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マンフロット、業界初「窒素封入ピストン」採用のビデオ雲台
軽量機材でもカウンターバランスが可能 野鳥撮影などフォト向けキットも
2017年10月11日 19:30
マンフロット株式会社は、マンフロットブランドの新製品「ナイトロテックN8フルードビデオ雲台」(品番MVHN8AH)を日本で正式発表。三脚キット4モデルの設定で10月25日に発売する。雲台単体は11月1日に発売。
動画用途以外にも、野鳥撮影など望遠レンズを使用する静止画用途にも利用可能。三脚キットにはフォト向けのキットもラインナップされる。
画期的な0kgカウンターバランス
0kgから8kgまでの無段階カウンターバランスを実現したという画期的なビデオ雲台。カウンターバランス機構とは、一般的に雲台に内蔵したスプリングが、カメラが傾く方向と逆に押し戻す仕組みをいう。これにより、機材から手を離しても下や上を向かずに静止するのだが、機材の重量と雲台の抵抗が同一である必要がある。
これまで雲台に軽量機材を載せた際、カウンターバランスを意図して取れる雲台はなかった(偶然に合うことはある)。本製品が0kgからのカウンターバランスを実現した秘密は、窒素封入式の「ナイトロジェンピストン機構」を採用しているためだ。窒素を充填したピストンの昇降をノブで調整することで、カウンターバランスをとる。
これにより一般的なスプリング式では不可能な、微妙な力のかけ具合が可能になったという。スプリングの反発力は二次曲線的な立ち上がりを見せるが、気体だとリニアに力が発生するためだ。製品名「N8」の「N」は、窒素の元素記号に由来している。
窒素封入ピストンは自動車産業でも使われており、耐久性は証明済みという。通常の使用でガス圧の変化はなく、マンフロットではメンテナンスフリー技術と説明している。
軽量機材を意識した開発は、ビデオグラファーの機材トレンドに沿うため。デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラへと機材が変化する中、「小型化するカメラに合わせ、従来より小さい雲台を開発した」(Manfrotto本社のジュゼッペ・ディラウロ氏)とのこと。発表会では「GoProでもカウンターバランスが取れる」とのアピールもあった。
ビデオ雲台なのにフラットベースを採用
機材トレンドへの対応は他にも見られる。通常ビデオ雲台の底部は半球状をしているが、本製品の底部はフォト用雲台のようにフラットな形状になっている。
これにより、スライダー、ジブ、クレーンといった撮影機材にそのまま装着可能だ。
なお三脚キットには、ビデオ三脚に取り付けるためのハーフボールアダプターが含まれている。
プレートは、カメラの脱着が素早く行えるサイドロック式。既存のプレート「054PLONG」の目盛付きバージョンが付属する。
発表会で登壇したビデオグラファーの岡英史さんは、「デジタル一眼レフカメラから中型業務ビデオまでバランスできるのはこの製品だけ。ヘッド部分も小型軽量なので、ワンマンロケで行動力に差が出る。今まで諦めていたカットが可能になる」と絶賛。スライダーやミニジブに装着しやすい点やマンフロットらしいデザイン、廉価な価格設定についても高評価を与えていた。
なお、9月にアムステルダムで開催されたイベント「IBC 2017」で、上位モデルのN12が発表されている。サイズはN8と同じで、カウンターバランスが4〜12kgに設定されている。日本での発売は未定。
ラインナップ
※価格表記は税別での希望小売価格
MVHN8AH
ナイトロテックN8ビデオ雲台
希望小売価格7万5,000円
11月1日発売