法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

もしビートルズのイベントにどこかの軍隊が原子力潜水艦で参加しようとしたならば

ビートルズファンは「違う、そうじゃない」と思うんじゃないかな……ということをSF作家の野尻抱介氏*1のツイートを見かけて思った。

あくまで潜水艦は移動手段で、特に現有兵器から引いたわけでもない『イエロー・サブマリン』*2を連想する理由がわからない。


さて、話題になっている『ガールズ&パンツァー』にまつわる一般質問は2013年と古いもので、当時の町議自身のブログから説明を引くと下記のとおり*3。
都市公園法に触れる戦車の展示 | 菊地 昇悦のより道ブログ

町は環境・観光・町づくり・都市計画マスタープランなど多面的な実施計画を作成しています。これらの計画では観光地として景観を重視しています。戦車を観光目的として展示することは計画を無視するもので、都市公園法からみても問題があります。
オリンピックに向け、「おもてなし」を強調し外国人を呼び込むことに意欲を示しましたが、戦車を観光の目玉にする町はどのように見てもらえるのか。

どこにも作品と軍拡をむすびつけるような部分はないし、作品そのものは論評すらしてない。
『ガールズ&パンツァー』というアニメは、戦車道という架空のスポーツを題材にして、劇中ですら人が死なないという建前。そう主張したいならば、イベントに現実の兵器がもちこまれる必要性がないどころか、違和感すら生みかねないのではないか。
ちなみに町議ブログから春まつり・海楽フェスタでコラボレーションした感想を引くと、やはり作品そのものに対する批判はない。アニメファンが来たことは歓迎しており、あくまで問題視しているのは戦車の展示が過剰ではないかということ。
大洗春まつりに全国から | 菊地 昇悦のより道ブログ

今年は、テレビアニメで人気のガールズ&パンツァーのトークショーやキャラクターを町内に配置する企画。
このため、全国からアニメファンが訪れました。多くの方が来ていただくのはうれしいことですが、アニメに登場する戦車まで展示するのは、のりすぎの感あり。

わりと日本共産党はフィクションの表現には鷹揚なところがあり*4、とりあえず問題視しているのはリアルが持ちこまれることに一貫している。


また、2013年を最後にイベントに現実の戦車が参加していないのは日程のつごうにすぎないという記事も出ている。
「日程が合わないから来ていないだけ」『ガルパン』イベントに戦車が来なくなった大洗町 町役場は“共産党の抗議説”を全面否定|おたぽる

大洗町の商工観光課に電話で話を聞いてみたところ、共産党による圧力を全面的に否定された。
「そういうわけではありません。防衛省との日程的な都合が合わないため呼べないだけです」
 さらに、13年以降に共産党から『ガルパン』に対しての要望も一切ないという。

正直にいえば「おたぽる」は情報源として心もとないと思うが、そもそも2年前のことを今ごろ話題にしたBIGLOBEニュースの記事からして結論は憶測だった。
大洗の「ガールズ&パンツァー」イベント 共産党が戦車の展示中止を要請 - ライブドアニュース

大洗町は、町おこしとして「ガルパン」を積極的に活用しており、2013年3月に開催された「海楽フェスタ」では、陸上自衛隊の協力で「74式戦車」を展示、2013年7月に開催された「大洗 海開きカーニバル」では、最新型戦車「10式戦車」が展示された。要望書の影響かは定かではないが、これ以降、実物の戦車は「ガルパン」イベントに登場していない。

*1:はてなIDはid:nojiri_h。

*2:たまたま最近の音楽映画ベストテン企画で紹介したので、細かくはそちらで。音楽映画ベストテン〜アニメ限定〜 - 法華狼の日記

*3:引用時、改行を適宜排した。

*4:ツイッターで共産党員が『ガールズ&パンツァー』制作者の「建前」を理解している会話をしているのを見かけた。そのツイートのひとつは、ちょうど「ビートルズのイベントにどこかの軍隊が原子力潜水艦で参加しようとしたなら」を『艦これ』に置きかえたような内容だ。浦野 真(しん) JCP松戸・鎌ケ谷 on Twitter: "艦これのイベントに本物のこんごう型護衛艦(イージス艦)とか海自が持ってきたら、大問題になると思うんですよ。"