『ブロブ カラフルなきぼう』

kodamatsukimi2008-11-24


 公式サイト(音注意)http://gamesites.thqgame.jp/products/Blob/index.html ASIN:B001D7SCDQ

 制作者インタビュー:4Gamer.net http://www.4gamer.net/games/074/G007464/20081015061/
 :GameWatch http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20081014/thqi.htm

・発売元はTHQ(http://www.thqgame.jp/)。
 開発はオーストラリアのメーカーらしいBlueTongue(http://www.bluetongue.com/)。
 どちらもまったくご存じございません。
 しかし出来あがりをみるに、かなり実力あるところらしい。今後注目せねば。


・Wiiでこれまでのところ、出来の良さから見ると
 『マリオギャラクシー』が最高です。
 私の場合、本体と一緒に買ってきてまず最初に遊んだのがその最高級品だったので
 以降のWii用ゲームは、どれも同じゲーム機でのものなのかと疑うほど
 駄目なものばかりに見えてしまいます。
 Wiiというゲーム機の標準は『マリオギャラクシー』なのです。
 最初に遊んだものが最高であるはずはなく、標準であるはずなのです。
 制作の難しさとかはわからないけれど、遊ぶひとにとってはそうなのです。

・この『ブロブ』はようやくの、同じWiiの3Dアクションゲームというくくりで
 その「標準」を、満たしていると思える一本。
 画面もきれい。ロードも快適。
 いわゆる「洋ゲー」なので多少のずれは感じるものの、コミカルな演出も楽しい。
 ゲームとしても遊びこめる良い出来です。

・『マリオギャラクシー』と比べてどちらが上かといったら
 全部まとめるとあちらですが
 それでもその差は極端ではない。
 ようやくWiiもまともに選択の対象ができた。
 今後はこれがこんどこそ標準になるほず。360もPS3も駄目で
 WiiもこれというのがなくてDSとPSPばかり、未だにPS2が稼働しているという現状を
 そろそろさすがに変えていただきたいところの一本なり。



・ゲームの内容は、3Dの玉ころがしゲーム。
 コースから落ちないようにゴールに早くたどりつくこと、
 というレースルールではなくて
 『塊魂』のように、時間内に効率良くマップをまわって塗りつぶし埋めていくこと、
 というそれ。
 RPGでオートマップがついていると必要なくとも全マスを埋めたくなるあれ。
 古い言い方でいうとドットイート形式。


・「ぬりえアクション」と公式には説明されておりまして
 公式サイトで見られる動画(http://jp.youtube.com/user/thqblob)を
 ざっとみていただけると雰囲気がわかるかと思います。

・敵の軍団は街から色を奪って、白と黒のモノクロに変えてしまう。
 主人公である「ブロブ」は建物に色を塗って、街に色を取り戻し敵を追い払う。
 奪われた色は、なぜかあちらこちらに適当かつ豊富に配置されておりまして
 それを自身にたくわえ、白黒の建物とかに接触することで色を与えていく仕組み。
 普通の建物は何色でも良いのですが
 適宜配置されているイベントでは、何色何ポイント以上で塗りつぶせ、のような
 達成条件が指定されていたりしまして
 赤、青、黄の「色の三原色」を自身の中で組み合わせることで緑や紫や橙をつくり
 それをこなしていきます。これがボス敵にまで渡り、できることのすべて。
 なぜか三色をまぜると黒ではなく茶色になりますが。
 絵の具からの経験則からすれば気持ちはわかりますが。


・タイムアタック専用のステージも用意されていますが
 基本となるモードは、普通に遊ぶと1時間程度でクリアできるステージの
 時間内獲得得点を競うもの。
 ステージはいくつかのブロックに区分けされていて
 色を塗るごと得られるスコアが一定値以上たまると
 先のブロックへと進める仕組み。
 塗り残しがある前のブロックにも時間が許す限り戻れます。

・敵を倒したりイベントクリアなどで残時間が増えたりしますが
 さほど制限は厳しくない。
 攻撃範囲や配置数、倒しやすさも含めて敵の妨害もゆるやかなので
 クリアするのはとても簡単。ゲームオーバーになるほうが難しい。
 アクションが苦手なひとでも楽しめて
 スコアやタイムアタックを目標として遊ぶこむこともできる仕組み。
 ステージ量は多いとはいえませんが、充分な量ではあります。
 攻略のヒント描写がややくどいものの、スキップは可能。
 入り口広く奥も深い。アクションゲームとしてとても良い構成です。



・操作対象の「ブロブ」は、ジャンプは出来るが空中での2段ジャンプはできない。
 みためそうみえませんが、その挙動は「玉」で
 ジャンプして着地したあとも慣性で移動、つまり転がります。
 また、色を体内にためられる特性からか液体てき性質を持ち
 表面張力ふうに、建物などの壁に張り付いてある程度そのまま転がれます。
 速度は必要ないので壁走りとも違う独特のアクション。なかなか面白い。

・建物に対する自身の大きさがそこそこあり
 『塊魂』でいうとステージ中期の
 障害物をあまり気にせずに街を見下ろす視点で転がりまわれるような比率。
 しかし遊んでいる感覚は『塊魂』のそれ、玉ころがしゲームとはやや違い
 少し3Dジャンプアクションより。

・その違えているところは
 Z注目先に高低差を無視してジャンプ移動ができる、というもの。
 建物には注目できませんが
 敵への攻撃、色の補給、立体的にステージを飛び回る演出など
 さまざま効果的に働き、できること、遊びの幅に
 大きな寄与をしています。

・これだけで、従来型ドットイート型玉ころがしゲームという区分けから
 立体空間を自在に飛び回る楽しさを味わえる3Dジャンプアクションになっている。  
 『塊魂』は、自身が大きくなり相対的にステージが小さくなるというところが
 決定的に新しかったですが
 『ブロブ』は距離と高さを無視して目標地点に瞬間移動できる要素を
 玉ころがしゲームに加えたというところが新しい。

・塗る対象には一部分に触れるだけでその全体を塗ったことになることや
 テンポ良く進行することによる音楽の変化、
 総じて水準以上のマップ構成、などが支える
 調子良く気持ち良く楽しく街を塗りつぶしていく、
 『塊魂』とはまた違う、この操作の楽しさが 
 本作のもっとも面白いところです。



・Wiiの特徴は、リモコンコントローラにあります。
 従来のアナログ方向入力コントローラに
 画面上をポイントするというガンコントローラが持っていた
 別の「操作軸」を加えることができる。
 ただその両方、「3Dスティック」による方向入力指示操作と
 リモコンコントローラによるポイント座標入力指示操作のどちらもを
 活かしているものはまだない。

・あるとしたら「銃を撃つゲーム」で自身の移動と銃の照準を兼ねる操作ですが
 それは360のように「3Dスティック」を2つ用意することで充分であり
 ポイント入力の機能、DSのタッチパネルのように
 対象選択しつつ画面上でスライド式移動をする機能、としては用いる必要がない。
 唯一このWii独自の機能を十全に満たす操作体系があるとするなら
 アーケードゲームの『クエストオブディー』くらいのもの。
 単に書いているひとが知らないだけという気はとてもしますけれども。

・3DアクションゲームとしてWiiの機能を最大限に体現しなけらばならない、
 とお客としては勝手に思っている『マリオギャラクシー』においても
 リモコンポイント操作は、画面上のアイテム回収と回転攻撃にしか使用していない。
 つまりこの2つを同時活用することが、Wiiでゲームをつくる条件ではないのですが
 リモコン操作で画面の大きいDS以上のことができているものがあるか、
 というとそれもまた疑問であり
 ではWiiの特徴とはなんなのか、Wiiでなければならないものはあるのか、
 と思うところで
 ひいては『マリオギャラクシー』に対する不満の最たるもの、
 と言えるわけであります。


・それで話を戻して本作を見てみますと
 リモコンポイント操作は選択画面でしか使わず
 振る動作をジャンプ操作として使います。 
 つまりボタンを押してジャンプで代用できる
 Wiiでなくともできる3Dアクションですが
 「Z注目先に移動攻撃」は、『マリオギャラクシー』にすらなかったものではある。
 「空中連続ダッシュ切り」のように
 攻撃指定対象をロックオンして移動し攻撃する、
 というものは従来ありましたが
 それを『塊魂』にくっつけたものはなかった。
 そこが『ブロブ』の特長です。

・玉を効率良くマップのすみずみに狙い通り転がしていくゲーム。
 そこで大事なのはマップ構成と視点変更の補正具合ですが
 『ブロブ』ではZ注目ジャンプで視点をリセットできる。
 素早く移動できるためマップのオブジェクト配置も幅ができる。
 ジャンプ移動のため空中からの別視点から見せることができるため
 演出としてだけでなく手引きとしても有用である。
 何より操作の楽しさが、転がすだけ、高さの制限があるジャンプだけに比べて
 自由になり楽しい。



・塗りつぶしゲームでありながら
 「パーフェクト」塗りつぶし「ボーナス」がありません。
 記録されるのはクリアタイムと最高得点。
 ステージ構成を解き、的確に転がして、効率良く得点を稼ぐゲーム。
 その目標一点へきれいに要素が配置されている。
 物足りないかもしれないけれど充分。

・そして品質も「Wiiの標準」に達している。
 3Dアクションゲームとして工夫もある。
 文句なしの良作アクションゲームであります。