表現の自由 VS 知的財産権 その3

昨日に続いて「贈与経済」について書きます。(その1 その2)

「表現の自由 VS 知的財産権」の著者ケンブリュー・マクロードはパーニス・ブラザーズのメンバーのトム・モナハンとの会話を次のようにまとめています。(パーニス・ブラザーズというバンドのことを私は知らないのです、スミマセン。)

一番最近会った時、音楽産業の現状が話題となり、パーニス・ブラザーズのようなバンドがいかにやっていくかという話になった。驚くようなことではないが、トムはファイル共有は認められるべきだという意見だ。彼は「テープ交換」という言葉を使っているが、同じことだ。
・・・中略
音楽が無料でやりとりされてしまうと、バンドには直接には利益は入らない。料金を取れるものを無料で与えるのはバカバカしいと思う人もいるだろうが、これが「贈与経済」の美意識なのである。直接の見返りがなくても、善行および、それで作られたコミュニティによって、間接的に利益があるのだ。「ウェブサイト上や、バンド活動に関して、様々な交流や活動が生まれている」とトムは語る。メジャーなレーベルのCD売上げ全体は落ちているのに対し、ニールセン/サウンドスキャンの調査では、パーニス・ブラザーズの売上は、1998年以来増大している。同様の方針を取るバンドはみな、売上げを伸ばしていることが多いのだ。

「贈与経済は、直接に利益は入らないが間接的に利益があるのだ。」ということを言っています。

間接的に利益があがるという「贈与経済」を営むには、大手レコード会社/アーティスト という組合せでは成立しないことは明白です。 
(続く)