実そのものを記すことはできない」という前提のもと、世の中に信じてる人間がどれだけ多いかで決まる多数決みたいなものなんじゃないかな、と思ったわけです。

 むしろ、だからこそメディア側には取材を重ね1mmでも真実に近づくこと、及び、当時の資料をあたることが不可欠となり、少しでも信憑性をあげる作業が求められるのでしょう。非常に勉強になりました。ありがとうございました。


<ニュース>
「serial experiments lain」の20周年を記念し,主要スタッフにゲーム版をプレイしてもらった。次作は「誰かが適当に作ったら」? - 4Gamer.net
 ネタバレするのが嫌だったので、途中で読むのを辞めました。(オロチの初プレイ所感)早くプレイを再開せねば、、、

lain0.jpg

『ぷよぷよ』不定形47連鎖の挑戦──15時間かけて成功した秘訣は「息をするようにぷよぷよ」
 極めてる!



orotima-ku1.png台風!
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コメント

そりゃあ知識は要るだろうけど、知識があんまり要らない体験として語るとか、社会学的に語るとかは可能だと思う。この手の言論本って、そういう社会学的とか文化的に語るもんかと思ってた。

知識が要るとか専門的にゲーム史を語るには、専門家をゲストに呼んで語るとかすればいいだけだし。中途半端になった結果なんだろうなあ、読んですらないが

ファミコン世代がお金を持ってそれら関連の書籍などが売れるからって
乗っかったものをどんどんと出しているうちにどんどん変なものが出るのは
ある程度しょうがないのだろうか?
売れなきゃいいんだけど、またこういう人たちって律儀に
「買わないのに批判するのはいかがなものか!」とか言ってちゃんと買っちゃうから。
そういえば炎上させて雑誌売るってのはなにかありましたね・・・

みなさんそう仰るんですが、地味に気になるのは井上明人さんってたしかゲーム研究者ですよね。十分、専門家じゃないのかなってところかな、、、

まあそうなんだけど、そもそも専門が違うとか、ビデオゲーム史専攻とか、ビデオゲーム史黎明線香、ビデオゲーム史現代専攻とか、細分化されてるはずだろうから。歴史の専門家を呼べば良かったんだろうけど、そういうきちんとした正史研究者が要るのかも疑問だけど。

なので、歴史を語るんじゃなくて、総論とか文化論とか、印象論とかで、はっきり逃げれば問題なかったんじゃ…。

まあ別メンバーで、他が日本ゲーム盛衰史1991-2018をやると思いろいことになるとは思うんでやって欲しい

ですね。こういう批判があるのは仕方ないとして、それを次回へどうつなげるのかというところがポイントだと思います。最悪なのはゲーム史ってなんかめんどうくせえってなること。理想は誰もが気軽にゲーム史を語れるようになること。今回の騒動はそうなるための学びがたくさんあったように思います。

個人的には、電ファミは全く同じ企画をやって、違うメンバーで違う結果を出して、アンサーとすれば、正誤表だけを出すよりは、面白かったと思う。

個人的にすぎない体験や、的外れな意見を
あたかも世間一般~日本・世界の歴史として
語っているところがあるように感じられました。
個人の感想としてならそこまで目くじら立てることもないのでしょうが
そうじゃないのなら、いろいろとツッコミが入るでしょうね。

> 十分、専門家じゃないのかなってところかな、、、

専門家にも色々いるでしょうし
その人は駄目な専門家だった(かもしれない)ってだけの話なんじゃ?

素人としてが一番気になるのは何で1991年からなのってとこですかね。
PCゲームを触れないことにしてもファミコンの大部分を捨てるのは惜しい気がする。

管理人さん、こんにちは。

インタビューが常に正しいものではなく、メディアには少しでも信憑性をあげる作業が求められる、という論は、本当にその通りだと思いました。本当に、情報の取り扱いには気を付けねばなりませんね。

なのですが、この件に関して言えば、山内さんや宮本さんのようなケースとは分けて考える必要があると思います。

1992年から2016年にかけて、西谷亮さんと船水紀孝さんは複数のメディアで『ストII』誕生の経緯を語っていますが、大筋の話はほとんどぶれていません。
ざっくりまとめると、おおむね以下の内容になります。

・海外(北米)からの『ストリートファイター』の続編要請があったこと
・海外で流行っていたベルトアクションを、ということで『ファイナルファイト』を作ったこと
・海外の人から「ベルトアクションではなく、対戦格闘の続編がほしかった」と言われたこと
・海外はともかく、日本では対戦は流行らないと思っていたこと

このあたりの話は1992年の段階でほぼ出きっており、あとから真新しい情報が付け加えられたことは、ほとんどないと思います。
ですので、宮本さんや山内さんのような事例(あとから思い出した、こじつけた系)とは明確に区別すべきではないでしょうか。

この件、ご興味あるなら『ALL ABOUT〜』だけではなく、『ザ・ベストゲーム2』(新声社)と『ストリートファイターぴあ』(ぴあ)もあわせて参照するのが良いと思います。
『ザ・ベストゲーム2』は1992年に行われたインタビューが再録されており、『ストリートファイターぴあ』は2016年の本です。ほかの資料も併せて読んだ方が良いですが、とりあえず上記三冊のインタビューを読めば、ほとんどブレがないのが確認できるはずです。

以下は私の推測(妄想)になりますが。
たぶん、電ファミのインタビューで、西谷さんは「この話は過去に何度もしたし、いまさら改めてやる必要もないだろう」と思って、省略したんじゃないでしょうかね。
あまりにも有名で、ゲームメディアの人間なら知ってて当たり前の話だから、あえて語らなかった。おそらくそういう話じゃないかな、と思います。

ジョー様。ご教授いただきありがとうございました。勉強不足でお恥ずかしい限りです。さっそくオールアバウトを注文いたしました。読みまくります!

オロチ様

とんでもございません。また、ご丁寧な返信、痛み入ります。
『ALL ABOUT〜』は勢いがあったころのベントスタッフの本ですので、きっと楽しめるだろうと思います!

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