片思い世界

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片思い世界

2025年製作/日本
配給:東京テアトル、リトルモア
劇場公開日:2025年4月

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(C)2025「片思い世界」製作委員会

映画レビュー

4.0杉咲、清原、広瀬のケミストリーとは?

2025年1月1日
iPhoneアプリから投稿

本作における広瀬すず、杉咲花、清原果那の演技は、
それぞれが持つ美しさや可愛らしさ以上に、
彼女たちの内面から湧き上がる感情の深さが鑑賞ポイントのひとつだ。

シナリオの要求に応えるためには、
彼女たちの演技における繊細さと抑制が欠かせない。

その結果、彼女たちは個々に作品を背負い、
3人の演技が合わさることで、
驚くべき化学変化、
劇中にも出てくるスーパーカミオカンデ効果を生み出し、
視覚的にも感情的にも観客を引き込むことに成功している。

どういうことか具体的に。

シナリオに触れられないので、
演技に関してのみ。

本作は、静かな感情、激しい心、細やかな表現、
を求められる作品であり、

その中で広瀬すず、杉咲花、清原果那という3人の演技が、
物語の核を形成しているのは言うまでもない。

美人、かわいいとその容姿の裏にある繊細な感情や心の葛藤を表現することで、シナリオに求められる高度な演技力を体現している。

【広瀬が演じるキャラクター】
決して多くのセリフで感情を語るわけではない、
目線や微妙な頭部の高低、表情の変化で、
観客に深い感情を伝える。

内面は複雑で、感情を抑え込むタイプのキャラクター。

彼女が目を伏せたり、上げたりすることで、
心の中の葛藤や痛みを表現し、
時にそれが目に見える形でほのかににじみ出る瞬間に、
心が揺さぶられる。

この〈無言の演技〉こそが、
広瀬の真骨頂であり、
彼女がそれほどシナリオのセリフの多くを語らずとも、
その目線一つで伝えることができる力を持っていることを証明している。

【杉咲が演じるキャラクター】
感情を強く押し出さないで、
どこか控えめでありながらも芯の強い女性を演じている。

正反対のキャラクターも他の作品で観てきた。

彼女の演技には、
常に何かを内に秘めているような印象があり、
その無言のうちに感じ取れる〈強さ〉が物語の中で重要な役割を果たしている。

杉咲の表情は非常に豊かで、
顔のほんの一部の変化や、
微細な仕草によって感情の変化を伝える技術に長けている。

彼女がふとした瞬間に見せる微笑みや沈黙の中にこそ、
彼女のキャラクターの深さが凝縮されており、
観客にとっては非常に印象的だ。

見る者を引き込む不思議な力があり、
目線や壁伝いに歩くような演技で、
物語の重要な転換点を感じさせる瞬間が何度も訪れる。

【清原が演じるキャラクター】
物語における〈衝突〉を担う役割を果たしている。

彼女の演技は非常にダイナミックかつ冷静で、
感情がぶつかり合う場面でも、
どこか冷静さを保っているように見える一方で、
その冷静さが感情の爆発を予感させるような緊張感を持っている。

特に彼女が抱える内面的な葛藤が、
他のキャラクターとのやり取りの中で顕著に表れる瞬間は、
息を呑むほどの美しさを超える迫力がある。

しかし、

その衝突の中に見える微細な調和や抑制された感情の動きこそが、
清原の演技の真髄で、
彼女の〈静と動〉が交錯する演技は、
シナリオにおける複雑な感情のバランスを絶妙に保つために不可欠であり、その役割を見事に果たしている。

この映画における3人の演技は、
まさに〈化学反応、ケミストリー〉を通り越して、
同じ場面に登場する、しないにかかわらず、
物語の中で一つひとつの小さな衝突が生まれ、

そしてその衝突が作品全体に新たな方向性を与えていく様子が見て取れる。

まるで素粒子が衝突し、
新しい物質が誕生するような、
まさにスーパーカミオカンデのような、
予測不可能なエネルギーを放ち、
作品の世界観を支えている。

どんなに激しい感情の衝突があっても、
その演技のバランスを保ちながら、
全体としてひとつの調和を生み出すその力量は、
稀有な才能の3人が集まったと言えるだろう。

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蛇足軒妖瀬布