通貨な世界

サイバー攻撃によるビットコインの盗難が資金繰りの悪化の一因とされています。２０１３年からサイバー攻撃を受けていた「MtGox（マウントゴックス）」は、ビットコイン保有高７５万BTC、自社保有の１０万BTCが消失されていることが発覚、２月２５日にはサイトが突然閉鎖されました。

MtGoxは元々は”Jed McCaleb氏”が運営するトレーディングカードの交換所だったのですが、２０１０年７月にビットコインを取扱う取引所になりました。当時のビットコインはまだ一部の人にしか知られていない存在で、１BTCは０．５ドル（当時で約４５円）程度でしたが、一部海外メディアでビットコインが取り上げられると２０１１年２月には、１ドル（当時で約８２円）と同水準になりました。

価格が上昇したのと同時期ぐらいにJed McCaleb氏は、IT関連会社「TIBANNE」を設立した日本在中のマルク・カルプレス氏にMtGox売却したのです。当初からMtGoxは、様々なサイバー攻撃を受けており、ハッキングによって６万人以上のユーザー名とハッシュ化されたパスワードが流出。ハッカーは監査役のアカウントを利用して、大量の売り注文をし、価格を０．０１ドル（約１円）にまで暴落させたそうです。

セキュリティチェックの為、１週間サイトを停止していましたが、他の取引所で同じパスワードを使用しているユーザーが多かったため、MtGox以外の取引所でも被害がでていたそうで、このことで多くのユーザーはMtGoxに支払能力に不安を抱きます。その不安を払拭するため、自社で４２万BTCの取引を行いました。

このようなハッキング攻撃を受けている原因の一因には、ビットコインを管理するプラットフォームのクライアントソフトを古いバージョンのまま使い続け、問題が発生する個所を改善していなかったのです。実際にビットコインを盗む手口で紹介したように、盗む場合には暗号キーの入手から始まるのですから、クライアントソフトの管理を怠っていたことは致命的です。

また、これらだけではなく、MtGoxにはビットコインの管理体制や運用システムなど多くの問題があったと指摘されています。事実上の破綻に陥ったMtGoxの負債総額は約６５円といわれています。

仮想通貨であるビットコインは、薬物販売闇サイトのシルクロードなどで利用されていて、懸念する声が大きかった一方で、様々な小売店や企業での受け入れ、ビットコインATMや自動販売機が設置されるなど、広がりをみせているのですが、２０１３年１２月には米財務省がビットコイン業者に規制対象との警告文を送付し事実上の業務停止命令になっていますし、今後のビットコインの位置づけがどうなっていくのか、動向が気になるところです。



では、また。

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アメリカ初のビットコイン自動販売機は、ニューメキシコ州のアルバカーキの小さな店舗に設置され、米ドルだけではなく、世界２０ヵ国以上の通貨に対応しています。両替の際には、ビットコインATM機と同じようにQRコードが必要になっています。

Bitcoin自動販売機

Bitcoin自動販売機を設置した店主のEric Strombergさん

カナダのバンクーバーでは、すでにATM機のRobocoin設置されており、沢山の人々が利用しています。日本でもビットコインでの支払いが可能なレストランもあり、様々な販売店などで利用されています。

ビットコインATM機のRobocoin

Robocoinはアメリカのワシントン州シアトルとテキサス州オースティンに設置する予定だそうで、ATM機にはスキャナーが搭載されており、利用する際には、運転免許証やパスポートなど身元を確認するIDが必要になるそうです。


では、また。

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Deep Webの違法薬物サイト「Sheep Marketplace」から約１００万ドル（約１億円）分のビットコインが盗まれました。『仮想通貨ビットコインと密売サイトのシルクロードとの闇の世界がドキュメンタリー映画になる』で紹介したシルクロードは言わずと知れた、DeepWebサイトですが、Sheep Marketplaceはシルクロードの取締によって、変わりに台頭していた違法薬物サイトですが、その盗難によって閉鎖に追い込まれることになりました。

ビットコインを盗み出すのはウォレットサイトばかりではなく、DeepWebサイトからも盗みだすのです。ここでビットコインを盗み出す実際の手口を紹介します。



《暗号キー》


ビットコインは仮想通貨ですので実態は無いのです。ビットコインを所有しているのを証明できるのは、取引履歴や現在の所有者を記録する台帳システムがありがあり、ビットコインを所有している人物は、特定のアドレスをアンロックできる暗号キーを持つことになります。この暗号キーがビットコインの所有していることの証明になります。この暗号キーさ入手できれば、ビットコインの所有者になれるということです。

ですから、ハッカーは暗号キーを多く所有しているオンラインサービスに攻撃をしかけ、暗号キーを入手するのです。「Sheep Marketplace」も、この手口で攻撃されたそうです。また、ビットコインのオンラインサービス関係者であれば、暗号キーのデーターをコピーするだけでビットコインを入手することが可能です。


《マネーロンダリング》


ハッカーは入手したビットコインを今度は、マネーロンダリングします。そして、このマネーロンダリングが重要なのです。ビットコインは取引履歴や所有者を記録する台帳システムがあるので、追跡できないように「洗浄」するのです。

盗んだビットコインが元の所有者のアドレスから接続出来ないようにするのですが、盗んだビットコイン同士を「タンブラー」といわれるものでランダムに混ぜ合わせて「洗浄」します。このタンブラーを利用するには、『シルクロード』と同じでTroを通じてのみアクセスできます。ビットコインを混ぜ合わせてしまえば、その情報量は膨大なものになるので、追跡は非常に難しいものになります。


《政府によって認可された通貨へ》


綺麗に「洗浄」したビットコインを今度は、政府によって認可された通貨へ両替をします。ビットコインはマーケットとして、まだまだ小さく、ビットコインを大量に両替すると、たちまち不審に思われます。また、ビットコインを他通貨へ両替する場合に身元を隠すのは困難です。

そこで、身分を隠していても取引してくれる資金豊富な人物に、取引相場から大幅に割り引きをして、ビットコインを買い取ってもらうのです。その他には、この先どうなるか分からないビットコイ ンですので、あまり現実的ではないですが、目立たないように数ヶ月、数年をかけて少しずつ両替していくことです。

これらが実際に行われている一連の手口です。現在では『米財務省がビットコイン業者に規制対象との警告文を送付し事実上の業務停止命令』などの要因で一時の過熱ぶりは収まっていますが、盗む側には魅力的な通貨なのです。


では、また。


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中国当局がビットコインの為替両替サービスを提供している業者に対して、”人民元”との両替決済サービスを停止することを命じる行政通達を行ったことや、アメリカがビットコイン事業者に規制の対象となるという警告文を送ったことが、ビットコインの価格下降の理由としてあります。

中国は国内の金融機関に対してビットコインの取扱いを禁止する通達を出すなど、中国当局はビットコインに対する規制強化をしている。ビットコインの両替サービスを行っている業者は行政通達後も運営はできるのですが、人民元との取引ができないため、営業範囲は限られてきます。


また、アメリカ財務省が国内のビットコイン業者に対して、ビットコイン関連業務は金融法規の規制対象となるとの警告文を送付しました。この警告文は、金融犯罪取締ネットワーク（FinCEN）が、マネーロンダリングなどの懸念から、ビットコインを取扱っている業者に対し、国際送金業者の許認可を取得する必要があるとの見解を伝えたものです。

ビットコインの高騰の要因として、『ビットコインは１BTCあたり１０００万円まで上昇するとウォール街のアナリストが述べる』で少し触れましたが、キプロス銀行の危機がありました。キプロスの人たちは海外に送金するため、匿名性のあるビットコインを利用したのですが、その匿名性が犯罪の助力になるとの懸念の声が上がっていました。

今後、アメリカでビットコイン取扱い業者が海外送金をする場合は、政府とFinCENの許認可が必要になるとのことですので、匿名で海外送金する事が難しくなり、ビットコインの１つの特徴である匿名性という部分が失われつつあります。

匿名性を必要とする人にはビットコインは利便性がよく、有名なところでいえば、ロス・ウィリアム・ウルブリヒトが運営していた密売サイトの『シルクロード』があります。


シルクロードは『ドキュメンタリー映画』の制作段階に入っていますが、この密売サイトでは、麻薬はもちろんのこと、コンピュータ･ウィルスや違法免許証などが売買され、殺人請負人の仲介もしていました。

こうした犯罪に利用されていたビットコインに政府の”メス”が入る時がきたのかもしれません。


では、また。

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ビットコインとシルクロードのドキュメンタリー映画は、「DEEP WEB　ビットコインとシルクロードの闇の物語」との題名で公開される予定です。これは２０１３年３月に公開された、「Downloaded」のアレックス·ウィンター氏がプロジェクトリーダーとなり、資金募集サイト「Kickstarter」で資金調達をしています。




映画「Downloaded」は、共有サービスの”ナップスター”の成長と衰退を描き、ナップスター開発者のショーン・ファニング氏や共同設立者のショーン・パーカー氏のインタビューなどを交えての、長編ドキュメンタリー映画となっています。




今回、アレックス·ウィンター氏は「DEEP WEB　ビットコインとシルクロードの闇の物語」の制作にあたり、ハッカー、革新者、政治家、自由思想家、法執行機関と犯罪者にインタビューをしているそうで、資金が調達できれば、２０１５年１月に公開する予定としています。


アレックス·ウィンター氏は「銃、麻薬、殺人。政府や銀行のコントロール外に存在するハッカーによって作り出された新しい通貨。これはDEEP WEBのワイルドで魅惑な世界である」としています。

この密売サイトのシルクロードは、映画の題名にもあるDEEP WEB（深層Web）に存在し通常のインターネットではアクセスできず、日本でも話題になったTorを通じてしか利用できないのです。

『密売サイトのシルクロードが１ヶ月で再開』で紹介しましたが、シルクロードの売上は、ロス・ウィリアム・ウルブリヒトの逮捕時に判明した金額だけでも約１２００億円にも上ります。



その他にも、シルクロードを映画にする動きがあります。『Bitcoinの進出・拡大の勢いは衰え知らずで価格は８００ドル台に突入』の記事中で紹介しましたが、２０世紀フォックスが、映画”シャッター・アイランド”の原作者であるデニス·ルヘイン氏に、シルクロードの創設者であるロス・ウィリアム・ウルブリヒトを題材に執筆を依頼しているのです。これは事実に基づいた物語として制作が予定されています。


では、また。

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