法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『月刊WiLL』2014年4月号に漫画が全頁掲載された「論破プロジェクト」

対価をしはらうべき雑誌とは思えなかったので、図書館で最新号を閲覧しただけだが、ざっと全体を見ただけでもひどい内容だった。
月刊WiLL 2014年4月号|雑誌|ワック
悪名高いコミPo!制作版ではなく、論破プロジェクトが団体として制作していた『The J facts』である。アングレーム国際漫画際に出展される作品は賞レースにかかわるものばかりではないが、広告漫画制作を本業にしている団体の作品としてはさびしい出来だ。


主張は、ほとんど最近のインターネットで見かけるような主張をひきうつしただけ。
「テキサス親父」が米国公文書をとりよせた話も出てくる*1。「テキサス親父」が「論破プロジェクト」への支援を表明した*2から採用されたのか、それとも当初から関係を持っていたのかはわからない。
いずれ貸出し可能な状況になった時、気力があれば図書館から借りて、細かく読んだエントリをあげたい。


もちろん、漫画作品としての魅力はない。
当時の慰安所の実態がどうであったか、主張したいとおりに描く画力もないのだろう。以前のエントリで紹介した冒頭の延長で、登場人物がバストアップで会話する場面ばかりつづく。
「慰安婦漫画で日本が倍返しだ!」「見た目は派手だが、脇はがら空きだぞ」 - 法華狼の日記
それなのに、いったん解説が一段落した中盤に、少女が風呂に入るサービスシーンはある。このテーマで性的なアピールをキャラクターに演じさせても、国外へのプロパガンダとしては逆効果に思うのだが。


あと、ざっくり読者投稿欄を読んでいた時、最後に面白い謝罪文がのっていた。同じ文章は公式サイトの4月号ページにも書かれている。

小誌3月号、潮匡人氏の「ちょっと変だよ TBSと関口宏」の記事のなかで、「サンデーモーニング」が東京オリンピック決定を報じたことに触れた99ペー ジ下段、「司会の関口氏『従軍慰安婦への補償が先』と発言」と掲載しましたが、放送中、そういう発言は一切ありませんでした。取り消してTBS並びに関口 宏氏に謝罪いたします。
編集長 花田紀凱

どうしたらこのような間違いができるのか、逆に不思議な気持ちになった*3。

*1:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20130724/1374624159で説明したように、古くから確認されている資料であり、実際には慰安所制度の問題性を明らかにする内容である。

*2:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20140107/1389050890

*3:エントリを上げた後、インターネットで出回ったデマということを、はてなブックマークでid:kaos2009氏に教えていただいた。http://b.hatena.ne.jp/entry/blogos.com/article/69711/